ポルトガル移住を検討する際、多くの方が気にするのは「医療水準は日本と比べてどうか」「公的医療は外国人でも使えるか」「どの程度の保険に入れば安心か」といった点です。本記事では、ポルトガルの公的医療制度(SNS)の仕組み、私立病院の使い方、医療費の目安、緊急時の対応、民間保険の選び方、日本から持参したい薬、移住者の体験談までをまとめます。医療と保険の疑問を整理し、安心してポルトガル生活を始めるための判断材料として役立ててください。
ポルトガルの医療システム概要|公的医療(SNS)とは何か

ポルトガルで長期滞在や移住を考えるなら、まず公的医療制度「SNS(Serviço Nacional de Saúde)」の仕組みを押さえておきたいところです。日本の国民健康保険に近い位置づけの制度で、合法的に居住していれば外国人も原則として利用できます。
SNS(国民保健サービス)の仕組みと外国人の利用資格
SNS は、ポルトガル保健省が所管する全国統一の公的医療システムです。ポルトガル政府は公式ポータルで次のように説明しています。
“Serviço Nacional de Saúde (SNS) é o conjunto de instituições e serviços públicos de saúde, universal e tendencialmente gratuito”
(SNS は公的医療機関・サービスの集合体であり、普遍的かつ原則として無料)
― 出典:ポルトガル保健省公式ポータル / SNS 公式サイト
実際には完全な無料ではなく、多くの診療で少額の自己負担(taxas moderadoras)がかかります。一方で、救急医療や妊産婦ケア、特定の慢性疾患などは免除対象となることが多いと、保健省は示しています(出典:Ministério da Saúde / SNS 利用ガイドライン)。
外国人の利用資格について、政府の移民情報サイト「Portal das Comunidades Portuguesas」では次のように整理されています。
“Cidadãos estrangeiros residentes legalmente em Portugal têm direito ao acesso ao Serviço Nacional de Saúde, nas mesmas condições que os cidadãos portugueses.”
(ポルトガルに合法的に居住する外国人市民は、ポルトガル国民と同じ条件で SNS にアクセスする権利を有する)
― 出典:ポルトガル外務省・移民情報ポータル
つまり、ビザを取得し居住許可(Autorização de Residência)を持ち、自治体への住所登録(住民登録)を済ませれば、ポルトガル人と同じように公的医療サービスを利用できると理解できます。
逆に、滞在許可のない観光客や、手続き前の短期滞在者は SNS の対象外です。そのため、次の小見出しで触れるように、民間の海外旅行保険の備えが重要になります。
家庭医(かかりつけ医)への登録方法
ポルトガルの公的医療は「家庭医(médico de família)」を起点に利用します。SNS 公式サイトでは、
“Cada utente tem direito a inscrição numa lista de utentes de um médico de família”
(すべての患者は家庭医の担当リストに登録する権利を持つ)
と明記されています(出典:SNS – Direitos e Deveres dos Utentes)。家庭医に紐づくことで、必要に応じて専門医や病院を紹介してもらう流れです。
一般的なステップは次の通りです。
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NIF(税番号)の取得
銀行口座開設などと同様に、ポルトガル生活の入口となる番号です。税務署(Finanças)で発行してもらいます。 -
居住許可証・住所登録の取得
SEF(移民局。現在は AIMA に機能移管中)で居住許可カードを取得し、市役所で住所登録を行います。これが「合法的居住」の証拠になります。 -
最寄りの保健センター(Centro de Saúde)で SNS 番号を発行
保健省は「A inscrição no centro de saúde da área de residência é condição para acesso regular aos cuidados de saúde primários(居住地域の保健センターへの登録が、プライマリ・ケアへの通常アクセスの条件)」と説明しています(出典:Ministério da Saúde / Cuidados de Saúde Primários)。ここで利用者番号(número de utente)を取得します。 -
家庭医の割り当てを待つ
近年は医師不足もあり、すぐに家庭医が付かない地域もあると政府は認めています(出典:Relatório anual do SNS)。その場合は、暫定的に別の医師に診てもらうか、民間クリニックを併用する形になります。
この「家庭医中心」の仕組みは、日本のように自由に医療機関を選べるフリーアクセス制とは大きく異なります。移住後は、まず居住地の Centro de Saúde で登録手続きを済ませておくと、急病時も対応が受けやすくなります。
旅行者・短期滞在者はどうすればよいか
観光や短期出張での滞在では、多くの場合 SNS を直接利用できません。ポルトガル政府観光局と外務省の案内でも、
“Viajantes devem possuir um seguro de viagem ou de saúde que cubra cuidados médicos durante a estadia”
(旅行者は滞在中の医療費をカバーする旅行保険または医療保険に加入すべき)
と繰り返し注意喚起されています(出典:VisitPortugal / Travel Tips、ポルトガル外務省渡航情報)。
EU / EEA 諸国の市民であれば、EHIC(European Health Insurance Card)を提示することで、公的医療を利用できると欧州委員会は公式に説明しています。
“With the European Health Insurance Card you can get medically necessary healthcare in another EU country under the same conditions and at the same cost as people insured in that country.”
(ヨーロッパ健康保険証により、他の EU 加盟国でも、その国の被保険者と同じ条件・同じ費用で必要な医療を受けられる)
― 出典:European Commission, European Health Insurance Card
一方、日本を含む EU 圏外の国籍者には EHIC の適用がありません。そのため、民間の海外旅行保険で「治療・救援費用」が十分にカバーされるプランを用意しておく必要があります。特に次のポイントは事前確認が欠かせません。
- ポルトガルを含むヨーロッパでの治療費・入院費の補償限度額
- 救急搬送、医療通訳、緊急帰国の費用が含まれるか
- キャッシュレス診療の提携病院がポルトガルにあるか
長期滞在ビザの申請では、ポルトガル当局が「ポルトガルおよびシェンゲン圏で有効な医療保険加入証明」を求めることも、外務省領事情報に明記されています(出典:ポルトガル大使館ビザ案内、外務省海外安全ホームページ)。
移住前・短期滞在中は民間保険でカバーし、居住許可が下り次第 SNS に登録するという二段構えで医療アクセスを整えていくのが現実的な流れになります。
ポルトガルの医療レベル・医療水準はどのくらい?

EU加盟国としての医療水準
ポルトガルは EU 加盟国で、公的医療制度(SNS)を持つ国として、一定の医療水準を維持していると評価されています。EU レベルでは「すべての人が、必要な質の高い医療サービスにアクセスできること」が基本方針とされ(出典:European Commission, Access to healthcare)、ポルトガルもこの枠組みの中で制度整備を進めてきました。
EU の比較調査 State of Health in the EU – Portugal では、ポルトガルは心疾患・脳卒中などの急性期医療で成果を上げている一方、慢性疾患のフォロー体制や待ち時間の長さが課題と指摘されています(出典:OECD/European Observatory on Health Systems and Policies, Portugal: Country Health Profile)。
つまり、命に関わる場面での医療の質は高いものの、外来や専門医受診までの時間は長くなりやすいという特徴があります。
欧州委員会は、ヨーロッパ健康保険証(EHIC)について、
「他の加盟国でも、その国の被保険者と同じ条件・同じ費用で必要な医療を受けられる」
と明記しています(出典:European Commission, European Health Insurance Card)。この「同じ条件・同じ費用」という記述からも、ポルトガルを含む EU 内で、基礎的な医療水準に大きな差はないと読み取れます。
日本から移住する側として意識したいのは、「医療のレベル」そのものよりも、アクセスのしやすさや運用面の違いでストレスを感じやすい点です。急性期の医療技術や主要な医薬品の入手性は国際的な基準から大きく外れてはいません。一方で、予約の取りづらさや、英語・ポルトガル語でのコミュニケーションがネックになりがちです。
公立病院と私立病院の違いと質の比較
ポルトガルの医療は「公立(SNS)」と「私立」に大きく分かれます。EU レベルの報告書でも、
「ポルトガルでは公的医療への需要の増加と財政制約により、待機時間の長期化が問題であり、これを補う形で民間医療保険と私立医療機関の利用が広がっている」
と指摘されています(出典:OECD/European Observatory, Portugal: Country Health Profile)。
公立病院・公的クリニックは、ポルトガル国民や居住者であれば自己負担が低く、無料に近い負担で受診できる点が大きなメリットです。ただし、多くの報告や在住者の声が一致しているデメリットもあります。
- 専門医の予約が数週間〜数か月先になりやすい
- ER(救急)の待ち時間が長くなりやすい
- 英語が通じるスタッフは都市部に偏り、地方ではポルトガル語前提になりがち
EU の医療アクセスに関する調査でも、「ポルトガルでは医療へのアクセス障壁として『待機時間』を挙げる人の割合が比較的高い」とされています(出典:European Commission, Eurobarometer on Access to healthcare)。
一方、私立病院や私立クリニックには次のような特徴があります。
- 完全予約制が多く、待ち時間が短い
- リスボンやポルトなどでは英語対応の医師・スタッフが多い
- 設備が新しく、ホテルのような環境の病院もある
その代わり診療費は公立より高く、入院や手術では高額になりやすくなります。このため、現地の多くの人が任意の民間医療保険(seguro de saúde)に加入し、私立医療へのアクセスを確保しています。
日本の厚生労働省が公表する統計では、日本は公的医療保険により「国民1人当たりの医療費」や自己負担を一定水準に抑え、誰でも平等に医療にアクセスしやすい構造と示されています(出典:厚生労働省「医療保険と医療費の状況」)。ポルトガルも「公立なら安い」「私立は高いが快適」という二層構造が明確です。移住者は、私立をどこまで使うかで、必要な保険内容が大きく変わります。
日本と比べたときのギャップと注意点
日本から見ると、ポルトガルの医療水準は「命に関わる治療や大病院の設備はおおむね遜色ないが、サービス面にギャップがある」というイメージに近くなります。特に次の違いを理解しておくと戸惑いが減ります。
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待ち時間・予約システムの違い
日本の外来では、予約なしで当日受診できるクリニックが多く、「多少混んでいても、その日のうちに診てもらえる」前提で動けます。厚生労働省の家計調査でも、医療費支出は日常の生活費の一部として頻繁に発生していることが示されており(出典:厚生労働省「医療保険と医療費の状況」)、それだけ気軽に受診しているとも言えます。
これに対してポルトガルの公立医療は予約中心で、専門医受診までに時間がかかることが多い状況です。体調不良があっても「すぐに専門医に行く」のではなく、「まず家庭医に相談し、必要に応じて紹介を待つ」という流れになります。 -
言語のハードル
リスボンやポルトの私立病院では英語診療が可能なことが多い一方で、公立医療機関や地方都市ではポルトガル語が基本です。診察内容を理解し、症状を正確に伝えるには、医療通訳付きの保険や、英語対応クリニックを事前にリストアップしておくと安心感が高まります。 -
医療費の支払い方と保険の組み合わせ
日本では公的医療保険により原則3割負担で、高額療養費制度もあります。一方、ポルトガルでは「公立で安く受ける」か「私立で高くても快適に受ける」かを、保険加入状況と照らし合わせながら選ぶ必要があります。外務省やポルトガル大使館の案内でも、長期滞在ビザでは「ポルトガルおよびシェンゲン圏で有効な医療保険加入証明」が求められると明記されており(出典:ポルトガル大使館ビザ案内、外務省海外安全ホームページ)、医療費リスクは個人がしっかりカバーする前提です。
移住準備では、「ポルトガルの医療レベルが日本より高いか、低いか」という単純な比較よりも、次のような観点が重要になります。
- 私立医療をどの程度使う生活を想定するか
- 英語・ポルトガル語での医療コミュニケーションに、どこまで対応できるか
- 持病や子どもの医療ニーズに合う専門科が現地にあるか
こうした具体的なイメージを持つことで、「公立+民間保険」「私立中心+高額補償」など、自分に合った医療・保険の組み合わせを選びやすくなります。
ポルトガルの医療費相場|公立・私立それぞれの費用感

ポルトガル移住では、医療レベルだけでなく「実際に病院にかかったとき、どの程度の金額になるか」をイメージしておくことも欠かせません。ポルトガルは公立医療(SNS)と私立医療が並立しており、どこにかかるかで医療費は大きく変わります。ここでは、公立・私立それぞれの費用感と、日本人が遭遇しやすい高額医療費の例を整理します。
公立病院(SNS)での自己負担額の目安
ポルトガルの公立医療は、ポルトガル国民と永住者・長期居住者を中心にカバーする制度で、日本の「国民皆保険」に近い仕組みとよく説明されます。ただし、実際の負担の仕方は日本とかなり異なります。
- SNS に登録し、医療カード(Cartão do Utente)を持つ居住者:診療ごとに定額の「受診料(taxa moderadora)」を支払う方式が基本
- SNS 未登録の短期滞在者・旅行者:公立病院を利用しても「全額自己負担」となるケースが多い
ポルトガル政府の公式説明では、SNS は「全国民が利用できる公的医療サービス」であり、一定の自己負担を通じて医療資源の乱用を防ぐ考え方が示されています(出典:ポルトガル保健省 SNS 公式サイト / Serviço Nacional de Saúde 説明ページ)。
現地情報をまとめた「ポルトガルの医療費相場」では、公立医療の自己負担の目安としておおよそ次のような水準が紹介されています(出典:hokentimes.com「ポルトガルの医療費相場」)。
- かかりつけ医(GP)や一般外来の診察料:5〜20ユーロ前後
- 救急外来:20〜40ユーロ前後
- 基本的な検査(血液検査やレントゲンなど):数ユーロ〜十数ユーロ程度の追加
日本のように「3割負担」で高額療養費制度が自動的に適用されるわけではなく、「1回いくら」という形で自己負担がかかる仕組みです。2020年以降、一部の受診料については免除・無料化が進められていますが、主な対象はポルトガル国民や条件を満たす居住者です(出典:ポルトガル保健省プレスリリース)。
日本からの移住者が長期ビザで居住し、SNS に登録できれば、日常的な風邪や慢性疾患のフォローなどは低コストで受けられます。一方、SNS に登録していない旅行者や、ビザ取得直後でまだ医療カードが出ていない段階で公立病院を使うと、同じ病院でも「全額自己負担」となり、後述する私立医療並み、あるいはそれ以上の金額になることがあります。
私立病院・クリニックの診療費相場
ポルトガルでは私立医療も発達しており、英語対応や待ち時間の短さから、都市部の外国人居住者は「日常の通院は私立」「大きな手術や緊急時は公立も視野に」と使い分けるケースが目立ちます。私立は自由診療扱いで、料金も病院ごとの設定のため、公立より明らかに高額です。
現地の移住者向け情報サイトやクリニックの公開情報を総合すると、私立医療の大まかな相場は次の通りと紹介されています(出典:hokentimes.com「ポルトガルの医療費相場」「ポルトガルでの治療費の実例」)。
- 一般内科・家庭医の初診:50〜150ユーロ程度
- 専門医(整形外科、皮膚科、婦人科など):70〜200ユーロ前後
- 超音波(エコー)・レントゲン:50〜200ユーロ
- MRI・CT など高度な画像検査:300〜1,000ユーロ
リスボンやポルトの大手私立病院の料金表でも、一般診察が 70〜100ユーロ前後で、検査を追加すると 1 回の受診で 200〜500ユーロ程度になるケースが確認できます(出典:大手私立病院公式料金表)。
この水準を日本と比べると、日本で 5,000〜1万円程度の検査付き外来が、ポルトガルの私立では 2万〜8万円相当になるイメージです。入院や手術となると、次のように「数千〜数万ユーロ」が現実的なレンジになります(出典:hokentimes.com、SBI損保「ヨーロッパでの医療費事例」)。
- 1泊あたりの入院基本料:数百ユーロ〜1,000ユーロ超
- 1週間程度の入院+手術:合計で 5,000〜20,000ユーロ
このため、ポルトガルへの長期滞在や移住では、「私立医療をどの程度使うか」と「民間医療保険でどこまでカバーするか」をセットで考える必要があります。
実際の治療費事例(骨折・入院・手術など)
医療費のインパクトが実感しやすいのが、骨折や救急搬送、手術を伴うケースです。日本の厚生労働省が公開する統計でも、1人あたり医療費は年々増加傾向で、入院や手術を伴う疾病が家計に大きな影響を与えると示されています(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)。海外では、その負担が「公的保険なしで丸ごと自費」になりかねません。
SBI損保が公表している「海外旅行中の高額医療費事例」では、スペイン・ポルトガルを含むヨーロッパでの骨折や救急搬送に関して次のような金額が報告されています(出典:SBI損保「海外旅行保険・ヨーロッパでの高額医療費事例」)。
- ポルトガル滞在中に転倒し、大腿骨骨折で救急搬送・入院・手術:総医療費が 1万〜2万ユーロ規模
- 観光中の転落事故で複数箇所を骨折し、救急搬送+集中治療室(ICU)+手術:トータル 3万ユーロ超
- 救急車搬送費だけで数百ユーロ、ICU 1日あたりが 1,000ユーロ近く
同様に、hokentimes.com の「ポルトガルでの治療費の実例」では、私立病院での骨折治療や緊急手術が「合計 5,000〜1万ユーロ台」になった例が複数紹介されています。たとえば、足首の骨折で手術+プレート固定+数日の入院という整形外科手術でも、手術費と入院費、検査代を合わせて 7,000〜1万ユーロ前後だったとされています(出典:hokentimes.com「ポルトガルでの治療費の実例」)。
1ユーロ=160円と仮定すると、次のような金額になります。
- 1万ユーロ:160万円
- 2万ユーロ:320万円
- 3万ユーロ:480万円
日本で高額療養費制度を利用した場合と比べ、家計へのダメージは桁違いになり得ます。特に、ポルトガルでは SNS 登録がない状態で救急搬送されると、公立病院であっても「旅行者扱い」となり、私立並み、あるいはそれ以上の請求が発生しうるとされています(出典:外務省海外安全ホームページ「海外での医療事情」ポルトガル)。長期滞在者であっても、「SNS 登録が完了するまでの期間」や「私立病院を選んだ場合」のリスクを見込んでおく必要があります。
このように、ポルトガルの医療費は「公立 SNS を居住者として利用するかぎりは比較的安い」が、「未登録状態や私立医療での入院・手術は数百万円レベルになり得る」という二極構造です。移住を検討する段階では、日常的な外来費用だけでなく、骨折・救急搬送・手術といった最悪ケースのコストも想定し、それを公立医療の活用と民間保険でどこまで吸収するかを具体的に考えておきたいところです。
救急・緊急時の対応方法|突然の体調不良に備える

ポルトガルでは、日中の診療よりも「救急・夜間」の方が、言葉の壁や費用面でストレスがかかりやすいと言われます。海外移住者にとっては、体調が急変した場合に「どこに、どう連絡すればいいか」を事前に押さえておくことが重要です。
救急車の呼び方(緊急番号112)
ポルトガルの共通緊急番号は、日本でいう 119 にあたる「112」です。消防・救急・警察すべてがこの番号に集約されており、EU 共通の緊急通報番号として全土で機能しています(出典:欧州委員会 “European emergency number 112”)。
外務省も海外安全情報の中で「ポルトガルの救急車要請は 112 番に通報する」と明記しています(出典:外務省海外安全ホームページ「医療事情(ポルトガル)」)。観光客・長期滞在者を問わず、この番号だけ覚えておけば問題ありません。
112 に電話をかけると、原則としてポルトガル語でオペレーターが対応しますが、英語が通じるケースも多いと報告されています(出典:sekai-ju.com「夜に突然具合が悪くなった?救急のときの対応方法」)。通報時には、次の情報を簡潔に伝えられるよう準備しておくと安心です。
- 発生場所の住所(もしくは目印になる建物名)
- 症状(胸の痛み、呼吸困難、意識不明、大量出血など)
- 患者の年齢・性別
- 通話者の名前と電話番号
外務省は「救急車による搬送自体は原則無料だが、その後の治療費は別途請求される」とも注意喚起しています(出典:外務省海外安全ホームページ「医療事情(ポルトガル)」)。SNS に未登録の場合、公立病院であっても旅行者扱いとなり、高額な医療費を一括で求められる可能性があります。この点は、前セクションの医療費とあわせて意識しておきたいところです。
リスボン・ポルトの救急病院リスト
首都リスボンと第2の都市ポルトには、24時間救急や緊急外来を受け付ける大規模病院が複数あります。以下は、日本人移住者・旅行者の利用実績が多いと紹介される医療機関の一部です。
リスボン周辺の主な救急対応病院
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Hospital de Santa Maria(サンタ・マリア病院)
リスボン市内最大級の公立大学病院で、24時間救急を受け付ける総合病院です。sekai-ju.com の「リスボンの救急病院」では「重症の場合、まず候補に挙がる大病院」と紹介されています(出典:sekai-ju.com「リスボンの救急病院」)。
公立病院のため SNS 利用者向け料金が設定されていますが、外国人旅行者・SNS 未登録者は実費負担となる点に注意が必要です(出典:外務省海外安全ホームページ「医療事情(ポルトガル)」)。 -
Hospital CUF Descobertas(CUF デスコベルトゥシュ病院)
民間医療グループ CUF のリスボン東部の総合病院です。hokentimes.com は「ポルトガルで日本人観光客が利用しやすい病院」として CUF 系列病院を挙げ、「私立である分、設備が新しく英語対応も比較的スムーズ」と評価しています(出典:hokentimes.com「ポルトガルで日本人観光客が利用しやすい病院」)。
24時間の救急外来があり、支払いはクレジットカードに対応します。海外旅行保険や国際医療保険のキャッシュレス提携先になっている場合も多いため、保険会社の病院リストと照らし合わせておくと安心です。 -
Hospital da Luz Lisboa(オスピタル・ダ・ルス・リスボア)
民間の大病院で、hokentimes.com「リスボンの病院」では「高水準の医療設備と英語対応」が特徴として紹介されています(出典:hokentimes.com「リスボンの病院」)。救急外来があり、外科系・内科系とも診療科が幅広い病院です。
ポルト周辺の主な救急対応病院
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Centro Hospitalar Universitário de São João(サン・ジョアン大学病院)
ポルト最大規模の公立大学病院です。外務省は「高度な医療を提供する大病院」として言及しており(出典:外務省海外安全ホームページ「医療事情(ポルトガル)」)、ポルト北部の救急医療の中心的役割を担っています。
忙しい病院で待ち時間は長くなりやすいものの、重症例の受け入れ体制は整っています。 -
Hospital CUF Porto(CUF ポルト病院)
hokentimes.com「ポルト北部の病院」によると、「英語が通じやすく、日本人も受診しやすい私立病院の一つ」と紹介されています(出典:hokentimes.com「ポルト北部の病院」)。救急外来を 24時間開設しており、民間保険・海外旅行保険との提携も多いとされます。加入保険の「提携病院リスト」に含まれるか、事前に確認しておきたいところです。 -
Hospital de Santo António(サント・アントニオ病院)
ポルト中心部にある歴史ある公立病院で、救急外来を備えています。公立のため費用は抑えられますが、SNS 未登録者は高額請求になる場合がある点は、他の公立病院と同様です(出典:外務省海外安全ホームページ「医療事情(ポルトガル)」)。
これらの病院名と所在地、最寄り駅は、スマホの地図アプリにあらかじめ登録しておくと、タクシーや配車アプリ利用時にスムーズに共有できます。
夜間・休日に受診できる医療機関の探し方
夜間や休日に体調が悪化した際、「112 を呼ぶほどではないが、今すぐ医師に診てほしい」という場面も想定されます。こうしたケースでは、次のような情報源が役立ちます。
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SNS(Serviço Nacional de Saúde)の公式サイト・アプリ
公的医療システム SNS は、公式ポータル「SNS」(www.sns.gov.pt)で、地域ごとの医療機関リストや救急・当番医情報を提供しています。外務省も「医療機関情報はポルトガル保健省および SNS の公式サイトで確認できる」と案内しています(出典:外務省海外安全ホームページ「医療事情(ポルトガル)」)。 -
民間病院グループの公式サイト
CUF や Hospital da Luz などの民間医療グループは、各院の「Urgência(救急)」の受付時間や所在地を公式サイトで公開しています。hokentimes.com では、これらのサイトを使って事前に「自宅や学校、職場の近くで 24時間受診できる病院」をリストアップしておくことが勧められています(出典:hokentimes.com「ポルトガルで日本人観光客が利用しやすい病院」)。 -
海外旅行保険・国際医療保険のサポートデスク
多くの保険会社は、24時間日本語対応の緊急サポート窓口を設けています。現地時間の夜間や休日でも「今すぐ受診すべきか」「どの病院に行くべきか」を相談できます。外務省も「海外では現金・クレジットカード払いを求められることが多く、保険会社のサポートを通じて医療機関を受診することが望ましい」と注意喚起しています(出典:外務省海外安全ホームページ「海外での医療事情 共通事項」)。 -
日本大使館・総領事館の医療機関リスト
在ポルトガル日本大使館は、現地で日本人が利用しやすい医療機関の情報をまとめ、公式サイトで公開しています。言語面の不安が大きい場合は、大使館サイトの「医療情報」ページを確認し、推奨病院を把握しておくと安心です(出典:在ポルトガル日本国大使館「医療情報」)。
こうした一次情報を参考に、「自宅周辺」「子どもの学校周辺」「よく行くエリア」ごとに次の情報を整理しておくと、いざというときに落ち着いて動けます。
- 救急車を呼ぶ番号(112)
- すぐに駆け込める公立病院 1〜2件
- 英語にも対応し、受診しやすい私立病院 1〜2件
長期滞在者であれば、これらの病院について「SNS で受診できるか」「自分の民間保険がキャッシュレス対応か」を事前に確認し、医療と保険の両面から備えておくと安心です。
ポルトガルで加入すべき民間保険の選び方

ポルトガルに長期で滞在・移住する場合、公的医療(SNS)だけでなく、民間医療保険をどう組み合わせるかが重要になります。ここでは、現地の民間保険、日本発の海外旅行保険、クレジットカード付帯保険、滞在目的別の考え方を整理します。
移住者向け民間健康保険(現地保険会社)の種類と相場
ポルトガルでは、公的医療システム SNS に加え、私立病院・クリニックにスムーズにかかるための民間医療保険が広く利用されています。代表的な保険会社には Médis、Multicare、Fidelidade などがあります。これらはポルトガル国内の民間医療ネットワークと提携している点が特徴です。
ポルトガル移住者の多くは、次のような形で加入しています。
- 外来・検査・入院をカバーする総合プラン
- 歯科や眼科などを追加するオプション
保険料は年齢や補償範囲によって変わりますが、30〜40代なら月 20〜60ユーロ前後が一般的なラインです。公的医療が整っているポルトガルでは、民間保険は「快適さとスピードを買う」位置づけになりやすく、SNS 登録前の空白期間や、公立病院の混雑を避けたい場合に役立ちます。
日本の厚生労働省も海外の医療保険利用について、「各国の公的医療保険制度や民間医療保険の仕組みは多様であり、自国の制度と同じと考えるのは適切ではない」と注意喚起しています(出典:厚生労働省「健康・医療 医療保険データベース」)。渡航先の制度を理解したうえで、民間保険を組み合わせる必要があります。
海外旅行保険・海外在住者向け保険の違い
日本出発前に検討する保険としては、「海外旅行保険」と「海外在住者向け保険」があります。それぞれ性格が異なるため、滞在期間と目的に合わせて選ぶことが大切です。
海外旅行保険は、数週間〜数か月程度の短期滞在を想定した商品が中心です。ryokohoken.org は、
「海外旅行保険は一時的な旅行中のケガや病気、携行品損害などを広くカバーする保険であり、長期の居住には必ずしも最適ではない」
と説明しています(出典:海外旅行保険ナビ「ワーホリ・留学・研究滞在ごとの必要性と選び方」)。
一方で、同サイトはワーキングホリデーや長期留学について、
「現地の公的保険に入るまでの期間や、現地保険でカバーしきれない部分を補う目的で、日本出発前に長期の海外旅行保険を契約するケースが多い」
とも述べています(同上)。ポルトガル移住でも、SNS 登録前後の数か月をカバーする手段として有効です。
海外在住者向け保険(いわゆる expat insurance)は、1年以上の長期滞在・永住を前提に設計された国際医療保険が中心です。居住国が変わっても継続できる商品もあります。hokentimes.com では、
「海外在住者向け医療保険は、海外旅行保険に比べて長期契約が可能で、持病のある人でも条件付きで加入できる商品がある一方、保険料は割高になる傾向がある」
と解説しています(出典:Hoken Times「海外旅行保険の選び方・比較のポイント」)。ポルトガルだけでなく EU 圏内を行き来する生活を想定する場合、こうした国際医療保険も候補になります。
クレジットカード付帯保険の活用と限界
「海外旅行保険はクレジットカード付帯で十分ではないか」と考える方もいますが、長期滞在や移住では、クレジットカード保険は補助的と捉える方が現実的です。
hokentimes.com はクレジットカード付帯保険について、
「補償期間が 3か月程度までに制限されているカードが多く、傷害・疾病治療費用の補償額も 100〜200万円前後と、専用の海外旅行保険と比べて低めに設定されている」
と指摘しています(出典:Hoken Times「クレジットカード付帯保険の海外旅行保険」)。同記事では、
「クレジットカード付帯保険だけで長期留学やワーキングホリデーに出るのは推奨できない」
とも明言されています(同上)。ポルトガル移住のように、数か月〜数年単位での滞在では、カード付帯保険だけに頼るのはリスクが高めです。
ポルトガルでの医療費は、公立病院を利用すれば抑えやすいものの、私立病院の救急外来や入院では数千ユーロ単位の請求になりえます。そのため、クレジットカードの補償は「渡航直後の数週間」「本格的な保険に加入するまでのつなぎ」として位置づけ、本命は現地の民間保険や海外旅行保険・海外在住者向け保険とするのが安全です。
ワーホリ・留学・長期滞在それぞれに必要な保険
滞在目的によって、適した保険の組み合わせは変わります。ryokohoken.org では、ワーホリ・留学・研究滞在ごとに必要な保険の考え方を整理し、
「ワーキングホリデーでは、就労を伴う活動でケガや賠償リスクが高まるため、治療費だけでなく賠償責任もカバーする長期の海外旅行保険が基本になる」
と説明しています(出典:海外旅行保険ナビ「ワーホリ・留学・研究滞在ごとの必要性と選び方」)。
同記事ではさらに次のように述べています(同上)。
- 長期留学では、学校側が指定する保険への加入が義務づけられるケースが多く、現地学生保険と日本発の海外旅行保険を併用することがある
- 研究滞在や帯同家族を伴う駐在では、勤務先や受け入れ機関の保険制度と、自分で加入する国際医療保険や現地の民間保険をどう組み合わせるかがポイントになる
これをポルトガル移住に当てはめると、次のような組み立て方が現実的です。
- ワーホリ・1年未満の留学:日本で長期の海外旅行保険に加入し、必要に応じてポルトガル現地の民間保険を追加
- 大学・大学院など 1年以上の留学:大学指定の保険と日本発の長期海外旅行保険で SNS 登録までをカバーし、その後 Médis など現地民間保険を検討
- 長期移住・リモートワーク:渡航直後は日本発の海外旅行保険か海外在住者向け保険でカバーし、SNS 登録後は現地民間保険(Médis / Multicare / Fidelidade など)に軸足を移す
厚生労働省は、「日本の健康保険証は海外ではそのまま使えない」と明言しています(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)。日本の公的医療保険に加入していても、ポルトガルでの医療費は原則として現地で自己負担し、民間保険や海外旅行保険を通じてカバーするイメージになります。
ポルトガルで安心して医療を受けるには、次の三段階で考えると整理しやすくなります。
- 渡航前:日本発の海外旅行保険または海外在住者向け保険
- 渡航後:SNS 登録完了までの空白期間を上記保険でカバー
- SNS 登録後:現地民間保険で私立病院へのアクセスを確保
SNS と民間保険の両方をうまく活用することで、公的医療のコストメリットと、私立医療のスピード・サービスをバランスよく享受できるようになります。
ポルトガルの病院受診で気をつけるべきトラブルと注意点

ポルトガルでの診療は、日本と段取りがかなり異なります。「日本の感覚」のまま動くと受診できなかったり、必要な薬が手に入らなかったりするリスクがあります。ここでは、とくにトラブルになりやすいポイントを整理します。
言語の壁|ポルトガル語・英語が話せない場合の対処法
公立医療機関では、基本言語はポルトガル語です。日本の厚生労働省も海外で医療を受ける際の一般的な注意として、「現地の医療制度や言語の違いに十分留意する必要がある」と述べています(出典:厚生労働省「健康・医療 医療保険データベース」)。ポルトガルも同様です。
現地の移住者向け情報では「公立病院ではポルトガル語が中心で、英語が通じないケースも多く、通訳を用意した方が安心」とされています(出典:HokenTimes『ポルトガルの医療事情』)。英語が通じる医師や看護師に当たることもありますが、必ずしも期待できる状況ではありません。「ポルトガル語ができない=通訳や翻訳ツールの準備が必須」と考えておいた方が安全です。
具体的な対処法の例です。
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通訳サービスの利用
民間医療保険によっては、電話通訳や医療相談サービスが付帯している商品があります。「通訳が必要」と明記しているケースもあり(出典:HokenTimes 同上)、ポルトガル到着前に加入プランを確認し、利用方法をメモしておくと安心です。 -
翻訳アプリの事前準備
症状をポルトガル語や英語で説明できるよう、定型文をスマホに保存しておきます。病名や常用薬の名前は、あらかじめ英語名・一般名でも控えておくと診療がスムーズです。 -
紙ベースのメモ
通信状況が不安定な場面もあるため、「アレルギー歴」「既往症」「内服中の薬」だけはポルトガル語か英語で紙に印刷し、常に携帯しておくと緊急時に役立ちます。
言語の壁から説明不足になると、誤った診断や処方につながるおそれがあります。日本の統計でも「医療費は基本的に自己負担し、あとから保険で精算する」ことが前提とされ(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)、高額医療ほどミスは許されません。通訳や翻訳の準備は、費用節約というより安全のための投資と考えた方がよいでしょう。
予約制の病院が多い|飛び込み受診の注意
ポルトガルでは、家族医(家庭医)を起点とする受診フローが一般的です。「まず家庭医にかかり、そこから必要に応じて専門医紹介、薬局での薬の受け取り」という流れになります(出典:りょこうほけん.org『ポルトガルの医療事情と受診方法』)。家庭医への受診も多くが予約制で、いきなり専門病院に行く形は想定されていません。
現地情報では、
「ポルトガルの病院は基本的に予約制で、救急以外の飛び込み受診は難しい」
と繰り返し説明されています(出典:HokenTimes『ポルトガルで病院にかかるには』)。発熱や体調不良でも、予約なしでは数時間以上待たされたり、診てもらえなかったりする可能性があります。そのため、次の点に注意したいところです。
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かかりつけ医(家庭医)を早めに登録する
SNS 登録後、居住地を管轄する保健センターで家庭医を割り当ててもらいます。厚生労働省が示すように、日本の健康保険証は海外では使えないため(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)、現地制度に沿った受診ルートの確保が重要です。 -
軽い症状はクリニックや私立病院も検討する
民間保険でカバーされる私立クリニックは、オンライン予約システムを持つところが多く、当日〜数日以内の予約が取りやすい傾向があります。自己負担は増えますが、待ち時間や受診拒否のリスクを抑えられます。 -
救急は例外だが、緊急度の説明が必要
救急外来は予約なしで受診できますが、受付で緊急度をトリアージされます。生命に関わらないと判断されれば、数時間待つこともあります。「どの程度急を要するか」を英語かポルトガル語で説明できるようにしておくと対応が変わる場合があります。
日本の感覚で「具合が悪いから、とりあえず近くの総合病院へ」という行動を取ると、受付で断られたり、長時間待たされたりしがちです。ポルトガルでは「予約」「家庭医」「紹介状」がキーワードと意識しておくと、受診トラブルを減らせます。
処方箋と薬局(Farmácia)の利用方法
ポルトガルでは、病院やクリニックで診察を受けたあと、多くの薬は処方箋を持って薬局(Farmácia)へ行き、そこで受け取る仕組みです。りょこうほけん.org はポルトガルの受診フローとして、「家庭医を受診 → 必要なら専門医へ紹介 → 診断後に処方箋を受け取り、薬局で薬を購入する」という流れを基本として紹介しています(出典:りょこうほけん.org 同上)。
この仕組み自体は日本と似ていますが、細かなルールの違いでトラブルになりやすい点があります。
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処方箋の有効期限を確認する
多くの処方箋には有効期限があり、期限を過ぎると薬局で受け付けてもらえません。受診時に「いつまで有効か」を確認し、旅行や出張などで受け取りが遅れないようにします。 -
ジェネリック(一般名薬)への変更
ポルトガルでは薬局が同成分のジェネリック医薬品を提示することが一般的です。価格も銘柄によって異なり、複数候補から選べます。どれが自分の症状や予算に合うか、薬剤師と相談しながら決めることになります。 -
自己判断での市販薬多用に注意する
ビタミン剤や軽い痛み止めなどは処方箋なしで購入できますが、厚生労働省が医薬品全般について「自己判断での使用は健康被害を招くおそれがある」と指摘しているように(出典:厚生労働省「医薬品・医療機器」)、海外でも同じリスクがあります。常用薬がある場合は、日本での処方内容を持参し、現地医師に相談したうえで薬局を利用した方が安全です。
日本の公的医療保険は、ポルトガルの薬局では直接利用できません。薬代は一度全額自己負担し、帰国後に日本の健康保険から海外療養費の払い戻しを申請する形です。厚生労働省の統計でも、「国民一人当たりの医療費は国内制度に基づき算定される」と示されています(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)。海外の薬局では、現地ルールに沿って支払う前提になります。
このため、次の三点を徹底しておくと役立ちます。
- 処方箋はなくさないよう、写真でも保管しておく
- レシートや明細は保険請求用に保管する
- 不明な点は薬局でその場で確認する
ポルトガルの医療と薬局の仕組みをあらかじめ理解しておくことで、いざというときにも慌てずに行動できるようになります。
日本から持参すべき薬と現地薬局事情

日本で処方・市販されている薬で現地調達が難しいもの
ポルトガルでも薬局は充実していますが、日本と同じ成分・同じ使い方の薬がそのまま手に入るとは限りません。厚生労働省は医薬品全般について、「自己判断での使用は健康被害を招くおそれがある」と注意喚起しています(出典:厚生労働省「医薬品・医療機器」)。普段飲み慣れている薬を急に変える負担も小さくありません。
とくに長期滞在や移住の場合、次のような薬は日本から持参しておくと安心感が得られます。
- 日本で処方されている慢性疾患の薬(高血圧・糖尿病・甲状腺など)
- 日本の市販胃腸薬(胃もたれ・胸焼け・食べ過ぎ・下痢止めなど)
- かぜ薬(総合感冒薬)や解熱鎮痛薬
- アレルギー・花粉症薬、鼻炎スプレー、目薬
- 乗り物酔い止め、酔い止めパッチ
- 日本人の肌質に合う湿布、塗り薬、かゆみ止め
ポルトガルにも胃薬や痛み止めはありますが、成分や用量が日本と異なるものも多く、「効き方が強すぎる」「眠気が強い」と感じる可能性があります。日本語で情報を確認できるという意味でも、常用している薬は最低でも数か月分を日本で確保しておくと安心です。
また、日本で処方される一部の向精神薬・睡眠薬・ADHD 薬、強い痛み止めなどは、ポルトガル側で規制対象となる場合があります。厚生労働省は医薬品の海外持ち出しについても「各国の規制に従う必要がある」と案内しており(出典:厚生労働省「医薬品・医療機器」)、種類によっては事前許可や英文診断書が求められることもあります。常用薬がある場合は、処方医と相談しつつ、在ポルトガル日本大使館やポルトガル薬事当局の最新情報を確認しておきたいところです。
ポルトガルの薬局(Farmácia)で買えるもの・買えないもの
ポルトガルでは、薬は基本的に「Farmácia(ファルマシア)」と看板のある薬局で購入します。十字マークや緑色のクロスが目印です。街中のあちこちにあり、首都圏であれば夜間営業や当番薬局も整備されています。
ポルトガルの薬局は、処方薬と一部の市販薬・健康関連商品を扱う点では日本と似ていますが、「処方箋なしで買える範囲」が違います。厚生労働省は医薬品の扱いについて、「国ごとに制度設計が行われており、医療保険や医療費も各国制度に基づき算定される」と説明しています(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)。どの薬が自由に買えるかも、国ごとのルールによります。
一般的に、ポルトガルの薬局で処方箋なしでも購入しやすいのは次のようなものです。
- 軽い痛み止め(パラセタモールなど)
- ビタミン剤・サプリメント
- 軽い消化不良向けの薬
- うがい薬やのど飴
- 軟膏やクリーム(擦り傷、虫さされ、湿疹用など)
一方で、日本ではドラッグストアで買える総合感冒薬や強めの鼻炎薬、眠気を抑えたアレルギー薬などは、ポルトガルでは処方箋が必要な場合もあります。
また、日本の健康保険証はポルトガルの薬局では使えません。薬代は一度全額自己負担になります。厚生労働省の統計でも、「国民一人当たりの医療費は国内制度に基づき算定される」と明記されています(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)。海外の薬局で日本の公的医療保険が直接適用されることは想定されていません。
薬代を抑えたい場合は、EU 市民向け制度(SNS やヨーロッパ健康保険カードなど)の対象かどうか、民間の海外旅行保険・海外医療保険でどこまでカバーされるかを、事前に保険会社に確認しておく必要があります。
持参薬の量と入国時の注意事項
移住や長期滞在で日本から薬を持っていく場合、「どれくらいの量までなら問題ないか」「入国時に申告が必要か」が気になります。厚生労働省は海外療養費制度の説明の中で、海外で支払った医療費や薬代について、「日本帰国後に領収書等を添えて請求する」形になるとしています(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)。長期的には現地の医療・薬局を利用する前提ですが、初期数か月は日本の薬に頼る人も多く見られます。
一般的な目安としては次の通りです。
- 慢性疾患などの処方薬:最低 3か月分(可能なら 6か月分を医師と相談)
- 市販薬:使用頻度が高いものを 1〜3か月分
この間にポルトガルでかかりつけ医を見つけ、現地の処方に徐々に切り替えていく流れが現実的です。
入国時のトラブルを避けるため、次の準備をしておくと安心です。
- 薬は「元のパッケージ」のまま携行し、バラバラにしない
- 医師作成の英文処方箋、診断書、薬の成分表(generic name)があれば携行する
- 錠剤、カプセル、塗り薬、点眼薬など、種類別に整理しておく
- 向精神薬や麻薬性鎮痛薬など規制が厳しいものは、事前に大使館・領事館で持込条件を確認
厚生労働省が繰り返し強調しているように、医薬品の扱いは健康被害防止の観点から厳格に管理されています(出典:厚生労働省「医薬品・医療機器」)。「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断せず、次の情報を組み合わせて確認することが重要です。
- 日本側:かかりつけ医・薬剤師、厚生労働省や検疫所の案内
- ポルトガル側:在ポルトガル日本大使館、ポルトガル保健当局(Infarmed など)の情報
ポルトガル滞在中に新たに薬を購入した場合、日本の健康保険の海外療養費を利用する可能性があるなら、前セクションで触れたように「処方箋」「レシート・明細」を必ず保管しておきます。厚生労働省も海外療養費の手続きで支出を証明する書類の提出を求めているため(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)、渡航前から書類保存を意識しておくと、後々の請求手続きがスムーズになります。
ポルトガル移住者が実際に経験した医療・保険のリアルな体験談

ポルトガルの医療制度は、公的医療(SNS)と民間医療保険を組み合わせて利用するケースが多くなります。ただ、実際に使ってみるまで全体像がつかみにくいと感じる人もいるでしょう。ここでは、移住者が経験した具体的なつまずきと解決策、費用感、保険請求の実務をまとめます。
SNS登録でつまずいたケースと解決策
ポルトガルの公的医療サービスは「Serviço Nacional de Saúde(SNS)」という国民保健サービスに基づいて提供されます。ポルトガル保健省によると、SNS の利用には居住証明や納税者番号(NIF)などをもとにした登録が必要で、各地域の健康センター(Centro de Saúde)で手続きを行うのが一般的です(出典:Ministério da Saúde, SNS 公式サイト)。
しかし、実際の現場では次のような理由から、移住直後にスムーズに登録できない例もあります。
- 必要書類が窓口ごとに少しずつ違う
- 窓口職員の英語レベルに差がある
- 予約システムがオンラインと対面で分かれている
ある日本人移住者のケースでは、次のような流れでした。
- 居住許可カード(Título de residência)の発行前で、パスポートと賃貸契約書、NIF のみを持参
- 1回目の窓口では「まだ登録できない」と言われたが、別日に別担当者に当たると仮登録が可能だった
- 医師との初回予約が 2か月以上先となり、急ぎの受診は私立病院を利用せざるを得なかった
ポルトガル保健当局の案内では、SNS は「すべての住民に医療アクセスを保障する」と掲げています(出典:SNS Missão)。一方で、実務レベルでは担当者や自治体ごとに運用の差があることがうかがえます。
こうしたつまずきを減らすには、次の準備が役立ちます。
- 必要書類を事前に二重、三重に用意する(パスポート、NIF、居住許可、賃貸契約、雇用契約書、税務書類など)
- SNS 公式サイトや自治体サイトの案内文をポルトガル語のまま PDF 保存し、窓口で提示できるようにする
- 移住者コミュニティや先輩移住者から、住むエリアの「実際に通った Centro de Saúde」を聞いておく
また、医療アクセスの空白を避ける意味で、SNS 登録が完了するまでの数か月は、クレジットカード付帯などの海外旅行保険だけではなく、民間保険や日本の海外療養費制度との組み合わせも意識したいところです。
私立病院を使ったときの費用と満足度
ポルトガルでは、公的医療の待ち時間の長さを理由に、私立病院や私立クリニックを日常的に利用する移住者も多くいます。ポルトガル統計機関(INE)は、民間医療セクターの利用が年々増加していると指摘しており(出典:INE, Health statistics)、都市部ほどその傾向が強いとされます。
リスボン在住の移住者の一例では、次のような費用感が報告されています。
- 風邪・胃腸炎レベルの一般診療:私立クリニックの診察料が 60〜90ユーロ前後
- 専門医(皮膚科・耳鼻科など):初診 80〜120ユーロ程度
- 簡単な血液検査:30〜60ユーロ程度(保険未適用時)
実際の料金は病院グループや都市によって異なりますが、SNS 経由の「ほぼ無料」に近い公的医療と比べると、自己負担のインパクトは小さくありません。
一方で、同じ移住者は次のような点から、私立医療への満足度は高いと感じています。
- 予約がオンラインで完結し、英語対応の受付がある
- 予約時間からの待ち時間が 10〜20分程度で済む
- 医師が英語で丁寧に説明してくれるケースが多い
ポルトガル保健省も、私立医療機関が公的医療システムを補完する役割を持つと位置づけています(出典:Ministério da Saúde「Relatório de Primavera」)。実務的には、「SNS:慢性的な持病のフォロー」「私立:急に具合が悪くなったとき、検査を急ぎたいとき」という使い分けをする移住者が目立ちます。
こうした利用パターンを前提とすると、民間医療保険で「私立病院の診察費用をどこまでカバーできるか」が重要な検討ポイントになります。後述する保険請求の流れも含め、加入前にシミュレーションしておくと安心です。
保険請求の手続きで困ったこと・スムーズだったこと
日本から見ると、海外の民間医療保険には「本当に支払われるか」「請求が複雑ではないか」といった不安が残りがちです。X(旧Twitter)でも、海外居住者や長期旅行者から「本当にここから入れる保険はあるのでしょうか」という声が上がっており(出典:X @7Guilty_Party_B)、保険選びと請求手続きへの不安は共通のテーマといえます。
ポルトガルで民間医療保険を利用する移住者の話を総合すると、保険請求でつまずきやすいポイントは次の通りです。
- 領収書(Recibo)の形式が日本と異なり、「医療行為の内容」「医師名・登録番号」「VAT 番号」が明記されていないと、保険会社に受理されない場合がある
- 病院からもらう書類がポルトガル語のみで、診断内容の英訳提出を求められることがある
- オンライン請求ポータルの画面がポルトガル語中心で、提出すべきファイルが分かりにくい
一方で、事前に流れを把握しておくと、想像よりスムーズに進んだという声もあります。具体的なフローの一例です。
- 受診前に保険会社のアプリまたはポータルサイトで、提携医療機関(ネットワーク)かどうかを確認する
- ネットワーク医療機関であれば、支払い時に「co-payment(自己負担分)」のみを窓口で支払い、残額は病院から保険会社へ直接請求される
- ネットワーク外の場合、全額を自己負担で支払ったうえで、
- 診療内容が分かる明細付き領収書
- 診断書または医師のレポート
- パスポート番号や保険番号を示す書類
をスキャンして保険会社のポータルにアップロードする - 保険会社の審査を経て、2〜4週間程度で指定口座に払い戻しされる
各保険会社の約款や案内を見ると、「原本の保管」「一定期間内の請求」「診療内容が特定できる書類の提出」が共通して求められています(出典:主要保険会社の利用規約)。このため、次のような習慣をつけておくと請求がスムーズになります。
- 病院の受付で「保険請求に使うので、診療内容を詳しく書いた領収書がほしい」と伝える
- 診察当日に、スマホで領収書や処方箋を撮影し、クラウドに保存する
- 帰宅後すぐ保険会社のポータルに仮登録し、後から不足書類を追加する
日本側の健康保険による海外療養費請求でも、厚生労働省が「診療内容の分かる領収書」「支出を証明する書類」の提出を求めています(出典:厚生労働省「14-6 医療保険と医療費の状況」)。書類の充実度が、スムーズな支払いの鍵です。
ポルトガル移住を検討する段階から、次の点を具体的にイメージしておくとよいでしょう。
- SNS 登録までの「医療の空白期間」にどう備えるか
- 私立病院を日常的に使う場合の年間医療費のおおよその見込み
- 保険請求の実務(必要書類、期限、オンラインポータルの使い方)
こうした点をあらかじめ整理しておくことで、「いざというとき本当に使える医療・保険」を選びやすくなります。
ポルトガル生活で健康を守るために気をつけたいこと

ポルトガルは温暖で住みやすい気候といわれますが、日本とは日差しや食文化、生活リズムが大きく異なります。移住後しばらくは体調を崩しやすくなる方もいます。ここでは「紫外線・気候」「食生活」「メンタルヘルス」の3つの視点から、健康を守るために押さえておきたいポイントを整理します。
紫外線・乾燥・気候変化への対策
ポルトガルを象徴するのが「強い日差し」です。観光情報や現地移住者の発信でも「日照時間が長く、夏は日差しが強い」と繰り返し語られます。リスボンやアルガルヴェ地域は、ヨーロッパの中でも日照時間が長いエリアとして知られています。
日本の環境省も紫外線対策として、「帽子や日傘、サングラスの着用」「日焼け止めの適切な使用」を基本対策として挙げています(出典:環境省 紫外線環境保健マニュアル)。同じ考え方がポルトガル生活にも当てはまります。
特に意識したいのは次の点です。
- 夏は午前 11時〜午後 4時頃の直射日光をできるだけ避ける
- SPF30以上の UV カットの日焼け止めを、外出30分前に塗り、数時間おきに塗り直す
- サングラス(UVカット表記)、つばの広い帽子、長袖シャツなどで肌を守る
ポルトガルは夏の湿度が日本より低く、風も強い日が多いため、汗をかいていなくても皮膚や目が乾きやすくなります。WHO(世界保健機関)は熱中症予防として、「脱水を避けるため、喉が渇く前からこまめに水分をとる」ことを推奨しています(出典:WHO heat and health guidance)。ポルトガルでも同じような対策が必要です。
- ミネラルウォーターを常に携帯し、カフェではコーヒーに加えて水を一緒に注文する習慣をつける
- 海沿いエリアでは海風と日差しの影響で肌が乾燥しやすいため、保湿クリームやリップクリームを常備する
朝晩と日中の寒暖差にも注意が必要です。内陸部では冬の朝晩が想像以上に冷え込むこともあります。日本の厚生労働省も、高齢者だけでなく「寒暖差による体調不良」への注意を呼びかけています(出典:厚生労働省「健康・医療」総合情報)。
薄手のカーディガンやジャケットを一年中 1枚は持ち歩き、「日中は Tシャツでちょうどいいが、夜は冷える」前提で服装を選ぶと、体調を崩しにくくなります。
食生活の変化による体調管理
ポルトガル料理は魚介類が豊富で、地中海食に近いスタイルとされます。一方で、日本の家庭料理と比べると、「塩分・油分が多め」「ポーションが大きい」という傾向があります。
厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」では、成人の1日当たりの食塩摂取目標量を男性 7.5g 未満、女性 6.5g 未満に設定し(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)、高血圧や心血管リスクと塩分摂取の関係を強調しています。
ポルトガルでは、次のような食文化の違いが体調に影響しやすくなります。
- 干し鱈(バカリャウ)やグリル肉など、塩気の強いメイン料理が多い
- フライドポテトやオリーブオイルたっぷりの料理がよく出る
- 外食の一皿が日本より大きく、完食すると胃腸に負担がかかりやすい
消化器系のトラブルや体重増加を防ぐため、次のような工夫が有効です。
- 外食では「前菜+メインをシェア」するなど、量をコントロールする
- 塩気の強いメインを選んだ日は、サラダやスープ、フルーツでバランスを取る
- 日本から胃腸薬を持参し、食べ慣れない料理が続いたときに備える
厚生労働省は生活習慣病予防の観点から、「野菜を 1日 350g 以上とる」ことも推奨しています(出典:厚生労働省「健康日本21」)。ポルトガルのスーパーには新鮮な生野菜や果物が豊富に並び、八百屋も多く、自炊できる環境ならむしろ日本以上に野菜をとりやすい環境です。
移住初期から「1日1回は自炊で野菜中心の食事」「間食はスイーツではなく果物」といった、自分なりのルールを決めておくと体調を保ちやすくなります。
魚介類や乳製品は日本と種類が異なるため、アレルギー体質の方は特に注意が必要です。日本の厚生労働省は食物アレルギーについて、「新しい食品を試す際は少量から」「症状が出た場合は医療機関を受診し、記録を残す」ことを推奨しています(出典:厚生労働省 食物アレルギー情報)。ポルトガルでも同じ姿勢が重要です。初めて口にするチーズや貝類などは少量から試し、違和感を覚えたら無理をしないことが大切です。
メンタルヘルス|海外移住特有のストレスと相談先
身体の健康と同じくらい重要なのがメンタルヘルスです。海外移住者の体験談や SNS 上の投稿でも、「言葉の壁で病院や役所の手続きがストレスになる」「家族や友人が近くにいない孤独感がある」といった声がよく見られます。日本の厚生労働省も精神保健のページで、「生活環境の変化や人間関係の変化」がストレス要因になり得ると指摘し、早めの相談を勧めています(出典:厚生労働省「こころの健康」)。
ストレスが溜まりやすいタイミングとして、次の時期が挙げられることが多くあります。
- 到着後 3〜6か月:言語・生活習慣の違いに戸惑う「カルチャーショック期」
- 1〜2年目:仕事や子どもの学校、ビザ更新など現実的な課題が増える時期
こうした時期を乗り切るため、次のような相談先を事前に把握しておくと安心感が高まります。
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在ポルトガル日本国大使館
事件・事故・病気などの緊急時には、大使館・領事部が日本語で相談に乗ります。大使館サイトでは医療機関情報や安全情報も発信しており、困ったときの窓口になり得ます(出典:在ポルトガル日本国大使館公式サイト)。 -
日本語対応のオンラインカウンセリング
日本国内向けサービスでも、海外在住者を想定した「ビデオ通話カウンセリング」を提供するところが増えています。厚生労働省も、遠隔医療やオンライン相談を含めたメンタルヘルス支援の必要性に言及しています(出典:厚生労働省「自殺総合対策大綱」)。日本にいなくても、支援を受けられる環境が整いつつあります。 -
海外移住コミュニティや同業者ネットワーク
X(旧Twitter)や Facebook グループには、ポルトガル在住者コミュニティが複数存在します。保険トラブルを経験した人が X で「その後は保険でごねられたりして、面倒くさかった」といった生の声を投稿しているように(出典:X @Muttsurishoukai)、現地のリアルな失敗談やアドバイスに触れられる場は心強い情報源となります。
メンタル不調は「眠れない」「朝起きるのがつらい」「何もする気が起きない」といったサインから始まることが多くなります。厚生労働省はこころの不調のサインとして、睡眠障害や意欲低下、食欲の変化などを挙げ、「早めに専門家や相談窓口に相談することが重要」と強調しています(出典:厚生労働省「こころの耳」)。
そのため、ポルトガル移住を決めたタイミングで、次の3つを準備しておくとよいでしょう。
- 日本語で相談できるオンラインカウンセリングサービスを 1〜2社ピックアップし、登録方法を確認しておく
- 在ポルトガル日本国大使館の連絡先をスマホに登録し、緊急時の連絡手順を家族と共有する
- 現地コミュニティ(SNS グループやオフラインの日本人会)に早めに参加し、「相談しやすい知り合い」をつくっておく
身体の健康、食生活、メンタルヘルスをセットで考え、「何かあったらどこに相談するか」を具体的に決めておくことで、ポルトガル生活の安心感は大きく高まります。移住準備の段階から、自分と家族の健康をどう守るかを、医療・保険の情報と合わせて計画しておきたいところです。
ポルトガルの医療・保険まとめ|移住前に準備すべきチェックリスト
ポルトガル移住では、「いつ・何をしておくか」を具体的な行動に落とし込んでおくと、医療面の不安がかなり軽くなります。ここでは移住前と移住後に分けて、最低限押さえておきたいチェックポイントを整理します。
移住前・渡航前にやるべき保険・医療準備リスト
1. 長期滞在をカバーできる保険を必ず確保する
ポルトガルを含むシェンゲン加盟国の長期ビザでは、「シェンゲン協定に従った医療保険加入」が条件になることが多くなります。ポルトガル大使館もビザ申請要件として、
「滞在期間をカバーし、医療費・救急搬送・本国送還を補償する医療保険への加入が必要」
と案内しています(出典:在ポルトガル日本国大使館・ビザ関連案内)。無保険での長期滞在は現実的ではありません。
日本の海外旅行保険は「90日まで」のような期間制限が多いため、次の選択肢を比較し、「ポルトガル到着日から有効」「自己負担額(免責)が無理のない範囲」「ビザ要件を満たす補償内容」で決める必要があります。
- 長期滞在に対応した海外旅行保険(更新前提で使う)
- 駐在員やデジタルノマド向けの「海外在住者保険」
- 世界各国で受診可能な国際民間保険
2. クレジットカード付帯保険の条件を必ず確認する
クレジットカードに海外旅行保険が付いている場合でも、金融庁は、
「多くのカード保険は出国後 90日程度まで、かつ“旅行中”のみを対象としており、長期滞在や留学・移住では十分な補償が得られない」
と指摘しています(出典:金融庁「クレジットカードの海外旅行傷害保険を利用する際の留意点」)。
カード会社やプランにより内容は異なりますが、最低限次の点を確認しておきたいところです。
- いつからいつまで有効か(出国日から◯日、など)
- 「移住」「留学」のような長期滞在が対象外になっていないか
- 治療費の限度額と救援者費用の上限
そのうえで、「あくまでサブ」「本命は別の保険」という位置づけで考える方が安全です。
3. 慣れている薬と英文の情報を用意する
厚生労働省は海外渡航者向けに、持参薬について次のように案内しています。
「日頃から服用している薬は、現地で同じものが手に入らないことがあるため、可能な範囲で余裕をもって持参することが望ましい」
(出典:厚生労働省検疫所「FORTH 海外で健康に過ごすために」)
ポルトガルでも次のようなギャップが起こりがちです。
- 日本独自の市販薬が見つからない
- 同じ成分でも用量や用法が異なる
準備しておきたいのは次の3点です。
- 1〜3か月分を目安にした常備薬(頭痛薬・胃腸薬・アレルギー薬など)
- 持病がある場合の「英文診断書」
- 服用薬ごとの「英文処方内容(薬剤名・成分・用量)」
WHO(世界保健機関)も慢性疾患患者に対し、「海外滞在の際には医師による英文の診断書と薬の情報を携帯する」ことを推奨しています(出典:WHO “International travel and health”)。特に長期移住では必要となる準備です。
4. ワクチンと基礎疾患のコントロールを日本で確認しておく
ポルトガル入国に特別なワクチンは求められていませんが、厚生労働省は海外渡航者向けに、「麻しん・風しん・破傷風などの定期接種歴を確認し、必要に応じて追加接種する」ことを勧めています(出典:厚生労働省検疫所「FORTH 海外渡航のためのワクチン」)。
糖尿病や高血圧などの持病がある場合は、次のような準備が有効です。
- 渡航前に一度、日本の主治医で状態をチェックしてもらう
- ポルトガルで予想される生活変化(食事・運動量・ストレス)を相談しておく
この情報があると、現地の医師にも説明しやすくなります。
移住後すぐに動くべき手続き(SNS登録・家庭医確保)
1. ポルトガルの国民健康サービス(SNS)に登録する
ポルトガルでは、公共医療システムとして「Serviço Nacional de Saúde(SNS)」が整備されています。保健省は、
「SNS はポルトガル国内に居住するすべての人に対して、ユニバーサルでほぼ無料の医療アクセスを提供する」
と説明しています(出典:Ministério da Saúde / SNS Portal)。
EU 域外出身者でも、居住許可を取得すれば地域の健康センター(Centro de Saúde)で登録が可能です。到着後は次のような流れで進めます。
- 住民登録や居住許可の申請を進める
- 住まいの住所を管轄する健康センターを確認する
- パスポート、納税者番号(NIF)、住所証明などを持参し、SNS 番号の発行を申請する
可能であれば、移住から数週間以内に公的医療へのアクセスルートを確保しておきたいところです。
2. 家庭医(médico de família)を確保する
ポルトガルの公的医療では、家庭医(médico de família)が窓口となり、必要に応じて専門医へ紹介する「ゲートキーパー制度」が基本となります。SNS の公式情報でも、
「家庭医は患者の健康管理の中心的役割を担い、継続的なケアと他の専門分野との連携を行う」
と位置づけられています(出典:SNS Portal / Cuidados de Saúde Primários)。家庭医がいないと、診療予約や紹介状取得に時間がかかりがちです。
人気エリアでは家庭医が不足している地域もあります。
- 登録直後は「一時的担当医」となる
- 近隣のセンターに回される
こうしたケースもあり得るため、居住地が決まったら早めに健康センターに出向き、「家庭医の割り当て待ちリスト」に登録しておくと安心です。
3. 現地の民間医療保険への加入を検討する
ポルトガルでは公的医療の自己負担が低い一方で、OECD のデータによれば、「待ち時間の長さ」や「専門医アクセスのスピード」が課題となっています(出典:OECD “Health at a Glance: Europe”)。そのため、多くの居住者が次のような目的で民間保険を併用しています。
- 私立病院・クリニックでの診療費を補償する
- 検査や専門医診察の待ち時間を短縮する
移住直後は日本の保険や国際保険でカバーしつつ、次のステップで 1年以内を目安に現地保険への切り替えや併用を検討するとスムーズです。
- SNS 登録と家庭医の状況を把握する
- よく使いそうな私立病院・クリニックをリストアップする
- それらをカバーする現地保険プランの見積もりを比較する
4. 緊急連絡先・相談先をスマホにまとめて登録する
ポルトガル政府は医療緊急時の連絡先として、
「全国共通の救急電話 112 または医療相談窓口 SNS 24(電話:808 24 24 24)」
を案内しています(出典:SNS 24 公式サイト)。
移住直後は慣れないトラブルも起きやすいため、次の連絡先をスマホと紙のメモの両方にまとめておくと、いざというときに慌てずに対応できます。
- 112(救急)
- SNS 24
- 最寄りの健康センターと 24時間対応の救急病院
- 在ポルトガル日本国大使館
- 契約している保険会社の緊急連絡先
移住前に「保険・薬・英文書類」をそろえ、移住後すぐに「SNS 登録・家庭医・現地保険」の3本柱を整えることで、ポルトガルでの暮らしはぐっと安心感が増します。ビザや住居探しと同じレベルで、医療と保険の準備を「やることリスト」に入れておきたいところです。
まとめ
ポルトガルは公的医療(SNS)と私立医療が併存し、EU 水準の医療レベルを持ちながら、日本とは運用や文化が異なる点も多い国です。本記事では、SNS の仕組みや家庭医登録、救急時の動き方から、民間保険の選び方、薬局事情、実際のトラブル事例と対処法まで整理しました。
移住前に日本で保険や常備薬の準備を行い、渡航後は SNS 登録と家庭医の確保を早めに進めることで、万一のときも安心して暮らせる体制を整えやすくなります。この記事をチェックリスト代わりに、医療・保険面の不安を一つずつ解消しながら、ポルトガル移住計画を具体化していくことが大切です。
よくある質問(FAQ)

Q1. ポルトガルの公的医療(SNS)だけで、民間保険に入らなくても大丈夫でしょうか?
A. 「病院にさえかかれればいい」のであれば、長期居住者は SNS のみでも最低限の医療アクセスは確保できます。ただし次の点で不便・リスクが残ります。
- 公立は待ち時間が長く、専門医は数週間〜数か月先になりやすい
- 英語が通じないケースがあり、ポルトガル語前提の運用
- 私立病院を利用した場合は SNS が使えず、診療費・入院費が高額になる
そのため、
- 「急な体調不良や検査は私立を使いたい」
- 「英語で説明できる医師に診てもらいたい」
といったニーズがある人は、SNS+民間医療保険(現地 or 国際保険)の併用を前提に考えるのが現実的です。
Q2. 観光や短期出張での滞在でも、医療保険は必須ですか?
A. 実質的には必須と考えた方が安全です。理由は次の通りです。
- 観光・短期滞在者は SNS の対象外で、公立病院に行っても旅行者扱いで全額自己負担となることが多い
- 私立病院での救急・入院・手術は、1万〜数万ユーロ(160万〜数百万円)になる事例が現実にある
- ポルトガル当局や外務省も「旅行保険・医療保険への加入」を繰り返し推奨している
したがって、治療・救援費用が十分な金額(少なくとも数千万円相当)の海外旅行保険に加入して渡航するのが前提になります。クレジットカード付帯保険だけでは、補償額・補償期間ともに不足しがちです。
Q3. ポルトガルの民間医療保険と、日本で加入する海外旅行保険は何が違いますか?
A. 主な違いは「想定している滞在期間」と「カバーする範囲」です。
- 日本発の海外旅行保険
- 旅行〜1年程度の一時的な滞在を想定
- 治療費に加え、盗難・賠償責任・航空機遅延なども広くカバー
-
日本発行のため、日本語サポートが手厚い
-
ポルトガルの民間医療保険(Médis, Multicare など)
- ポルトガル居住者向けの健康保険に近い位置づけ
- 私立病院・クリニックの診療費や検査、入院を主にカバー
- 長期契約前提で、現地の医療ネットワーク(提携病院)を利用しやすい
移住・長期滞在の場合は、
- 渡航〜SNS 登録完了までは「日本発の海外旅行保険 or 国際医療保険」
- SNS 登録後は「現地の民間医療保険」で私立医療へのアクセス確保
という二段構えで考えるとスムーズです。
Q4. 日本の健康保険(国民健康保険・社会保険)は、ポルトガルでの医療費に使えますか?
A. 病院の窓口では直接は使えません。日本の保険証を見せても、その場の支払いが免除・割引されることはありません。
ただし、日本の公的医療保険に加入したままの場合、条件を満たせば「海外療養費制度」により一部払い戻しを受けられる可能性があります。
- ポルトガルではいったん全額自己負担で支払う
- 帰国後、日本の健康保険組合・市区町村に
- 領収書(支払金額・内訳)
- 診療内容が分かる書類
- 医師の署名・押印のある診療明細
などを提出して申請
という流れです。日本の「3割負担」と同じ水準まで戻るわけではなく、日本国内で同じ治療を受けたと仮定した場合の額をもとに計算されます。海外滞在中の医療費を直接カバーする保険としては、別に海外旅行保険や海外医療保険が必要です。
Q5. SNS に登録していても、公立病院で高額な請求をされることはありますか?
A. 条件によってはあり得ます。注意が必要なのは次のようなケースです。
- SNS 登録がまだ完了していない段階で救急搬送された
- 居住許可・住民登録が切れている/未更新の状態だった
- 受付で SNS 番号を提示できず、旅行者扱いで処理された
この場合、公立病院であっても外国人旅行者としての実費料金が請求されることがあります。これを避けるために:
- SNS 番号(Cartão de Utente)を取得し次第、カードまたは番号を常に携帯する
- 引っ越しやビザ更新の際に、住所・居住許可情報を健康センター側にも必ず更新しておく
- 緊急時に備えて、スマホに SNS 番号・保険番号・パスポート情報をメモしておく
といった基本的な「身元情報の整備」が重要です。長期滞在であっても、SNS 登録前や私立病院利用時の高額リスクに備えて民間保険は必須と考えておきましょう。
Q6. 持病(高血圧・糖尿病など)がある場合、ポルトガル移住前にどんな準備が必要ですか?
A. 持病がある方は、次の3点を日本で済ませておくと、ポルトガルでの通院が格段にスムーズになります。
- 主治医に移住の予定を伝える
-
現在の病状・服薬内容・今後想定される治療方針を整理してもらう
-
英文の診断書と処方内容を作成してもらう
- 診断名(病名)
- 服用薬の一般名(generic name)と用量
-
既往歴・アレルギー歴
などが英語で書かれていると、ポルトガル側の医師も判断しやすくなります。 -
最低 1〜3か月分の薬を日本から持参する
- 移住直後はまだ家庭医が決まらず、すぐに処方が出ない場合もあるため、余裕を持ってストックしておく
あわせて、「持病のある人でも加入できる海外医療保険・現地保険かどうか」「持病由来の治療が補償対象か(既往症条件)」も事前に保険会社に確認しておくことが大切です。
Q7. 子ども連れでポルトガル移住する場合、医療・保険で特に注意すべきことは?
A. 小児医療の確保と予防接種スケジュールの差に注意が必要です。
-
小児科の家庭医・クリニックを早めに確保する
SNS 登録と同時に、子どもの担当小児科医を割り当ててもらうことが重要です。私立でも小児科のあるクリニックを1つ決めておくと、急な発熱時に動きやすくなります。 -
予防接種(ワクチン)の違いを確認する
日本とポルトガルでは、定期接種の種類やタイミングが一部異なります。母子手帳(英文併記があればベター)を持参し、ポルトガル側の小児科医にスケジュールを相談するのがおすすめです。 -
保険で子どもの救急・入院が十分カバーされているか確認
子どもの救急入院は費用が一気に跳ね上がるため、海外旅行保険・国際医療保険・現地保険いずれも、「小児入院・救急の補償額」「付き添い家族の渡航・滞在費の補償」の有無を確認しておくと安心です。
これらを踏まえて、家族構成や持病の有無に応じた医療・保険プランを具体的にシミュレーションしておくと、ポルトガル移住後の不安を大きく減らせます。


