カナダは「治安が良い国」と言われることが多い一方で、いざ移住を考え始めると「本当に安全なのか」「日本とどれくらい違うのか」が気になってきます。この記事では、公的データに基づいた治安の全体像から、都市ごとの注意エリア、起きやすい犯罪の種類、日常生活でできる防犯対策までを整理します。女性や子連れ、シニアといった立場別のポイント、エリア選びの考え方も含め、カナダ移住を現実的に検討するための材料をまとめていきます。
カナダの治安は実際どうなのか?全体像を正しく理解しよう

データで見るカナダの安全性(犯罪指数・国際比較)
まずは「体感」ではなく、公式データからカナダの治安を押さえることが大切です。
日本人が海外の安全情報を調べるとき、最も信頼しやすい一次情報の一つが外務省の海外安全情報(危険情報・安全対策基礎データ)です。カナダについて外務省は、国全体には危険情報(レベル1〜4)を出しておらず、治安情勢を次のように評価しています。
「カナダの治安は、一般的には良好と評価されているものの、近年、銃器犯罪や薬物関連犯罪、ギャングによる犯罪等が増加している地域もあります。日本と比べると、強盗や窃盗、車上ねらい等の犯罪発生率は高く、注意が必要です。」
(外務省「海外安全ホームページ:カナダ 安全対策基礎データ」より)
ここから分かるポイントは2つです。
- 国として「渡航自粛レベルの危険度」ではない
- ただし日本より犯罪発生率が高く、窃盗・車上荒らし・強盗への対策は必須
同じく外務省が紹介する統計では、カナダの刑法犯罪(Criminal Code offences)認知件数は長期的に減少傾向とされています。一方で、銃器犯罪や薬物関連犯罪は都市部を中心に課題となっています。
カナダ統計局(Statistics Canada)が公表する犯罪重篤度指数(Crime Severity Index)でも「殺人や重傷害などの重大犯罪は一部都市に集中し、全国平均で見ると中程度」という状況が示されています。外務省も次のように注意を促しています。
「大都市(トロント、モントリオール、バンクーバー等)のダウンタウンやナイトクラブ周辺では、夜間における強盗、暴行事件、薬物の売買等が発生しています。深夜の一人歩きは避け、繁華街であっても周囲の状況に注意を払う必要があります。」
(外務省「海外安全ホームページ:カナダ 安全対策基礎データ」より)
まとめると、カナダ全体は「北米の中では比較的安全だが、日本と同じ感覚で歩いてはいけない」国と考えるとイメージしやすくなります。
日本と比べたときの「安全の常識」の違い
治安データと同じくらい重要なのが、「安全の常識」の違いです。外務省はカナダで日本人が遭いやすいトラブルとして、窃盗・スリ・置き引き・車上ねらいを繰り返し挙げています。
「日本人旅行者・在留邦人の被害として多いのは、ホテルロビー、空港、レストラン等における手荷物等の置き引き、路上駐車中の車両に対する車上ねらい、観光地周辺でのスリ・ひったくり等です。貴重品を座席やトランク内に置いたまま車を離れることは絶対に避けてください。」
(外務省「海外安全ホームページ:カナダ 安全対策基礎データ」より)
日本では、カフェでPCやカバンを席に置いたままトイレに行っても、戻ってくることが多いでしょう。カナダを含む多くの国では、その前提が通用しません。「盗らない人が多数派」ではなく「盗める状況があれば盗る人も一定数いる」と考える必要があります。
外務省は北米全体に向けた共通注意として、次のような行動を控えるよう呼びかけています。
- 多額の現金を持ち歩かない
- 人前で財布や高額の現金を見せない
- カバンを椅子の背に掛けたり、足元に置いたまま離れない
- 車内にバッグや買い物袋を見える状態で残さない
(外務省「海外安全ホームページ:安全対策基礎データ(各国共通の注意事項)」の趣旨を要約)
これはカナダにもそのまま当てはまります。移住先として考えるなら、次のような視点が大切です。
- 「治安が悪い国かどうか」ではなく「日本との安全感覚のギャップ」を意識する
- レストランや観光地、公共交通機関での軽犯罪リスクを前提に生活設計をする
こうした視点を持つと、治安に対する現実的なイメージがつかみやすくなります。
「自分の身は自分で守る」という基本姿勢
海外生活では「自分の身は自分で守る」という前提が欠かせません。外務省もカナダの安全対策として、次のような心構えを挙げています。
「夜間や人通りの少ない場所を一人で歩かない、見知らぬ人からの誘いに安易に応じないなど、基本的な安全対策を怠らないことが重要です。また、万一、強盗等に遭遇した場合には、身の安全を第一に考え、抵抗しないでください。」
(外務省「海外安全ホームページ:カナダ 安全対策基礎データ」より)
このアドバイスは、移住後の生活にもそのまま当てはまります。具体的には次のような行動が大事です。
- 住むエリアを決める前に、自治体や警察、統計局の犯罪統計・治安マップを確認する
- 夜間移動が多い仕事や学校なら、タクシーやライドシェアなど安全な足を確保しておく
- トラブルに遭ったときの連絡先(911、地元警察、日本大使館・総領事館)をスマホに登録する
「リスクをゼロにすること」は現実的ではありません。「どこまで下げられるか」を考える姿勢が必要になります。
外務省は在留届・たびレジへの登録も勧めています。カナダに中長期で滞在する場合は、次のように案内されています。
「3か月以上海外に滞在する方は在留届の提出が義務付けられています。短期滞在の場合でも、『たびレジ』に登録することで、滞在先の最新の安全情報や緊急時の連絡を受け取ることができます。」
(外務省「海外安全ホームページ:在留届・たびレジ」より)
公的な情報やサポートを活用すれば、治安リスクはよりコントロールしやすくなります。
カナダの治安は「危険だから避ける国」ではありません。「日本とは前提が違う安全環境の中で、自分でリスク管理しながら暮らしていく国」と捉えるとよいでしょう。移住を検討するときは、この前提を頭に置いたうえで、次以降の都市別特徴や防犯対策を組み合わせてイメージしてみてください。
カナダが「治安の良い国」と言われる理由

カナダは、日本人の感覚から見ても「比較的安心して暮らしやすい国」と評価されがちです。その背景には、社会の価値観や法律、地理的条件などが重なっています。ここでは特に重要な3つのポイントを取り上げます。
多文化主義と社会的寛容性
カナダの治安を語るうえで欠かせないのが、多文化主義(Multiculturalism)を国の基本政策として掲げている点です。カナダ政府は公式サイトで次のように説明しています。
「カナダは世界で最も多文化な国の一つであり、多様性と包摂性はカナダのアイデンティティの中核にある」
(Government of Canada, “Canadian Multiculturalism”)
多様な背景を持つ人を排除するのではなく、「共に暮らす」前提で制度や価値観が作られているのが特徴です。
治安面で見ると、多文化主義は次のような形で働きます。
- 移民や留学生を前提にした行政サービス(言語サポート、コミュニティセンターなど)があり、社会から孤立しにくい
- 人種差別やヘイトクライムに対する法律・罰則が整備され、表立った差別行為を抑える効果がある
- 学校や地域で異文化理解や対話を重視する教育が行われ、日常のトラブルがエスカレートしにくい
カナダ統計局(Statistics Canada)はヘイトクライムの発生状況を定期的に公表しています。そのレポートの中で次のように述べています。
「警察に報告されたヘイトクライム件数は増減を繰り返しているものの、多様性と包摂性を促進することは、ヘイトに基づく犯罪を防止するための長期的戦略の一部である」
(Statistics Canada, “Police-reported hate crime in Canada”)
差別が一切ない社会というわけではありません。ただ、「問題を数値で把握し、公表したうえで対策する」姿勢が治安への信頼感につながっています。
移住者の立場から見ると、日常生活では次のような形で「心理的な安全性」を感じやすくなります。
- スーパーや役所で、アクセントのある英語でも比較的丁寧に対応してもらえる
- コミュニティイベントやボランティアを通じて、現地の人と知り合いになりやすい
身体的な危険だけでなく「孤立して追い詰められるリスク」が相対的に低い点も、広い意味での治安の良さに関わっています。
銃規制と暴力犯罪率の低さ
カナダが「アメリカほど危なくない」と言われる際によく挙がるのが、銃規制の厳しさと、それに伴う銃犯罪の少なさです。カナダ政府の銃器規制ページでは、次のように明記されています。
「カナダでは銃器の所持は特権であり、権利ではない。銃器免許を取得するには、講習の受講、身辺調査、安全な保管を含む厳格な要件を満たす必要がある。」
(Government of Canada, “Firearms”)
銃の所持が「当然の権利」とされる国と比べると、入手のハードルは高くなります。一般人が日常生活の中で銃を目にする場面はかなり限られます。
カナダ統計局は警察に認知された犯罪を毎年公表しています。凶悪犯罪を含む全体的な傾向については、次のように報告しています。
「2022年の警察認知犯罪率は、パンデミック前の水準に近づきつつあるものの、長期的には1990年代から減少傾向にある」
(Statistics Canada, “Police-reported crime statistics in Canada, 2022″)
暴力犯罪は確かに存在しますが、30年以上のスパンで見ると治安は安定・改善方向と読めます。
銃に関しては、カナダ保健情報研究所(Canadian Institute for Health Information)が、銃による死亡率について次のように指摘しています。
「カナダの銃器関連死亡率は、アメリカ合衆国より有意に低い」
(CIHI, “Injuries and deaths involving firearms in Canada”)
銃へのアクセスが難しい環境は、強盗や殺人といった致死的な暴力犯罪の頻度を抑える要因と考えられます。
移住希望者の視点で見ると、次のようなバランスで捉えるのが妥当です。
- ショッピングモールや学校、公共交通機関で「銃乱射事件に巻き込まれるかもしれない」という不安は、北米の中ではかなり小さい
- ただし夜間の人通りが少ない場所やドラッグがらみのエリアは避けるなど、基本的な自衛意識は必要
油断してよいという意味ではありませんが、「致命的なリスク」は制度的にかなり抑えられていると言えます。
アメリカと比較したときの安全性
カナダの治安を考えるとき、多くの人が隣国アメリカと比べます。国連薬物犯罪事務所(UNODC)のデータを基にした殺人率の統計では、近年おおむね次のような傾向が示されています。
「カナダの殺人率は人口10万人あたり約2件前後で推移しており、アメリカ合衆国(約5~6件)と比べて一貫して低い水準にある」
(UNODC, “Global Study on Homicide” 概要より要約)
年ごとの細かい値は変わりますが、「同じ北米でもカナダの方が暴力犯罪率が低い」構図は長期的に続いています。
カナダ政府もアメリカとの差を意識した政策を打ち出しており、銃規制については次のように説明しています。
「政府は、軍用スタイルのアサルトライフルを禁止し、ハンドガンの販売・移転・輸入を全国的に凍結する措置を導入した。」
(Government of Canada, “Taking action on gun violence”)
アサルトライフルやハンドガンへの規制強化は、アメリカで頻発する大量銃乱射事件のリスクを抑える狙いが強い政策です。
こうした背景から、同じ英語圏・北米の国でありながら次のような条件で選ばれやすくなっています。
- 「北米の利便性や経済機会を活かしつつ、アメリカより治安リスクが低い環境を選びたい」
実際、カナダ統計局は移民統計の中で次のように述べています。
「カナダの人口の5人に1人以上が移民であり、これはG7諸国の中で最も高い割合である」
(Statistics Canada, “Immigration and ethnocultural diversity in Canada”)
「安全で暮らしやすい北米」というイメージが、移住先としての人気にも反映されていると考えられます。
アメリカと比べてマシだから完全に安心というわけではありません。とはいえ「銃社会のイメージが強い北米の中では、治安バランスが最も良い国の一つ」と捉えると、全体像がつかみやすくなります。
【都市別】カナダの治安状況と要注意エリア

同じカナダでも、都市ごとに治安の傾向や注意点は大きく変わります。移住先を選ぶ際は、都市別の治安情報が重要です。ここでは、日本人が移住や留学で選びやすい主要4都市について、公的統計を踏まえて概要を整理します。
バンクーバー:ダウンタウン・イーストサイドと置き引きに注意
バンクーバーは「自然が豊かで住みやすい」というイメージが強い都市です。ただし都心部には、治安面で不安があるエリアも含まれています。
カナダ統計局は都市別犯罪指数(Crime Severity Index: CSI)を毎年出しています。2023年版では「Greater Vancouver」のCSIは、全国平均をやや上回る水準とされています。
“In 2023, the police-reported Crime Severity Index increased in several large CMAs, including Vancouver.”
(Statistics Canada, Police-reported crime statistics in Canada, 2023)
このように、バンクーバーは「犯罪がやや多い大都市」と位置づけられます。ただし、移住者の行動範囲すべてが危険なわけではありません。特に注意すべきエリアを知っておくことが大切です。
- ダウンタウン・イーストサイド(Downtown Eastside / DTES)
ホームレスや薬物依存者が多く、ドラッグ関連犯罪や暴力事件のリスクが高い地区です。バンクーバー市も同地区を対象にした治安・薬物対策を続けています。
“The Downtown Eastside has long faced significant challenges related to poverty, homelessness and substance use.”
(City of Vancouver, Downtown Eastside Plan)
と説明しており、観光でも日中・夜間ともに近づかない選択が現実的です。
- チャイナタウン周辺
チャイナタウンは観光地として知られていますが、DTESに隣接しています。夜間に一人で歩く際は注意を上げる必要があります。路上生活者や薬物使用者も多く、スマホのひったくりやバッグ盗難のリスクが高まります。
またカナダ統計局は財産犯について、次のように指摘しています。
“The rate of theft of $5,000 or under increased in several large metropolitan areas, including Vancouver.”
(Statistics Canada, Police-reported crime statistics in Canada, 2023)
置き引きやカバンからの抜き取りなど、小規模な盗難が増える傾向にあります。バンクーバー中心部で生活する場合は、次のような対策を習慣化したいところです。
- カフェや図書館で席を離れるときは、バッグやPCを置きっぱなしにしない
- バスやスカイトレインではリュックを前掛けにする
- 夜遅くに人通りの少ない路地を歩かない
日本ではそこまで気にしなくても困らない行動が、ここでは基本的な対策になります。
トロント:一部エリアとスリ・ひったくりに注意
トロントはカナダ最大の都市で、金融・IT・教育の中心地です。移住候補に上がりやすい一方で、「エリアと時間帯を選べば暮らしやすいが、大都市らしい犯罪リスクはある」という印象に近い街です。
カナダ統計局によると、トロント都市圏のCSIはカナダ平均より低い水準です。
“Toronto… had Crime Severity Index values below the national average in 2023.”
(Statistics Canada, Police-reported crime statistics in Canada, 2023)
数字上は「大都市の中では比較的落ち着いた治安」と言えます。ただし、ダウンタウンではスリやひったくりの事例が少なくありません。
注意したいポイントは次のとおりです。
-
ダウンタウン中心部(Dundas St.周辺、Entertainment District等)
観光・娯楽エリアには人が集中し、財布やスマホを狙うスリが発生しやすくなります。イベント開催時や週末の夜は酔客も増え、小競り合いや暴力沙汰に巻き込まれる可能性も高まります。 -
一部の郊外住宅街
トロント市警は銃器関連暴力(”shootings”)の発生情報を公開しており、
“The Toronto Police Service publishes detailed information on shootings and firearm discharges by division and neighborhood.”
(Toronto Police Service, Public Safety Data Portal)
と、エリア別統計を誰でも見られるようにしています。候補エリアが絞れた段階で、このデータを確認し、銃器事件や強盗の頻度をチェックしておくと安心につながります。
トロントで生活する際に特に意識したいのは、次のような基本行動です。
- 地下鉄やストリートカーでのスリ対策(背面ポケットに財布を入れないなど)
- 夜の飲食店やバーからの帰宅時は、Uberやタクシーを使う
- 家探しの段階で、昼と夜それぞれ現地を歩き、雰囲気を確認する
カナダ平均より安全という数字はあっても、日本の地方都市と同じ感覚で深夜を歩くのは避けたほうが無難です。
カルガリー:比較的安全だが夜間の注意点
カルガリーはアルバータ州の経済都市です。治安面では「カナダの大都市の中では落ち着いている」と評価されがちです。カナダ統計局のCSIでも、カルガリー都市圏はバンクーバーやエドモントンより低い水準にあります。
“Among large census metropolitan areas, Calgary reported Crime Severity Index values close to or below the national average.”
(Statistics Canada, Police-reported crime statistics in Canada, 2023)
「危険だから絶対に近づくな」と言われるエリアは限られます。ただし、暮らすうえで次の点には注意したいところです。
- ダウンタウン中心部の夜間
平日昼間はビジネス街として落ち着いた雰囲気です。夜になると人通りが少ない通りも出てきて、路上生活者や薬物使用者が目立つことがあります。カルガリー警察は、ダウンタウンでの薬物使用や暴力行為について次のように述べています。
“The Calgary Police Service continues to respond to incidents related to drug use and disorder in the downtown core.”
(Calgary Police Service, Public Safety Updates)
完全にクリーンな環境ではないと分かります。
- C-Train(路面電車)の深夜帯
日中は通勤・通学の足として幅広く使われていますが、終電間際になると酔客や騒ぐグループが増え、トラブルに発展する場合もあります。深夜0時以降の移動は、可能なら配車アプリやタクシーに切り替えたほうが安心です。
カルガリーを移住先とするなら、次のようなイメージを持つとよいでしょう。
- 日常の生活圏は比較的安全
- ただしダウンタウンの夜間と公共交通の深夜帯には注意が必要
この二層構造を前提にすると、過度に不安にならず、現実的な対策を取りやすくなります。
モントリオール:観光地での軽犯罪に注意
フランス語圏文化が色濃いモントリオールは、「暴力犯罪は抑えられているが、観光地を中心に軽犯罪が起きやすい」タイプの都市と言えます。
カナダ統計局のデータでは、モントリオール都市圏のCSIは全国平均を下回る年が多く、次のように評価されています。
“Montréal recorded one of the lowest Crime Severity Index values among Canada’s largest census metropolitan areas.”
(Statistics Canada, Police-reported crime statistics in Canada, 2023)
一方で、観光客の多い旧市街(Old Montreal)やダウンタウンでは、スリや置き引きが散発的に報告されています。
注意したいスポットと傾向は次の通りです。
- 旧市街(Vieux-Montréal)・Old Port周辺
石畳の街並みが美しく、多くの観光客が訪れるエリアです。観光庁や在外公館も「人混みではスリ・置き引きに注意」と案内しています。モントリオール警察も治安啓発資料の中で、
“Pickpocketing and theft from vehicles are the most common crimes reported in tourist areas.”
(Service de police de la Ville de Montréal, Conseils de prévention pour les visiteurs)
と説明しています。カフェのテラス席や、写真撮影に夢中になっているタイミングが狙われやすいので、貴重品は常に体から離さないことが重要です。
- 地下街(RÉSO)・ショッピングモール
冬場、多くの人が地下街やショッピングモールに集まります。人混みでは、リュックのファスナーを開けて中身を抜き取るスリも典型的です。
モントリオールで暮らす場合は、次のような心構えが役立ちます。
- 「観光地=スリが多い」というヨーロッパ型のリスク感覚を持つ
- 冬場の屋内でも、人混みではカバンを体の前に回す
- 車上荒らしを避けるため、車内に荷物を残さない
フランス語圏のため警察や役所の情報はフランス語が基本です。ただ、主要な防犯情報は英語版もあるので、到着後に一度目を通しておくと安心です。
カナダで実際に起きやすい犯罪の種類と手口

統計上、カナダは殺人などの凶悪犯罪が日本より多い国です。ただ、移住者や旅行者が日常で最も遭遇しやすいのは、「窃盗・スリ・車上荒らし」といった財産犯です。
日本外務省はカナダの安全対策基礎データで、刑法犯について次のように明記しています。
「窃盗(盗難)等の財産犯が多数を占めている」
(外務省「海外安全ホームページ/カナダ安全対策基礎データ」)
まずは「暴力」より「盗まれる」リスクを前提に、生活設計を考える必要があります。
最も多い「窃盗・置き引き・スリ」の手口
外務省は、カナダの主要都市で起きやすい犯罪として、レストランやホテルロビーでの置き引きや、路上でのスリに繰り返し注意を促しています。
「レストラン、ホテルロビー、空港ロビー等における、わずかな隙を狙った置き引きが多発している」「人混みでのスリにも注意が必要である」
(外務省「海外安全ホームページ/カナダ安全対策基礎データ」)
実際に多いパターンは次のようなものです。
-
カフェ・フードコートでの置き引き
トレーを取りに行く、ドリンクを取りに行く、トイレに立つなど、数十秒〜数分の隙を狙われます。椅子の背もたれにかけたバッグや、テーブルに置きっぱなしのスマホが持ち去られます。トロント市警も、 -
バッグを椅子の背に掛けたまま離れない
- スマホをテーブルに出しっぱなしにしない
といった点を公式に呼びかけています(Toronto Police Service, Theft Prevention Tips)。
- 人混みでのスリ(地下鉄・バス・イベント会場)
通勤ラッシュ時の地下鉄、スタジアム、フェス会場など、体が触れ合うほど混んでいる場では、背負ったリュックのファスナーを開けて中身だけ抜く手口が多くなります。モントリオール市警は観光客向け情報で、
「財布やパスポートは内ポケットに入れ、前側に携帯すること」「リュックサックは人混みの中では前に抱えること」
(Service de police de la Ville de Montréal, Conseils de prévention pour les visiteurs)
とアドバイスしています。
- 声かけで注意をそらしてから盗む手口
地図を見せて道を聞く、コーヒーをこぼして拭くふりをする、署名活動を装うなど、複数人で注意をそらし、その隙に別の人物がバッグの中身を盗む手口もあります。外務省も、
「複数人で接近し、注意をそらした隙に財布等を抜き取る手口がみられる」
(外務省「海外安全ホームページ/カナダ安全対策基礎データ」)
と似たパターンへの警戒を促しています。
移住後の生活では、次のような行動が標準レベルの自衛策になります。
- 荷物から目を離さない
- 財布やスマホをテーブルに直置きしない
- リュックは人混みで前に抱える
日本では少し神経質に見える行動でも、カナダではごく普通の対策です。
車上荒らし・自転車盗難の実態
屋外の財産犯で目立つのが、車上荒らしと自転車盗難です。外務省はカナダ全土について、次のように注意を促しています。
「路上や駐車場での自動車盗難、車上狙いが多数発生している」「自転車盗も多く、短時間でも必ず施錠が必要である」
(外務省「海外安全ホームページ/カナダ安全対策基礎データ」)
車上荒らしの典型例
- 車内にバッグやPC、買い物袋を見える状態で置いたところ、窓ガラスだけ割られ、中身を盗まれる
- コンドミニアムやショッピングモールの駐車場で、夜間〜早朝に集中的に被害が出る
- 登山・ハイキング中に、トランクにスーツケースやリュックを残しておいた車両が狙われる
バンクーバー市警は「車内から見える物はなんでも標的になる」とし、次のように説明しています。
「車内には何も残さないことが最も効果的な予防策であり、たとえ『ゴミ』であっても窓を割られる可能性がある」
(Vancouver Police Department, Auto Crime Prevention)
移住後に車を持つなら、「短時間の駐車でも車内に物を置かない」を徹底する必要があります。
自転車盗難のパターン
カナダでは自転車通勤・通学が一般的です。トロント警察は年間数千件規模の自転車盗難を把握していると公表しています(Toronto Police Service, Bicycle Theft)。典型的なパターンは次のとおりです。
- 安価なワイヤーロックを切断してそのまま持ち去る
- フレームではなく前輪やサドルだけロックされている場合、ロックされていないパーツだけ盗む
- コンドミニアムの屋内駐輪場や地下駐車場など、住民専用スペースでも盗難が起きる
トロント警察は次のような対策を推奨しています。
「フレームと車輪の両方を堅牢なU字ロックで動かない構造物に固定すること」「シリアルナンバーを控え、警察の登録制度に登録すること」
(Toronto Police Service, Bicycle Theft Prevention Tips)
日本で一般的な細いワイヤーロックだけでは、カナダでは防犯として不十分です。
ホームレス問題と薬物犯罪の現状
近年のカナダ治安でとくに議論が大きいのが、都市部のホームレスと薬物問題です。外務省は、特にバンクーバーについて次のように記載しています。
「ダウンタウン・イーストサイド地区(Downtown Eastside)では、路上生活者や薬物使用者が多く、ドラッグの売買や薬物関連犯罪が発生している」
(外務省「海外安全ホームページ/カナダ安全対策基礎データ」)
バンクーバー市もDTESを次のように位置づけています。
「深刻なホームレス、精神疾患、物質使用障害が集中している地域であり、治安面で特別な配慮が必要なエリア」
(City of Vancouver, Downtown Eastside Community Profile)
ロサンゼルスのスキッドロウのように、
- 路上テントが連なって並ぶ
- 日中から路上での薬物使用が見られる
- 通行人への声かけや物乞いが常態化している
といった光景が続く通りも存在します。
こうした地区では薬物売買や依存症に伴う暴力沙汰も起きています。ブリティッシュコロンビア州はオピオイド危機への対応として次のように述べています。
「違法薬物の過量摂取による死亡は公衆衛生上の緊急事態であり、ハームリダクションと治療へのアクセス拡大が急務である」
(Government of British Columbia, Overdose Emergency Response)
移住生活とホームレス・薬物問題の付き合い方としては、次の2点が重要です。
-
日常生活エリアを慎重に選ぶ
バンクーバーのDTES周辺や、カルガリー・トロントの一部ダウンタウンには、「夜間の一人歩きは避けるべき」とされる通りがあります。外務省や各市警、自治体の治安マップや地域プロファイルを参考にし、住むエリアや通勤ルートから危険度の高い通りを外しておく必要があります。 -
ホームレス=即危険人物と決めつけないが、距離は取る
カナダの自治体はホームレス支援や薬物依存治療の観点から、
「路上生活者は犯罪者ではなく、支援を必要とする住民である」
(City of Vancouver, Homelessness Services)
と強調しています。ただし依存症や精神疾患を抱える人も多く、突然大声を出す、予測しにくい行動を取ることもあります。移住者としては「近づかない・関わらない」を基本にするのが現実的な自己防衛です。
カナダの治安を考えるうえでは、銃犯罪やギャング以上に、「盗難」と「都市部の社会問題」との距離感が重要です。移住を考えるときは、自分のライフスタイル(車を持つか、自転車通勤か、子どもの通学時間など)を具体的に思い浮かべながら、これらとどう付き合うかを設計する視点が欠かせません。
移住者・長期滞在者が実践すべき防犯対策7つのルール

カナダの都市は世界的に見ると「比較的安全」と評価されます。それでもスリや置き引き、自転車・車上荒らしのような日常的な犯罪は確かに存在します。留学エージェント studyin.jp も海外生活での安全対策として、次のような基本動作を「ルール化」する重要性を述べています。
「夜間一人で出歩かない」「貴重品を分散させる」「見知らぬ人からの誘いにはついていかない」
(studyin.jp「海外留学中の防犯対策7つのルール」)
長期で暮らす移住者は、観光客以上に「日々の習慣」として安全行動を定着させることが大事です。ここでは取り入れやすい7つのルールに整理します。
- 貴重品は「分散」+「体から離さない」が基本
留学情報サイト world-avenue は、海外生活の防犯として「パスポートや多額の現金は持ち歩かず、自宅の安全な場所に保管する」ことを勧めています。
「貴重品は必要最低限のみを持ち歩き、現金やカードは分散して管理する」
(World Avenue「海外留学中に気を付けたい防犯対策」)
日常生活では、次の点を徹底するとリスクを大きく下げられます。
- パスポート原本は自宅の金庫やロック付きスーツケース内に保管し、外出時はコピーや写真データのみ携帯する
- クレジットカードは2枚以上を別の場所に分け、1枚は自宅用として温存する
- 現金は財布・カードケース・内ポケットなどに小分けにする
- リュックは普段は背負い、人混みでは前持ちに切り替える
海外生活経験者のブログ maonakazawa.com も、
「貴重品は必ず体に身につける。カバンの中に入れっぱなしにしない」
(maonakazawa.com「海外で安全に暮らすための心構え」)
と強調しています。「分散」と「身体から離さない」の二本立てを習慣化すると、多くの盗難被害を未然に防げます。
貴重品の管理と持ち歩き方
-
「盗られて困るもの」は持ち歩かないと決める
カナダでは置き引きや車上荒らしが多く、財布ごと盗まれるとカード再発行やビザ再取得に時間がかかります。普段の外出では、次のような基準で持ち物を見直すと安心です。 -
パスポート原本:銀行口座開設やビザ手続きなど「どうしても必要な日」以外は自宅に置く
- マイナンバーカード・日本の年金手帳:カナダで持ち歩く必要はほとんどないので、実家や耐火金庫で保管する
- 高額の現金:家賃支払いなど特定の目的がある日以外は、デビットカード利用を基本にする
現金やパスポートをどうしても持ち歩く場合は、次のような工夫をします。
- 首下げポーチやウエストポーチを服の内側に装着する
-
財布を「小額用」と「重要なもの用」に分ける
-
カフェ・図書館・コワーキングでは席を離れるときに必ず持っていく
ノートPCやスマホをテーブルに出したままトイレに立つ行為は、盗難リスクが高い行動です。world-avenue も次のように注意しています。
「荷物から目を離さないこと。少しの時間でも席を離れるときは必ず持ち歩く」
(World Avenue「海外留学中に気を付けたい防犯対策」)
カナダの学生でもPCやバッグごと盗まれる事例は珍しくありません。次のような行動を徹底したいところです。
- トイレや注文カウンターに行くときも、最低限ノートPCと貴重品は持っていく
- 席取りが必要なら、盗まれてもダメージの小さい衣類やペットボトルだけ残す
夜間・人通りの少ない場所への対処法
- 「夜遅く+人通りが少ないエリア」はルート自体を変える
maonakazawa.com は海外で安全に暮らすうえで、次の点を最重要ポイントとして挙げています。
「夜遅くに人通りの少ない場所に出歩かない」
(maonakazawa.com「海外で安全に暮らすための心構え」)
カナダの警察も、強盗や暴行は深夜帯に集中する傾向があると分析しています。夜間の行動範囲をあらかじめ絞ることが現実的な対策です。
具体的には次のことを意識します。
- 住む前に「夜も人通りと照明のある幹線道路沿い」のルートで通勤・通学できるか確認する
- 公園の中や裏路地、路地裏駐車場のショートカットは使わない
-
バス停から自宅までの道も、遠回りでも明るい大通り側を選ぶ
-
夜は徒歩より車・配車アプリを優先する
駅やバス停から徒歩15分の距離は、日中なら問題を感じない距離かもしれません。冬場の暗い時間帯には、同じ距離でもリスクの質が変わります。治安情報サイトや留学サイトも、深夜はタクシーや配車アプリを推奨しています。studyin.jp も次のように案内しています。
「夜間の一人歩きはできるだけ避け、タクシーや配車アプリを利用する」
(studyin.jp「海外留学中の防犯対策7つのルール」)
生活費を考えるときは、次の点も織り込んでおくとよいでしょう。
- 深夜帰宅が多い職種なら、交通費を多めに見込む
- 夜でも人通りのあるエリアに住むことを優先する
見知らぬ人からの誘いを断る判断基準
- 「誘われたら基本断る」を標準設定にする
海外生活の先輩として情報を発信する maonakazawa.com は、犯罪被害を避けるコツとして次の点を挙げています。
「知らない人から誘われてもついて行かない」「誘われても断る」
(maonakazawa.com「海外で安全に暮らすための心構え」)
カナダはフレンドリーな人が多く、街中で話しかけられることも少なくありません。ただ、次のような誘いは原則すべて断る前提で考えておくと安全です。
- 「家に来ないか」「車で送る」「静かなバーを知っている」
- 「この投資(副業・ビジネス)は絶対に儲かる」
判断に迷う場合は、次の3点で考えると整理しやすくなります。
- 相手を自分で選んだ相手か(学校や職場など、信頼できる文脈があるか)
- その場で即決する必要が本当にあるか(「今日だけ」「今だけ」と急がせていないか)
- 複数人での行動に切り替えられるか(一対一にならずに済むか)
少しでも不安を感じたら、基本的には断ると決めておいたほうが安全です。
緊急時の連絡先と保険の準備
- 911+大使館+保険会社の連絡先をすぐ出せる状態にしておく
どれだけ気をつけていても、トラブルをゼロにはできません。起きてしまったあと、ダメージを抑える準備も必要です。北米では警察・救急・消防の共通緊急番号は 911 です。カナダ政府も公式に次のように案内しています。
「緊急時には、警察・救急・消防のいずれであっても 911 をダイヤルする」
(Government of Canada, Emergency services in Canada)
日本語での相談やパスポート紛失時のサポートには、在カナダ日本国大使館・総領事館が窓口になります。次の連絡先は、スマホと紙の両方で控えておくと安心です。
- 居住州を管轄する大使館・総領事館の電話番号と住所
- 加入している海外旅行保険・海外医療保険・クレジットカード付帯保険のサポート窓口
外務省も「海外安全ホームページ」で次のように案内しています。
「海外滞在中は緊急時の連絡先をあらかじめメモしておき、携帯すること」
(外務省「海外安全ホームページ・海外滞在の基本的な心構え」)
連絡先リストを作っておくこと自体が、安全行動の一部と考えられます。
これら7つのルールは特別な技術を必要としません。「意識と準備」があれば誰でも実践できます。移住後の生活を思い描きながら、通勤ルートや普段使うカフェ、夜の外出頻度などに合わせて、自分なりの防犯ルールを行動レベルまで落とし込みましょう。それがカナダで長く安心して暮らす土台になります。
カナダと日本・他国の治安を数字で比較する

治安を移住先選びの軸にするなら、「安全そう」という印象ではなく、公的データや国際指標で客観的に比べておくと判断しやすくなります。ここでは世界平和度ランキングと犯罪統計を使い、日本・カナダ・アメリカ・オーストラリアの治安を整理します。
Global Peace Index(世界平和指数)でのカナダの順位
各国の平和度を総合的に比較する指標としてよく使われるのが、Institute for Economics & Peace(IEP)が毎年発表する Global Peace Index(GPI) です。軍事費や国内の暴力、治安維持コストなど23指標を組み合わせ、163か国・地域をランク付けしています。
IEP が公開する Global Peace Index 2023 では、次のように記載されています。
「Japan ranks 9th in the 2023 Global Peace Index.」(日本は2023年GPIで9位)
「Canada is ranked 11th in the 2023 Global Peace Index.」(カナダは2023年GPIで11位)
(Institute for Economics & Peace, Global Peace Index 2023)
日本のほうがわずかに上位ですが、カナダも163か国の中で「トップクラスに平和な国」に入り続けています。
同レポートでは、オーストラリアとアメリカについても次のように触れています。
「Australia is ranked 22nd in the 2023 Global Peace Index.」(オーストラリアは22位)
「The United States ranks 131st in the 2023 Global Peace Index.」(アメリカ合衆国は131位)
(Institute for Economics & Peace, Global Peace Index 2023)
つまりGPI上の平和度は、次のような並びになります。
- 日本:9位
- カナダ:11位
- オーストラリア:22位
- アメリカ:131位
関係性としては「日本 > カナダ > オーストラリア >> アメリカ」といった距離感と考えられます。日本には少し劣るものの、カナダは他の英語圏主要国と比べてかなり安全な位置にあると分かります。
日本・アメリカ・オーストラリアとの犯罪率比較
世界平和指数は総合評価です。「身近な犯罪の起こりやすさ」を見るには、殺人率など具体的な犯罪データも参考にしたいところです。国連薬物犯罪事務所(UNODC)は各国の犯罪統計を集め、人口10万人あたりの殺人件数(intentional homicide rate)を公表しています。
UNODC データベースでは、直近数年の数値としておおよそ次のレンジが示されています。
「Japan … homicide rate around 0.2–0.3 per 100,000 population」(日本は人口10万人あたり約0.2〜0.3件)
「Canada … homicide rate around 1.7–2.0 per 100,000 population」(カナダは約1.7〜2.0件)
「Australia … homicide rate around 0.8–1.0 per 100,000 population」(オーストラリアは約0.8〜1.0件)
「United States … homicide rate around 5.0–6.0 per 100,000 population」(アメリカは約5〜6件)
(UNODC, Global Study on Homicide / UNODC Data Portal)
日本が突出して低く、カナダは日本の数倍、アメリカよりはかなり低い水準に位置しています。
この数字から次のように整理できます。
- 「超低犯罪国家」である日本と比べると、カナダの犯罪率は高く見える
- ただし英語圏主要国の中では、アメリカよりかなり安全で、オーストラリアと同程度かやや高いレベル
- 「銃犯罪が多いアメリカ的な危険さ」とは明確に違う
日本から見ると不安に感じやすいかもしれません。一方で「英語圏で移住先を選ぶ」という前提では、カナダは比較的安心して暮らせる国に入ります。
移住先として選ばれる理由としての安全性スコア
国際機関によるランキングや犯罪統計に加え、生活者の体感に近い「安全スコア」を出しているサービスもあります。生活情報サイト Numbeo は各都市について治安・物価・生活の質などを集計し、「Crime Index」と「Safety Index」で公表しています。
Numbeo の Crime Index 2024 では、指標の意味を次のように説明しています。
「A low Crime Index (below 20) indicates very low crime and very high safety.」(犯罪指数20未満は犯罪が非常に少なく、安全性が非常に高い)
(Numbeo, Crime Index by Country 2024 説明文)
東京や大阪など日本の都市はCrime Indexが10台〜20前後で、世界的にも低い水準です。Safety Indexは80台後半に達しています。カナダ主要都市(トロント、バンクーバーなど)はCrime Indexが30〜40台、Safety Indexが60〜70台であることが多くなります。
Numbeo の国別集計の目安値は次のとおりです。
「Japan … Crime Index 22.0, Safety Index 78.0」
「Canada … Crime Index 44.0, Safety Index 56.0」
「Australia … Crime Index 43.0, Safety Index 57.0」
(Numbeo, Crime Index by Country 2024, 各国ページより概算)
日本が群を抜いて安全で、その次のグループとしてカナダとオーストラリアが並ぶイメージです。
こうしたデータを総合すると、次のように捉えられます。
- 日本より治安は悪くなるが、他の英語圏先進国と比べて特別危険な国ではない
- オーストラリアと同程度の安全性で、アメリカよりかなりリスクは低い
日本レベルの安心感を求めるなら、日常の防犯意識は欠かせません。一方で「英語圏で比較的安心して暮らしたい」という条件なら、統計上もカナダは有力候補になります。
女性・子連れ・シニアが知っておくべきカナダの治安事情

カナダを移住先として考えるときは、統計上の「治安レベル」だけでなく、自分や家族の属性ごとにどんなリスクがあるかを押さえておきたいところです。
カナダ政府や各州警察は、犯罪認知件数や防犯情報を公開しています。カナダ統計局(Statistics Canada)は毎年犯罪統計を出し、2023年版では暴力犯罪や詐欺の動向を分析しています。
“In 2023, the overall police-reported Crime Severity Index (CSI) in Canada decreased slightly, but the volume and rate of fraud incidents have remained relatively high compared to a decade ago.”
(Statistics Canada, Police-reported crime statistics in Canada, 2023)
暴力犯罪だけでなく「詐欺」が長期的な課題である点が分かります。在カナダ日本国大使館・総領事館がまとめた「安全対策基礎データ」でも、次のように注意が出ています。
「電話やインターネットを利用した詐欺(フィッシング詐欺、架空請求等)の被害が報告されており、日本人を含む外国人も標的となる場合がある。」
(在カナダ日本国大使館・総領事館『安全対策基礎データ(カナダ)』)
ここでは「女性」「子ども連れ家族」「シニア」の3つの観点から、移住前に知っておきたい治安リスクと対策を整理します。
女性一人での移住・生活で気をつけること
カナダはジェンダー平等意識が高く、日中の街歩きは日本人女性から見ても「比較的安心」と感じられる場面が多い国です。ただし統計を見ると、性犯罪や家庭内暴力(DV)は無視できない規模で存在します。
カナダ統計局の被害者調査では次のように述べられています。
“Women continue to be overrepresented as victims of sexual assault and intimate partner violence in Canada.”
(Statistics Canada, Gender-based violence in Canada, 2022)
性暴力やパートナーからの暴力の被害者は、依然として女性に偏っています。移住・留学中の日本人女性向け安全情報でも、在外公館は次のような点に注意を促しています。
「深夜の一人歩き、見知らぬ人からの車での送迎や招待、飲み物から目を離す行為などは、性犯罪被害のリスクを高めるため避けるべきである。」
(在カナダ日本国大使館『安全対策基礎データ』の趣旨を要約)
移住後の生活で意識したいポイントは次のとおりです。
-
ナイトライフエリアの使い方
トロントやバンクーバーの中心部では、週末深夜の飲み屋街で酔客同士のトラブルが起きがちです。女性一人の終電後移動はUberや公認タクシーを使い、人気のない路地を歩かないようにします。 -
ルームシェア・シェアハウスの選び方
家賃高騰によりルームシェアが一般的になっています。ただ、相手の素性が分からない募集には注意が必要です。可能なら、 -
女性専用フロアや女性オーナー物件を優先する
- 入居前にオンライン内見とビデオ通話で相手を確認する
- 契約書と家賃支払い方法(銀行振込・e-Transfer)を明文化する
などは最低限押さえておきたいところです。
- マッチングアプリのリスク
カナダ警察はオンライン出会い系サービスを悪用した性犯罪・詐欺にも警鐘を鳴らしています。
“Meet in public places, tell a friend where you’re going, and never send money to someone you met online.”
(Toronto Police Service, Online dating safety tips)
特に「金銭の相談」や「緊急送金」を持ちかけてくる相手には即座に距離を置き、個人情報や送金には応じない姿勢が必要です。
こうした点を押さえれば、「日本ほどではないが、他の英語圏と同程度のリスク」としてコントロールしやすい環境と考えられます。
子どもの安全と教育環境の治安面
家族で移住を考える場合、通学路や学校周辺の治安は最優先事項になります。カナダは学校ごとに治安や教育レベルの差が大きく、学区(School District / Catchment Area)の調査がとても重要です。
カナダ政府は、子どもへの暴力・いじめ・オンライン被害についても統計を取り、次のように指摘しています。
“Bullying, including cyberbullying, remains a concern among Canadian youth, with significant impacts on mental health and school engagement.”
(Government of Canada, Canadian Student Tobacco, Alcohol and Drugs Survey, 2021–22, 関連報告を要約)
外務省の「安全対策基礎データ」でも、次のように案内されています。
「学校や通学路周辺における誘拐や凶悪事件は多くないものの、置き引きや車上荒らしなどの財産犯、ドラッグ使用者とのトラブルには注意が必要である。」
(在カナダ日本国大使館『安全対策基礎データ(カナダ)』)
「極端に危険ではないが油断は禁物」というスタンスが基本です。
家族での移住では、次のポイントを確認しておきたいところです。
-
学区(School District)の治安を調べる
多くの市や州は学区別統計や学校評価を公開しています。加えて、 -
地元のFacebookグループやRedditで「学校名+safety」で検索する
- 現地日本人コミュニティに通学路や周辺環境の評判を聞く
といった方法で、行政統計では見えにくいドラッグやギャングの話題も拾えます。
-
通学手段と時間帯の安全確認
小学生は徒歩かスクールバスで通うケースが多くなります。徒歩通学させる場合は、 -
一人になりにくいルートを選ぶ
- 横断歩道と信号が整った道を優先する
- 冬季は日照時間が短い地域では反射材付きジャケットを用意する
といった点を意識する必要があります。
- オンラインいじめ・詐欺への備え
カナダの子どもはスマホやタブレットの利用年齢が早く、オンラインいじめや詐欺リンク被害のリスクが高まります。カナダ政府は保護者向けに次のように案内しています。
“Talk regularly with your children about what they do online, set clear rules, and use parental controls where appropriate.”
(Government of Canada, Get Cyber Safe – Parents’ guide)
学校と家庭の役割分担は日本と異なるため、家庭でのルール作りがより重要になります。
「安全な学区を選ぶ」「通学とオンラインのルールを整える」ことで、統計上のリスクはかなり下げられます。
シニア移住者が注意すべき詐欺・トラブル
カナダでは、高齢者を狙った電話・オンライン詐欺が社会問題になっています。在カナダ日本国大使館も安全情報の中で次のように述べています。
「電話によるなりすまし詐欺や、銀行・政府機関を装ったフィッシングメールに関する相談が複数寄せられており、カナダ在住の日本人も被害に遭っている。」
(在カナダ日本国大使館『安全対策基礎データ(カナダ)』)
カナダ王立騎馬警察(RCMP)と Canadian Anti-Fraud Centre も、次のように警告しています。
“Fraudsters often target seniors, using tactics such as emergency scams, romance scams, and government impersonation calls.”
(Canadian Anti-Fraud Centre, Fraud types targeting seniors)
代表的な手口としては次のとおりです。
- 孫や親族を名乗り、「事故を起こした」「弁護士費用が必要」などと緊急送金を求める「エマージェンシー詐欺」
- 税務当局(CRA)や移民局(IRCC)を装い、「未納税がある」「ステータスに問題がある」と脅し、ギフトカードや電子送金を要求する詐欺
- 銀行・クレジットカード会社を名乗り、暗証番号やオンラインバンキング情報を盗み取るフィッシング詐欺
シニア移住者が自分を守るには、次のルールを徹底する必要があります。
- 「電話やメールでお金を要求されたら、まず詐欺を疑う」
カナダ税務庁(CRA)は公式に次のように述べています。
“We will never demand immediate payment by e-transfer, cryptocurrency or prepaid credit cards.”
(Canada Revenue Agency, Beware of scams and fraud)
電子送金、仮想通貨、プリペイドカードなどでの支払いを迫られたら、ほぼ詐欺と見てよいでしょう。
-
個人情報は「自分から連絡した先」にしか伝えない
銀行や政府機関からの連絡を名乗る場合でも、一旦電話を切り、公式サイトに載っている番号に自分でかけ直します。メール内リンクではなく、自分で検索して公式サイトからログインする習慣も必要です。 -
家族と「合言葉」やルールを決めておく
日本にいる家族を名乗る詐欺に備え、「お金の話は必ず家族グループチャットで確認する」「緊急の送金は必ずビデオ通話で本人確認する」などのルールを共有しておくと安心です。
身体的な安全面では、カナダの住宅街は日中の治安が概ね安定しています。ただし在カナダ日本国大使館は次のようにも案内しています。
「夜間、人気の少ない場所での一人歩きや、ダウンタウンの一部地域(ドラッグ利用者が集まるエリア等)への立ち入りは、年齢に関わらず避けるべきである。」
(在カナダ日本国大使館『安全対策基礎データ』の趣旨を要約)
シニア移住者の場合は、次のような点も意識しておきたいところです。
- 病院やクリニックまでのアクセス
- 夜間・冬季の外出を少なく済ませる生活動線
- 緊急連絡先(911、家族、かかりつけ医)の一覧を紙でも手元に置いておく
女性・子ども・シニアと、属性ごとにリスクの種類は異なります。ただ、カナダ政府や在外公館の一次情報を踏まえて対策すれば、「日本より一段リスクは高いが、十分コントロール可能な範囲」と評価できます。移住を計画する段階から、属性ごとのリスクと行動ルールを家族で共有しておくことが、カナダで安心して暮らすための鍵になります。
カナダ移住後に安全な生活を送るための住居選びのポイント

治安の良い住宅エリアの選び方
カナダは全体として治安が良いとされますが、都市ごと・エリアごとの差ははっきりしています。「どの街のどの地区に住むか」で体感治安は大きく変わります。
カナダ統計局(Statistics Canada)は、地域ごとの犯罪発生を「Crime Severity Index(犯罪深刻度指数)」として公表しています。同じ都市でもエリアにより数値が違うことが分かります。
“The Crime Severity Index… tracks changes in the severity of police-reported crime in Canada… Police-reported crime in Canada’s largest cities shows considerable variation by neighbourhood.”
(Statistics Canada, Police-reported crime statistics in Canada の趣旨)
住居探しでは、こうした公的統計や市警の犯罪マップに加え、実際に暮らしている住民の声も参考にするのが現実的です。
主要都市で、ファミリー層や留学生に人気があり、比較的落ち着いた住宅エリアとして名前が挙がりやすい地区には次のような所があります。
- バンクーバー周辺
- Kitsilano(キツラノ):ビーチ沿いの住宅街で、戸建てや低層アパート中心です。カフェやスーパーが徒歩圏にあり、夜もある程度人通りがあります。
-
North Vancouver(ノースバンクーバー):ダウンタウンへのアクセスが良く、治安や教育環境を理由に子育て世帯に人気です。山側に位置し、静かな住宅街が多くなります。
-
トロント周辺
- North York(ノースヨーク):地下鉄沿線にコンドミニアムが多く、日本人を含む移民ファミリーが多いエリアです。ショッピングモールや学校もまとまっています。
- Scarboroughの西側エリア:Scarborough全体の治安にはムラがありますが、西側の一部は落ち着いた住宅街として知られ、家賃と利便性のバランスで選ばれることがあります。
とはいえ、エリア名だけで判断するのは危険です。次のような「数字と生活感」を両方確認しながら絞り込むことが大切です。
- 市警察(Vancouver Police, Toronto Police など)の犯罪マップで、過去数か月の事件傾向を確認する
- 「地域名 + crime」「地域名 + safety」など英語検索で、現地フォーラムやRedditの投稿を読む
- 日系コミュニティや日本語学校周辺は子育て世帯が集まり、比較的落ち着いた環境であることが多い
在カナダ日本国大使館も、「夜間、人通りの少ない地域や薬物使用者が集まる一部地区には近づかないこと」を繰り返し呼びかけています。
「夜間、人気の少ない場所やダウンタウンの一部地域(薬物利用者が集まる場所等)への立ち入りは避けるべきである。」
(在カナダ日本国大使館『安全対策基礎データ』の趣旨)
こうした地区を生活の動線から外しておくことが、日々の安心につながります。
避けるべき地区の見分け方(内見時のチェックポイント)
カナダ国内にも「治安が良くない」とされるエリアはあります。ただし都市名や地区名だけで判断するのは危険で、同じ区でも通りが一本違うだけで雰囲気が変わることも珍しくありません。実際に内見に行ったときに周辺環境を見ておくことが欠かせません。
アメリカ・ロサンゼルスの治安悪化を取り上げたYouTube動画では、「ホームレスのテントが路上に並び、夜は街灯が少なく真っ暗なエリアを歩くと不安が増す」といった描写が繰り返し出てきます。舞台はアメリカですが、危険サインそのものはカナダでも共通しており、反面教師として役立ちます。
「歩道にテントがずらっと並んでいて、ゴミが散乱している。夜になると街灯も少なく、道の先が真っ暗で、そこを一人で歩くのは正直かなり怖い。」
(YouTube「LAの治安の悪さ」を扱う動画の内容要約)
このような例も踏まえ、内見時に確認したいポイントを挙げます。
-
街灯の数と明るさ
夕方から夜に一度現地を訪れ、建物前の通りや最寄りバス停までの道が十分に明るいか確認します。暗がりが多いと、帰宅時の不安が大きくなります。 -
落書き・破壊行為の痕跡
壁やシャッターの大きなグラフィティ、割れたガラスや壊れた設備が放置されたままの場所は、周辺の監視が弱いサインです。 -
ゴミの放置・路上生活者の集中度
公共スペースにゴミが散乱している、特定の通りにテントや大量の荷物を置いて長期滞在する人が多いといった場合、そのエリアでは軽犯罪や薬物問題が起きている可能性があります。 -
人の行き来と店の種類
日中・夕方に歩いてみて、子連れや犬の散歩、高齢者の散歩などが見られるか確認します。生活感のある人通りは、治安を測るうえで分かりやすい指標です。 -
公共交通機関の利用者層
最寄り駅・バス停で通勤・通学時間帯の雰囲気を見ておきます。酔客やドラッグ使用が疑われる人が常にたむろしていないか、体感的な安全度も確かめます。
同じ物件でも、建物前の通りと一本裏の通りで雰囲気がまったく違うこともあります。内見時には必ず周辺を数ブロック歩く習慣をつけておくと安心です。地元警察のウェブサイトで地区の最近の事件情報を見ておくと、現地で感じた印象と数字のギャップも確認できます。
セキュリティ設備と近隣コミュニティの確認方法
治安の良さはエリア選びだけでなく、「建物の防犯力」と「近隣コミュニティのつながり」によっても変わります。カナダの警察は、防犯対策として住宅の物理的な強化と地域の見守りの両方を勧めています。Royal Canadian Mounted Police(連邦警察)は次のように案内しています。
“Good home security is a combination of physical security and community awareness. Strong locks and lighting help, but knowing your neighbours and looking out for each other is just as important.”
(Royal Canadian Mounted Police, Home security tips の趣旨)
住居選びで確認しておきたい点を整理すると、次のようになります。
1. 建物・室内のセキュリティ設備
- 入口ドア:メインエントランスがオートロックか、室内ドアの鍵がデッドボルト(二重ロック)か
- 監視カメラ:エントランス、エレベーター、駐車場にCCTVがあり、実際に稼働しているか
- 窓とバルコニー:1階・半地下の場合、窓に補助鍵や面格子があるか、バルコニーから簡単に侵入できない構造か
- 郵便受け・宅配ボックス:オートロックの内側に設置され、外部から簡単に触れないか
2. 建物管理とメンテナンス状況
- 共用部(廊下・エレベーター・ゴミ置き場)が清掃され、照明が切れたまま放置されていないか
- 管理人やコンシアージュが常駐または日中巡回しているか、緊急連絡先が明示されているか
- 出入りする人の雰囲気:家族層が中心か、短期滞在者が多く入れ替わりが激しい物件か
3. 近隣コミュニティとの距離感
- 近隣で Neighbourhood Watch(地域見守り活動) が行われ、市や警察が紹介する地域団体に登録があるか
- 学校や教会、コミュニティセンターなど人が集まる公共施設が徒歩圏にあるか
- 内見時にすれ違う住民に挨拶し、自然に挨拶が返ってくる雰囲気か
RCMPの防犯ガイドラインが示すとおり、「鍵や照明」と「人と人のつながり」の両方がそろって初めて、防犯力の高い住環境になります。犯罪統計や家賃だけで決めず、実際に現地を歩き、建物の設備と近隣の空気感を自分の目で確かめたうえで契約することが、カナダで長く安心して暮らすための土台になります。
よくある質問|カナダの治安に関するQ&A

Q. カナダは銃社会ですか?移住しても大丈夫?
カナダは「アメリカほどではないが、銃は身近にある国」というイメージが近いでしょう。ただし制度上はかなり厳しく管理される国に分類されます。カナダ王立騎馬警察(RCMP)は、銃を持つには免許取得と登録が必要であり、所持・保管・使用方法にも細かい規制があると説明しています。たとえばRCMPの “Firearms” ページでは、銃器を「non-restricted / restricted / prohibited」の3区分に分け、それぞれ異なる許可や保管義務があると述べています(RCMP)。
世界的な殺人発生率を見ると、国連薬物犯罪事務所(UNODC)のデータでは、カナダの殺人率は人口10万人あたり1~2件台で推移し、アメリカ(約5~6件)の半分以下にとどまっています(UNODC)。銃規制研究で知られる Small Arms Survey も、カナダの民間銃器保有率は高所得国の中で中程度であり、アメリカより大幅に低いと指摘しています(Small Arms Survey)。
一方で、銃犯罪がゼロというわけではありません。カナダ統計局(Statistics Canada)は、2022年の銃器関連暴力犯罪について、2020年と比べて増加した州や都市もあるとしています。ただし全体としては特定地域に集中する傾向があると分析しています(Statistics Canada)。
RCMPは市民向け安全情報で、日常的に銃声が聞こえる、一般人が銃を携帯して歩くといった状況を想定してはいません。むしろ家庭内での不適切な保管や違法銃の取り締まりを課題として挙げています(RCMP)。一般的な住宅街や郊外で暮らす限り、日常生活で銃を目にすることはほとんどないと考えてよいでしょう。
そのうえで、次のような基本行動は必要です。
- 治安が不安定な地区は避ける
- 深夜に人通りの少ない場所を歩かない
- 違法薬物やギャングが集まるバーなど、トラブルを招きやすい場に近づかない
こうした基本を押さえておけば、「銃社会だから危険で暮らせない」と構えすぎる必要はありません。
Q. 最近カナダの治安は悪化していますか?
「治安が悪化している」という感覚が出てきている背景には、統計上の変化とニュース報道の増加が重なっている面があります。カナダ統計局は警察認知犯罪に基づく「Crime Severity Index(CSI)」を毎年公表しています。2022年の全国CSIは78.1で、パンデミック直後の2020年(73.6)より上昇したと報告されています(Statistics Canada)。同報告では、暴力犯罪CSIも2022年に過去10年で比較的高い水準となったとされています。
ただし、Statistics Canadaは同じレポート内で、殺人や重傷害など一部の重大犯罪がCSIの押し上げ要因である一方、空き巣など一部の財産犯は長期的に減少傾向を維持していると分析しています(Statistics Canada)。「すべての犯罪が一斉に増えている」というより、「一部の暴力事件が目立ち、全体が悪化して見える」側面もあると考えられます。
パブリックセーフティ省(Public Safety Canada)は2023年の治安レポートで、ギャング関連暴力や銃犯罪、ドラッグ・メンタルヘルスと絡む路上の安全性を政策課題として挙げつつ、市民生活の多くにとっては国際的に見て安全な水準を維持していると位置づけています(Public Safety Canada)。
移住検討者にとって重要なのは、「全国平均」よりも自分が暮らす予定の都市・地区のトレンドです。次のような情報源を使い、候補エリアの変化をピンポイントで把握するとよいでしょう。
- Statistics Canada の都市別・州別犯罪統計
- 各州警察・市警の犯罪マップ
Q. 日本人がカナダで犯罪被害に遭いやすいケースは?
在外邦人の被害傾向について、日本の外務省領事局は各国の邦人安全情報として統計や事例を公開しています。カナダに関しては、「スリ・置き引き・詐欺」が主要な被害類型として繰り返し挙げられています(外務省「海外安全ホームページ」)。
具体的には次のような被害が多くなっています。
- 空港、駅、バスターミナル、ショッピングモールなど人混みでのスリ
- カフェや図書館で、席取りしたまま放置したバッグ・PCの置き引き
- 「財布を落とした」「両替を手伝ってほしい」などと声をかける詐欺
外務省はまた、「日本と同じ感覚で荷物を無防備に置きっぱなしにすること」が大きな要因だと指摘し、次のような基本行動を求めています。
- たとえ数分でも貴重品から目を離さない
- テーブルや椅子の背もたれにバッグを掛けたままにしない
詐欺に関しては、カナダ政府も移民・留学生を狙った電話・オンライン詐欺への注意喚起を強めています。カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)は、移民手続を装う詐欺についての専用ページを設け、「ビザや在留資格のためにギフトカードや仮想通貨での支払いを求める電話やメールは詐欺だ」と明言しています(IRCC)。
日本人が特に注意したい点としては、次のようなものもあります。
- 日本語で親しげに近づく「先輩」や「知り合いの紹介」を名乗る人物からの投資・副業勧誘
- 留学生コミュニティ内で広がる「口座貸し」「名義貸し」スキーム
外務省や在外公館はこれらも繰り返し問題視しています(在カナダ日本国大使館)。金銭や個人情報に関わる話は、相手が日本人かどうかにかかわらず、必ず公式情報源や第三者を通じて真偽を確認する姿勢が必要です。
Q. カナダとオーストラリア、治安が良いのはどちら?
移住先として人気の2か国の治安を比較するには、国連や各国統計局の犯罪データと、主観的な「安全感」を測る国際調査の両方が参考になります。
まず殺人率を見ると、UNODC の最新データでは、カナダもオーストラリアも人口10万人あたり1件前後〜2件弱のレンジにあります。いずれもOECD諸国の中で比較的低いグループです(UNODC)。
オーストラリア統計局(ABS)は「Recorded Crime – Victims」シリーズで犯罪被害者数を公表し、2022年の暴力犯罪被害者数について、過去20年で大きな悪化は見られないと分析しています(ABS)。カナダ側もStatistics Canadaが同様の傾向を示しており、両国とも「世界的には安全な先進国」に入ります。
主観的安全度では、The Economist Intelligence Unit の「Safe Cities Index」やNumbeoの「Crime Index / Safety Index」がよく引用されます。Safe Cities Index 2021 では、トロントとシドニーの両都市が安全な都市ランキングの上位に入り、治安や医療、インフラなど総合的に高評価を得ています(The Economist Intelligence Unit)。Numbeoの2024年データでも、トロント・バンクーバーとシドニー・メルボルンはいずれも「Crime Indexが低めでSafety Indexが高い都市」に区分されています(Numbeo)。
こうしたデータからは、「どちらが圧倒的に安全」というより、次の要素のほうが体感治安に大きく影響すると読み取れます。
- どの都市を選ぶか(大都市中心部か郊外か地方都市か)
- どんなライフスタイルで暮らすか(ナイトライフ中心か郊外で家族生活か)
オーストラリアは公共の飲酒やナイトライフ文化が比較的強く、週末の繁華街でのトラブルが起きやすいと指摘されます。カナダは冬季の屋外活動が制約される分、夜間の人出が少ないエリアも多くなります。
まとめると、「統計上はどちらも先進国の中では安全な部類に入り、国単位で優劣をつけるより、候補都市ごとの犯罪統計と、自分や家族の生活スタイルとの相性を見て選ぶことが重要」と考えると判断しやすくなります。
まとめ
カナダは世界的に見れば治安の良い国です。ただ、日本より犯罪リスクが高い面もあり、「自分の身は自分で守る」意識は欠かせません。都市ごとの特徴や要注意エリア、実際に多い犯罪の種類、基本的な防犯ルールを押さえておけば、リスクは大きく下げられます。
特に、住むエリアの選び方、日常の貴重品管理、夜間の行動パターンは、安全な海外生活の土台になります。公的な治安情報や現地の声をうまく活用しながら、自分や家族のライフスタイルに合ったカナダ移住を、現実的な条件で検討してみてください。


