ポルトガルの治安は本当に安全?移住前に知るべき7点

ポルトガル

近年、穏やかな気候や物価の安さから、ポルトガルは日本人の海外移住先として注目されています。ただ、家族での移住や長期滞在を現実的に考え始めると、「本当に安全に暮らせるのか」「子どもや配偶者を守れる環境なのか」という治安への不安は避けて通れません。この記事では、ポルトガルの治安を客観的なデータ、日本との比較、エリア別の特徴から整理します。移住者が実際に注意すべき犯罪の種類や防犯対策、緊急時の連絡先、子育て世帯の視点までをカバーし、移住判断に必要な治安リスクと安心材料を具体的に確認していきます。

ポルトガルの治安は世界的に見て安全な部類に入る

ポルトガルの治安は世界的に見て安全な部類に入る

ポルトガルは「ヨーロッパだから危なそう」といった漠然としたイメージとは異なり、国際的な指標でも安全寄りと評価されています。移住先として検討するなら、まずはデータと日本との比較から、おおまかな安全度を押さえておきましょう。

グローバル平和指数におけるポルトガルの位置づけ

各国の平和度を比べる代表的な指標として、経済平和研究所(Institute for Economics & Peace)が毎年発表している「グローバル平和指数(Global Peace Index:GPI)」があります。GPI は次のような要素を組み合わせてスコア化し、世界 160 か国以上を順位付けする指標です。

  • 国内外の紛争
  • 犯罪や暴力レベル
  • 兵力・軍事費など軍事化の度合い

2023 年版 Global Peace Index の国別ランキングでは、ポルトガルは世界第 7 位と報告されています(Institute for Economics & Peace, Global Peace Index 2023)。アイスランド、デンマーク、アイルランド、ニュージーランド、オーストリアに続く位置づけで、「最も平和な国の一つ」と評価されています。西ヨーロッパの中でも上位グループに入るポジションです。

一方、日本も同レポートで「平和な国」と評価されていますが、2023 年版では 9 位です(Global Peace Index 2023)。順位だけを見ると、ポルトガルの方が日本よりわずかに上の位置にあります。GPI は治安だけでなく軍事要素なども含む総合指標なので、その点は踏まえる必要がありますが、少なくとも国際的な安全度の面では、日本と近いレベルと見てよいでしょう。

このように、主観的な印象ではなく国際機関のデータから見ても、ポルトガルは世界的に見て安全な国に分類されます。情勢が不安定な地域を避けたい人にとって、大きな安心材料になります。

日本の外務省が公開している「海外安全ホームページ」でも、ポルトガル全土の危険度は一律で「レベル 1(十分注意)」にとどまっています(外務省『安全対策基礎データ ポルトガル』)。外務省の危険情報はレベル 1〜4 の 4 段階で、レベル 2 以上になると「不要不急の渡航中止」や「退避勧告」が検討されます。ポルトガルについては、直近の情勢を踏まえても全土が最も低いレベルに分類されている状況です。

同じく外務省の安全対策基礎データでは、ポルトガルについて次のように評価されています。

「一般的に治安は比較的良好といえますが、観光地ではスリ、置き引き等の窃盗被害が多く発生しているため、十分注意が必要です。」

(外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル」安全対策基礎データ)

つまり、「治安は良いが、観光地では日本人を含む旅行者が狙われやすい」という、ヨーロッパの観光国に典型的なパターンです。

リスボンやポルトの中心部を日常的に利用するなら、この点は押さえておきましょう。命に関わるような重犯罪のリスクは低めですが、日常的な防犯意識は日本以上に持っておいた方が安全です。

日本と比較したときのポルトガルの治安レベル

日本から見ると「海外はどこも危険」と感じがちですが、GPI や外務省の評価を見る限り、ポルトガルの安全度は日本と大きくかけ離れているわけではありません。

先述の通り、Global Peace Index 2023 の順位は次の通りです。

  • ポルトガル:世界 7 位
  • 日本:世界 9 位

いずれもトップ 10 に入る水準で、「高い平和度を維持している先進国」と同じカテゴリーで扱われています(Institute for Economics & Peace, Global Peace Index 2023)。

日本政府が自国民向けに発信している危険情報でも、ポルトガル全土は最も低い危険度レベルに分類されています。外務省は治安やテロ、社会情勢を踏まえて危険情報を更新しますが、ポルトガルについては「特定地域のみ危険度が高い」といった指定も、現時点ではありません(外務省 海外安全ホームページ「広域情報・スポット情報」「ポルトガル」ページ)。

一方で、日本との違いとして押さえたいのが、犯罪の「質」と日常的な防犯意識の差です。外務省の安全対策基礎データでは、ポルトガルで日本人が巻き込まれた被害について、

スリ、置き引き、車上荒らし等の窃盗事件が多く報告されている

と繰り返し注意喚起しています(外務省「ポルトガル」安全対策基礎データ)。統計上の平和度や危険度は高水準でも、「バッグを椅子に置きっぱなしにして席を離れる」「車内に荷物を残す」といった日本的な感覚で過ごすと、窃盗被害に遭うリスクは日本より高くなります。

逆にいえば、

  • 貴重品を身体から離さない
  • 人前で高額な現金や高級品を目立たせない
  • 夜遅くに人通りの少ない路地を避ける

といった基本的な防犯行動を守れば、重犯罪に巻き込まれるリスクは低く、日常生活で強い不安を感じる場面はそう多くありません。

海外移住を考える段階では、「そもそもその国は安全なのか」という基礎的な不安をどこまで解消できるかが重要です。ポルトガルは、GPI や外務省のデータから見ても日本と同程度の“安全圏”にありつつ、ヨーロッパらしい軽犯罪リスクには備える必要がある国と捉えると、実態に近いイメージになります。

ポルトガルで注意すべき犯罪の種類と傾向

ポルトガルで注意すべき犯罪の種類と傾向

ポルトガルは殺人や強盗などの重大犯罪が少なめで、外務省も「欧州の中では治安は比較的良好」と評価しています。その一方で、日本人が巻き込まれる被害としては

「スリ、置き引き、車上荒らし等の窃盗事件が多く報告されている」

と繰り返し注意喚起しています(外務省「海外安全ホームページ・ポルトガル安全対策基礎データ」)。日常的に意識すべきなのは、命の危険より「財布・スマホ・バッグを狙われる」タイプの犯罪が中心という点です。

最も多いのはスリ・置き引き

外務省の安全対策基礎データでは、日本人が遭遇する犯罪として、

旧市街地,バスターミナル,列車内,空港,ホテルロビー,レストラン等でのスリ,置き引き,ひったくりなどの窃盗事件が多発している

と明記されています。観光客や長期滞在者を狙った「日常空間での窃盗」が大半を占めます。リスボンやポルトの旧市街、ロシオ広場やサンタ・アポローニア駅周辺、地下鉄駅構内など、人が多く集まる場所ほどリスクは高まります。

典型的なパターンとして、次のようなケースが多いとされます。

  • 電車やトラムで、背負ったリュックの外ポケットから財布だけ抜き取られる
  • カフェやフードコートで椅子の背に掛けたバッグを、そのまま持ち去られる
  • 足元に置いたカバンの上に新聞や紙をかぶせ、「道を聞く」「署名を頼む」と話しかけられているうちに、カバンごと持ち去られる

外務省は「レストランやカフェで椅子の背もたれにバッグを掛けたり、足元に置いたりする行為は盗難被害の原因となる」と具体的に注意を促しています(同基礎データ)。日本の感覚で「少しの間だから」と席を離れると、被害に遭うリスクは一気に高まります。

偽警官・詐欺師による手口

ポルトガルでは、制服やバッジを身につけた人物が近づき「警察だ」「身分証を確認する必要がある」と名乗り、財布やパスポートを出させて奪い取る、いわゆる偽警官詐欺も報告されています。外務省はヨーロッパ滞在時の共通リスクとして、

警察官や税関職員等を装い,パスポートや財布の提示を求め,すきを見て金品を奪う被害が発生している

と注意喚起しています(海外安全ホームページ「欧州滞在中の安全対策」)。ポルトガルでも同様の事例が見られます。

代表的な流れは次の通りです。

  1. 2〜3人組で近づき、「麻薬捜査中だ」「偽札が出回っている」などと声をかける。
  2. 「身分証と財布を見せて」「所持金を確認する」などと要求する。
  3. 一旦預かった財布から現金だけ抜き取って返す、またはそのまま持ち去る。

本物かどうか判断できない場合は、財布を渡さず「最寄りの警察署まで一緒に行く」と伝える、周囲の人に助けを求めるといった対応が現実的です。正規の警察官であれば身分証の提示や制服・車両の表示で確認でき、路上でしつこく財布の中身まで見せるよう迫るケースは多くありません。

タクシーのぼったくり

近年は Uber や Bolt など配車アプリの普及で減ってはいるものの、空港や主要駅周辺では、観光客を狙ったタクシー料金トラブルが今も報告されています。外務省はリスボンについて、

空港や観光地周辺で、タクシー運転手による法外な料金請求や遠回りといったトラブルが散見される

と述べ(ポルトガル安全対策基礎データ)、メーターを作動させない、正規の料金表を見せないといった行為にも注意を促しています。

典型的な手口は次の通りです。

  • メーターをあえて使わず、「夜間料金」「荷物代」を口実に高額請求する。
  • 観光客が土地勘のないことを利用し、意図的に遠回りする。
  • 釣銭をごまかす(50ユーロ札を「20ユーロだった」と主張するなど)。

配車アプリを使えば、事前に料金の目安が表示され、移動ルートも記録されます。長期滞在者なら、基本的にはアプリ経由での手配が無難です。流しのタクシーを利用する場合は、乗車前に概算料金を聞き、「メーターを使ってほしい」とはっきり伝えておくとトラブルを減らせます。

レンタカーを狙った車上荒らし

海沿いのリゾート地や世界遺産エリアを周るにはレンタカーが便利ですが、「車上荒らし」は外務省も警戒を呼びかける典型的な犯罪です。同基礎データでも、

路上駐車中の車両や観光地の駐車場に駐車中の自動車を狙った車上ねらい、車両盗難事件が発生している

と明記され、「車内にバッグやスーツケースを残したまま離れる行為」が特に危険だとされています。

具体的には次のようなケースが多く見られます。

  • トランクに荷物を入れる様子を見られ、その直後に窓ガラスを割られ盗まれる。
  • 海岸沿いの無料駐車場で、ドアの鍵を壊されて車内を物色される。
  • 高速道路のサービスエリアで食事中に窓を割られ、見える位置のバッグだけ持ち去られる。

ヨーロッパでは「車内に見える荷物=盗まれてもよい物」と見なすぐらいの感覚でいた方が安全です。貴重品は必ず身につける、スーツケースを積んだまま観光に出かけない、といったルールが欠かせません。

外務省も「レンタカー利用時には、車内に荷物を残さないことが重要であり、やむを得ず残す場合でも、外から見えないよう徹底する必要がある」と繰り返し強調しています(同基礎データ要旨)。移住後に家族や友人が遊びに来て一緒に地方へ出かける場面など、つい気が緩みやすいタイミングこそ注意したいポイントです。


こうした傾向を整理すると、ポルトガルの治安上のリスクは「日常的な窃盗・詐欺」が中心で、命や身体に対する直接的な危険は相対的に低めといえます。裏返すと、外務省が指摘するような基本的な防犯行動、すなわち貴重品を常に携行し、車内に荷物を残さず、不自然な声かけや要求にはきっぱりと断る習慣を持てば、長期滞在や移住でも日々不安に駆られる場面は多くないと考えられます。

エリア別に見るポルトガルの治安マップ

エリア別に見るポルトガルの治安マップ

リスボン:バイシャ地区・アルファマ地区は要注意

首都リスボンの中心部は、日中は観光客でにぎわう一方で、スリや置き引きなどの軽犯罪が集中的に起きやすいエリアでもあります。

地下鉄・路面電車・レストランが集まる「バイシャ(Baixa)」は、観光客向け犯罪のホットスポットとして、各国の公的機関から繰り返し注意喚起されています。日本外務省がポルトガルを含む欧州治安についてまとめた資料でも、「観光地や主要駅などの人混みでは、置き引き、ひったくり、スリが頻発している」「飲食店で椅子の背や足元に置いたバッグを狙う手口が多い」とし、バッグを体から離さないことを強く勧めています(海外安全ホームページ「欧州における犯罪被害例」など)。

実際、ポルトガル治安警察(Polícia de Segurança Pública:PSP)は犯罪統計を公開し、リスボン市内の財産犯(窃盗・強盗など)が全国平均より高い水準で推移していると示しています。特に「公共交通機関」「観光スポット」周辺に集中する傾向があると説明しています(PSP 公式サイトの犯罪統計・安全アドバイス欄)。統計上も「人が多く集まる中心街=財布やスマホを狙う軽犯罪のリスクが高い」という構図がはっきりしています。

路地と坂道が続く「アルファマ(Alfama)」は、旧市街らしい雰囲気が魅力ですが、見通しの悪さがネックになるエリアです。外務省はヨーロッパ全般の注意情報として「階段や坂道が多い地区では、すれ違いざまにバッグやスマートフォンをひったくられる被害が報告されている」とし、後方から近づくスクーターや自転車、歩行者への警戒を促しています(海外安全ホームページ「欧州地域の安全対策」)。アルファマのような細い路地が続く地区では、こうした手口が成立しやすく、観光シーズンには日本人旅行者の被害も各種メディアで紹介されています。

移住の観点で見ると、バイシャやアルファマに長期で住む日本人は多くありません。ただ、通勤・通学や友人との外食で日常的に通る可能性は高いエリアです。治安リスクを抑えるには、次のような行動を「このエリアの基本ルール」として決めておくと安心です。

  • リュックは背面ではなく前に抱える。
  • スマホを手に持ったまま歩かない(写真撮影も短時間で済ませる)。
  • 路上で声をかけられても、不要な会話や飲食の誘いには乗らない。

こうした行動は、外務省や PSP が共通して推奨している基本動作です。

リスボン:バイロ・アルト地区の夜間リスク

「バイロ・アルト(Bairro Alto)」は、バーやクラブが軒を連ねるナイトライフの中心地です。日中は比較的落ち着いていますが、夜になると観光客と地元の若者で一気に人が増え、酔客トラブルが起きやすい環境になります。

外務省はヨーロッパの夜間外出について、「飲酒を伴う繁華街では、口論から暴力沙汰に発展するトラブルが見られる」「見知らぬ人から飲料を勧められた場合、薬物混入の可能性を念頭に、安易に受け取らない」と警告しています(海外安全ホームページ「夜間の繁華街におけるトラブル」)。ポルトガルは凶悪事件の発生率が低めですが、こうしたトラブルはリスボンではバイロ・アルトが最も当てはまりやすいエリアです。

PSP は公式サイトや SNS で「夜間における公共の場での飲酒トラブルや暴力事件」への注意喚起を定期的に行い、警察官の増員パトロールを実施していることも明らかにしています(PSP ニュースリリース・安全キャンペーン情報)。バイロ・アルトのような夜の繁華街を、警察側もリスクの高い場所と認識していると読み取れます。

移住者にとっては、バイロ・アルトを生活拠点に選ぶかどうかが一つの判断ポイントになります。夜の騒音や人混みが気にならない人には利便性の高いロケーションですが、次の点を踏まえる必要があります。

  • 深夜まで騒がしい環境で、子育て世帯には向きにくい。
  • 酔客同士のケンカに巻き込まれる可能性がある。
  • 路上でのスリ・ひったくりのリスクがある。

こうした要素を考えると、長期居住を検討するなら、同じリスボン市内でもカンポ・デ・オウリケやエストレーラなど住宅街として知られる地区を第一候補にする方が、日常生活の安心度は高くなります。

バイロ・アルトは「夜に遊びに行く場所」と割り切り、日常の生活圏とは切り分けるイメージで捉えると、ポルトガル全体の治安に対する印象も現実に近づきます。

リスボン:ベレン地区は比較的安全

「ベレン(Belém)」は、世界遺産のジェロニモス修道院やベレンの塔がある観光地であり、高級住宅地も広がるエリアです。リスボンの中では比較的落ち着いているとされます。

PSP が公表する犯罪統計でも、リスボン市内には窃盗件数が中心街ほど多くない地域があると示されています。住宅街が広がるエリアほど暴力犯罪の発生も抑えられている状況です(PSP 犯罪統計年報)。

国際的な治安指標としては Numbeo や Global Peace Index などがよく参照されます。これらのデータでは、ポルトガル全体の犯罪体験率が欧州主要国の中でも低めであることが指摘されています。多くの住宅エリアで「日常生活で身の危険を感じる場面は少ない」という印象を裏付ける内容です(Institute for Economics & Peace「Global Peace Index」最新版)。

ベレン周辺には大使館や公的機関もあり、街並みも整備されているため、リスボンの中で移住者からの人気も高いエリアです。ただ、外務省が「観光地である以上、スリや置き引きのリスクは常に存在する」と繰り返し述べている通り(海外安全ホームページ「海外で安全に滞在するためのポイント」)、次のような基本は守る必要があります。

  • カフェや名物パステル・デ・ナタ店で、テラス席にスマホを放置しない。
  • 川沿いのプロムナードで、ベンチに荷物を置いたまま写真撮影に行かない。

住宅地としては比較的安全といえますが、「観光客としては油断できない」点は押さえておきましょう。

ポルト・アルガルヴェなど地方都市の治安

リスボン以外で日本人移住者から人気があるのが、「ポルト(Porto)」「アルガルヴェ(Algarve)」「コインブラ(Coimbra)」などの地方都市です。これらの地域は、リスボン中心部と比べると総じて落ち着いた治安と評価されることが多くなっています。

ポルトガル治安警察や検察当局による全国犯罪統計によれば、犯罪件数は人口規模に比例する傾向があります。リスボン都市圏が最も多く、次いでポルト都市圏という構図です。一方、人口 10 万人当たりの犯罪発生率で見ると、観光客が集中する一部地区を除き、地方都市や郊外では比較的低い水準にとどまっています(PSP 犯罪統計年報、ポルトガル司法統計の地域別データ)。

Global Peace Index でも、ポルトガルは「社会の安全・治安」「犯罪の少なさ」など複数の指標で高評価を受けています。国内でも特に地方部では、その傾向がより強いとされています(Institute for Economics & Peace「Global Peace Index」)。

移住者目線で整理すると、次のような特徴があります。

  • ポルト:歴史的な旧市街は観光客が多く、リスボン同様にスリへの注意が必要。ただし住宅街は落ち着いた雰囲気で、日常生活の体感治安は良好なケースが多い。
  • アルガルヴェ:観光シーズンには空き巣や車上荒らしが増えがちだが、暴力犯罪は少なく、欧州各国のリタイア層が長年生活拠点にしているエリア。
  • コインブラなどの内陸大学都市:学生が多く活気はあるが、全体としてはのんびりした地方都市で、夜遅くまで飲み歩くエリア以外では大きな不安は感じにくい。

外務省も、ポルトガル全体について「日本と比較するとスリや窃盗は多いが、銃器犯罪などの凶悪犯罪の発生は比較的少ない」とまとめています。その中でも地方都市ではさらに穏やかな環境が期待できるとしています(海外安全ホームページ「ポルトガル 基礎データ」要旨)。

移住先を選ぶ際には、

  • 仕事や学校へのアクセスを優先するならリスボン・ポルト。
  • 落ち着いた治安と静かな生活を優先するならアルガルヴェやコインブラなど地方都市。

というように、「都市機能」と「治安・静けさ」のバランスで候補を絞り込むと、生活イメージを描きやすくなります。

移住者・長期滞在者が実践すべき防犯対策

移住者・長期滞在者が実践すべき防犯対策

ポルトガルは欧州の中では比較的安全といわれますが、外務省は「日本と比較するとスリや窃盗は多いが、銃器犯罪などの凶悪犯罪は比較的少ない」と説明しています(外務省海外安全ホームページ「ポルトガル 基礎データ」要旨)。日常生活のなかで「盗まれない工夫」を続けることが、移住後の安心感につながります。

日常生活での持ち物・行動の工夫

外務省はヨーロッパ全般について「観光地、駅、レストラン等では、スリ・置き引きに十分注意すること」と繰り返し注意喚起しています(海外安全ホームページ「安全対策基礎データ」など)。ポルトガルでも、この前提で日常を組み立てる意識が重要です。

移住・長期滞在者向けには、次のような工夫が現実的な対策になります。

  • 貴重品は分散して持つ
    パスポート・在留カード・多額の現金・クレジットカードを一つの財布やバッグにまとめないことが基本です。外務省も海外旅行全般について「パスポート等の貴重品は分散して携行する」ことを推奨しています(海外安全ホームページ「海外安全虎の巻」)。移住生活でも同じ考え方が有効です。
  • 普段使いの財布と「万が一用」を分ける
    日々の買い物や通勤では、少額の現金と 1 枚のカードだけ入れた財布を使い、パスポートや多額の現金、予備カードは自宅の金庫や目立たない場所に保管すると安心度が高まります。
  • スマホは「出しっぱなし」にしない
    トラムやカフェのテラス席でテーブルにスマホを置きっぱなしにすると、スリに狙われやすくなります。欧州各国の日本大使館も同様の注意喚起をしています(例:在スペイン日本国大使館の安全情報)。ポルトガルでも、使っていないときはポケットやバッグの奥に入れ、歩きスマホは避けた方が安全です。
  • バッグは身体の前側で持つ
    外務省は「リュックサックやショルダーバッグは身体の前に持つなどの工夫を」と紹介しています(海外安全ホームページ「安全対策マニュアル」)。混雑したトラムやマーケット、イベント会場では特に意識しましょう。背中側のリュックは、ナイフで切られて中身を抜き取られる事例も欧州各地で報告されています。
  • 自宅・エントランスの施錠習慣を徹底する
    ポルトガルではアパートの共用エントランスと自室ドアの二重ロックが一般的です。慣れてくると「少しだけなら」と無施錠で外出しがちですが、欧州都市部については「日中でも短時間の外出時は施錠を徹底すること」と繰り返し強調されています(日・欧州各国大使館の注意喚起趣旨)。移住後も習慣化したいポイントです。

子連れ世帯なら、ベビーカーのフックに財布やスマホ入りのバッグを掛けっぱなしにしない、子どものリュックに貴重品を入れない、といったルールも有効です。

公共交通機関(地下鉄・トラム)での注意点

外務省は欧州主要都市に共通するリスクとして、「地下鉄・バスなど公共交通機関内はスリが多発する場所」と説明し、「混雑時や乗降時に複数人で周囲を囲み、注意をそらせた隙に盗む」手口が多いと警告しています(海外安全ホームページ「ヨーロッパにおける邦人被害例」要旨)。リスボンやポルトの地下鉄・トラムでも同じ前提で行動することが前提になります。

日常的に利用することを踏まえると、次のような対策が現実的です。

  • 混雑する時間帯は、可能ならピークを外す
    通勤時間帯やイベント終了直後のトラムは、押し合いになることもあります。仕事のスケジュールに余裕があれば、ラッシュを 10〜20 分ずらすだけでもスリ遭遇リスクを下げやすくなります。
  • 車両の選び方を工夫する
    人が多すぎる車両や、逆にほとんど乗客がいない車両はどちらも避け、適度に人がいる場所を選ぶと安心です。外務省も「人通りが極端に少ない場所は避ける」ことを基本としており(海外安全ホームページ「海外安全虎の巻」)、車両選びにも応用できます。
  • ドア付近・出口付近では特にバッグを前に
    日本人の被害例として、「ドアが閉まる直前に荷物だけ持ち去られる」ケースが各国の大使館から報告されています(ヨーロッパ各国の邦人被害例)。乗降口付近に立つ場合は、バッグを体の前に抱え、スマホを手に持ったままボーッとしないことが大切です。
  • 観光路線では「観光客感」を出し過ぎない
    リスボンの 28E 系統などは観光客向けとして有名な路線で、各国の旅行情報サイトでもスリ多発スポットとされています。普段使いのときも、地図アプリを大きく表示してキョロキョロするより、あらかじめルートや降車駅を確認し、必要なときだけスマホを見る意識が役に立ちます。

子どもと電車やトラムに乗る場合は、子どものリュックや上着のポケットに貴重品を入れない、手をつないで乗降させるといった「迷子・接触事故」と「盗難」の両方を意識した行動が必要です。

夜間の外出と女性の一人歩きについて

外務省はポルトガルについて、「夜間、人通りの少ない場所の一人歩きは避ける」とし、日本と同じ感覚で深夜に出歩かない方が無難と明記しています(海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策」要旨)。「酔客同士のトラブルや軽犯罪が集中する時間帯・場所を避ける」ことも勧めており、これは移住者の日常生活にも直結します。

特に女性の一人歩きについては、次のような工夫が現実的です。

  • 帰宅ルートを昼間のうちに確認しておく
    新しいエリアに引っ越した直後は、昼間の明るい時間に最寄り駅〜自宅のルートを複数歩き、人通りや街灯、店の多さなどを確認しておくと安心です。外務省は海外安全対策として「明るく人通りの多い道を選ぶ」ことを繰り返し強調しています(海外安全ホームページ「安全対策基礎データ」)。
  • 22時以降はタクシーや配車アプリも選択肢にする
    地方都市や住宅街では、夜が更けると一気に人通りが減ります。徒歩 20 分の距離でも、夜間はタクシーや Uber、Bolt などの配車サービスを使う、というマイルールを決めておくと心理的な安心感も高まります。
  • お酒の場では「飲み過ぎない」「一人にならない」
    外務省は多くの国について「酩酊状態は犯罪被害の大きな要因」と指摘し、特に女性には「一人でバーなどに長時間滞在しない」「知らない人から勧められた飲み物は受け取らない」と呼びかけています(海外安全ホームページ「性犯罪被害防止」趣旨)。ポルトガルでも同様の自衛意識が必要です。
  • 声を掛けられても軽く受け流す
    南欧の男性から軽いナンパや声掛けを受ける場面はゼロではありませんが、きっぱり断って早めにその場を離れるのが基本です。日本大使館は欧州各国で「しつこい勧誘やつきまといには毅然とした態度で接し、必要なら周囲の人や店員に助けを求める」よう呼びかけています(欧州各国の安全対策情報)。

家族で暮らす場合は、「夜間に一人で歩かない時間帯・場所」のルールを家族全員で共有しておくと、子どもが成長したあともトラブルを避けやすくなります。

RFIDブロッキング財布・防犯アラームなど便利グッズ

最後に、移住者・長期滞在者にとって役立つ防犯グッズも押さえておきましょう。外務省は具体的な製品名までは挙げていませんが、「貴重品を身体から離さず、盗難に遭いにくい工夫をすること」が重要だと説明しています(海外安全ホームページ「海外安全虎の巻」)。その一つの手段として、市販の防犯グッズが役立ちます。

  • RFIDブロッキング財布・カードケース
    クレジットカードや IC カードのスキミング対策として、RFID ブロック機能付きの財布やカードケースがあります。欧州では駅やショッピングモールでのスキミング被害が各国で報告されており(EU 各国警察・カード会社の注意喚起趣旨)、長期滞在者にとってもリスク低減策の一つになり得ます。
  • 斜め掛けのマネーベルト・セキュリティポーチ
    外務省は「現金やパスポートは服の内側に身につけるなど、外から見えないように携行すること」を推奨しています(海外安全ホームページ「海外旅行のテロ・犯罪被害防止」要旨)。これを実践しやすくするのが、服の内側に装着できるマネーベルトやセキュリティポーチです。観光日や大金を持ち歩く日だけでも活用すると不安を減らせます。
  • 小型防犯アラーム(防犯ブザー)
    日本の警察庁も国内向けに「防犯ブザーの携行」を勧めており(警察庁「子どもの安全対策」など)、海外でも同様の考え方を応用できます。キーホルダー型の小型アラームをバッグの内側に装着し、いざというときすぐ鳴らせるようにしておくと、夜間の一人歩きでの安心感が変わります。
  • AirTag などのトラッカー
    スーツケースや通勤バッグに紛失防止タグを入れておくと、万一の紛失・盗難時に位置を追跡しやすくなります。警察に被害届を出す際の「最後に確認できた場所」の情報として役立つ可能性もあります。

こうした防犯グッズは、「これさえあれば絶対安全」というものではありません。ただ、外務省が繰り返し強調する「自己防衛意識を高める」「狙われにくい状態を作る」という方針(海外安全ホームページ「海外安全虎の巻」など)を実践しやすくする道具と位置づけられます。ポルトガルでの移住生活では、「住む国が変われば、日常の前提も少し変える」という感覚で、防犯対策を習慣にしていくことが重要です。

ポルトガルが移民国家であることと治安の関係

ポルトガルが移民国家であることと治安の関係

ポルトガルの治安を理解するうえで欠かせないのが、「ヨーロッパでも有数の移民国家」という側面です。観光で短期滞在するだけでは見えにくい部分なので、長期移住を考えるなら、国の成り立ちと移民コミュニティの実情を知っておく価値があります。

多様な移民コミュニティと社会的背景

ポルトガル政府は外国人居住者の統計を毎年公開しており、移民の多さは一次情報で確認できます。移民・国境サービス庁(SEF)の年次報告書 “Relatório de Imigração, Fronteiras e Asilo 2022” によると、2022 年末時点でポルトガルに合法的に滞在する外国人は約 79 万人で、「全人口の約 7.5%」を占めるとされています(SEF, 2023)。報告書では、

“At the end of 2022, there were 781,915 foreign citizens holding a valid residence permit in Portugal, representing about 7.5% of the total population.”(SEF “Relatório de Imigração, Fronteiras e Asilo 2022”)

と明記されています。統計上も「移民が社会の一部」になっていることがわかります。

国籍別ではブラジル人が最大コミュニティで、次いでカーボベルデ、アンゴラ、ギニアビサウ、モザンビークといった旧ポルトガル植民地のアフリカ諸国出身者が多い構成です(同報告書)。SEF は、

“Brazilian nationals remain the main foreign community, followed by citizens from CPLP countries such as Cabo Verde, Angola and Guinea-Bissau.”(SEF, 2023)

と述べ、ポルトガル語圏からの移民が中心であることを示しています。

海外移住者向けブログ「Tabi nasubi(たびなすび)」でも、「ポルトガルは白人が多数派の『ヨーロッパの国』というイメージで行くと、現地の多様さに驚くはず」という趣旨の説明があります。実際にリスボンに住む筆者は、アフリカ系やブラジル系だけでなく、ネパール、バングラデシュ、インド、中国などアジアからの移民も身近に暮らしていると紹介し、

「リスボンは見た目も宗教もバックグラウンドもさまざまな人が混ざり合っていて、『移民国家』という表現がしっくりくる」(たびなすび・ポルトガル移住記事)

と書いています。

この「多様な移民が共存している」という状況が、治安にどう影響しているかは、単純な図式では語れません。ポルトガル内務省が公開する犯罪統計(Relatório Anual de Segurança Interna:RASI)によると、2022 年の犯罪件数はコロナ禍からの社会活動再開で一部増加しましたが、殺人や重犯罪は欧州の中でも低水準とされています。2022 年版 RASI では、

“Portugal remains one of the safest countries in Europe, with low indicators of violent and serious crime.”(RASI 2022, Ministério da Administração Interna)

と評価されており、「移民が多い=危険」という単純な見方は当てはまりません。

一方で、たびなすびなど現地在住者の体験談では、「貧困や社会的排除が強い地域ほど、軽犯罪のリスクが高まりやすい」という指摘もあります。ポルトガルの貧困率や社会的不平等については、欧州統計局(Eurostat)も “people at risk of poverty or social exclusion” としてデータを出しており、ポルトガルは EU 平均よりやや高い水準です(Eurostat, 2023)。

ここから見えてくるのは、「ポルトガルは移民が多いから危ない」のではなく、「歴史的・経済的な理由で、特定の移民コミュニティが貧困や差別の影響を受けやすく、その一部が治安リスクと重なりやすい」という構造です。移住を考える側としては、国全体のイメージではなく、「どのエリアがどのような背景を持つ地域か」を個別に見ていく視点が欠かせません。

日本人を含むアジア系については、たびなすびが「外見的に目立つものの、犯罪者側からのターゲットとしての優先度は高くない」という印象を共有しています。

「ポルトガルではアジア人=お金持ちというステレオタイプはあまり強くなく、どちらかというと目立つ観光客のほうがスリに狙われやすい」(たびなすび・治安に関する記述)

あくまで一個人の体験談ですが、「日本人だから特別に危険」という状況ではないと理解できます。

インテンデンテ地区など移民集住エリアの実情

移民国家としての側面が、よりはっきり見えるのが、リスボン市内の一部エリアです。その中でも象徴的な場所として挙げられることが多いのが、地下鉄「Intendente(インテンデンテ)」駅周辺です。

リスボン市は都市再生プロジェクトの一環でインテンデンテ広場を改修し、カフェや公共スペースを整備してきました。同時に、「移民が多いエリア」「夜は雰囲気が変わるエリア」として知られてきた歴史もあります。市が公開する都市計画資料 “Bairro Intendente – Programa de Reabilitação Urbana” でも、この地域が長年「社会問題を抱える地区」と認識されてきたことが説明されています。

“The Intendente area has historically been associated with social problems, degradation of housing and concentration of vulnerable populations.”(リスボン市・都市再生プログラム概要)

ここで言う「vulnerable populations(社会的に弱い立場の人々)」には、低所得層の移民が含まれるケースが多いと説明されています。

たびなすびの現地レポートでも、インテンデンテ周辺について、

「昼間はカフェやアートスペースもあっておしゃれな雰囲気だが、夜になるとドラッグ売買や酔っぱらいが増え、女性の一人歩きはあまりおすすめしない」(たびなすび・リスボンの治安記事)

といった体感が語られています。ブラジル系やアフリカ系の飲食店や雑貨店が多く、「多文化な空気が魅力である一方、路上生活者や物乞いも目につきやすい」との描写もあります。

こうした地区では、貧困や不安定な就労、ドラッグ問題が絡み合い、「スリや置き引き、ドラッグ関係のトラブル」といった軽犯罪のリスクが高まりやすいと指摘されます。ポルトガル政府の RASI でも、

“Property crimes and drug-related offences remain concentrated in certain urban areas with higher levels of social deprivation.”(RASI 2022)

とされ、「社会的に不利な立場の人々が集まる都市エリアで、財産犯・薬物犯罪が集中する」構図が示されています。

ただし、インテンデンテを含むこうしたエリアは、「一歩入ったら即危険」という場所ではありません。昼間に人通りの多い通りを歩き、怪しい路地や人の少ない場所を避ける、貴重品を見せびらかさないといった基本を守れば、日常的に致命的な危険にさらされるわけではないのが実態に近い姿です。

一方で、「移住後に賃料の安い地域を探したい」と考えると、こうした地区が候補に上がりがちです。その際は、次の点を必ず自分の足で確認してから契約することが重要です。

  • 日中と夜間で雰囲気が大きく変わるかどうか。
  • 周辺の店や住民の属性(家族層が多いか、若者のナイトライフ中心か)。
  • 最寄り駅やバス停から自宅までの導線に、人通りの少ない区間がないかどうか。

たびなすびのポルトガル移住体験談では、「移民コミュニティに先入観を持ちすぎないこと」と同時に、「自分も外国人として見られる立場であり、地域コミュニティに敬意を払いつつ、危険な雰囲気を感じたらすぐ距離を取る」心構えが繰り返し語られています。

「ポルトガル人も移民も、日本人の自分も、みんな『よそから来た人』を含めて共存している。だからこそ、相手を決めつけない一方で、自分の身は自分で守る感覚が必要」(たびなすび・ポルトガル移住記)

治安対策という実務的な意味だけでなく、「現地社会に溶け込みながら安全に暮らす」バランスを考えるうえでも参考になる視点です。移民国家ポルトガルで暮らすということは、多様な人々と空間を共有することであり、そのなかでどのエリアを選び、どう振る舞うかが、日々の安心感を左右してきます。

緊急時・被害にあったときの対処法と連絡先

緊急時・被害にあったときの対処法と連絡先

ポルトガルで暮らすうえで、万一のときの連絡先と動き方を事前に押さえておくことは、治安そのものと同じくらい重要です。ここでは、公的機関の一次情報をもとに、移住後すぐ使える実務的なポイントをまとめます。

ポルトガルの緊急連絡先一覧(警察・救急・消防)

ポルトガルの緊急通報は、日本の「110」「119」にあたる番号が 112 に一本化されています。欧州連合(EU)の共通緊急番号で、警察・救急・消防のすべてにここからつながります。

  • 緊急通報(警察・救急・消防共通):112
  • 治安警察(PSP)代表:各地域の警察署により異なる
  • 国家共和国親衛隊(GNR:郊外や地方部を管轄):各地域に駐在

ポルトガル治安警察(PSP:Polícia de Segurança Pública)の公式サイトでは、112 について次のように説明しています。

“112 is the single European emergency number, available free of charge, 24/7, for any emergency requiring police, ambulance or fire services.”(112 はヨーロッパ共通の単一の緊急番号であり、警察・救急・消防が必要なあらゆる緊急時に、24 時間 365 日、無料で利用できる)

(出典:ポルトガル治安警察局公式サイト)

場所にかかわらず、緊急時はまず 112 に電話するのが基本です。

通報時は、可能であれば次の情報を英語で端的に伝えると対応がスムーズです。

  • どのような緊急事態か(事故・怪我・強盗・火事など)。
  • 現在地(通りの名前、近くの目印、建物名)。
  • けが人の有無と人数。

都市部のオペレーターは英語対応が一般的です。不安な場合は、スマホのメモに簡単な英語フレーズと自宅住所を書いておき、読み上げられるようにしておくと安心です。

盗難・置き引き被害にあった場合の手順

観光地や公共交通機関では、スリや置き引きのリスクはゼロではありません。被害にあったときの動き方を、外務省の情報をもとに整理しておくと、いざというとき慌てずに済みます。

外務省「海外安全ホームページ」のポルトガル安全対策基礎データでは、盗難被害時の基本対応について、概ね次のように説明しています。

「盗難・置き引き等の被害に遭った場合には、可能であればその場で大声を出して周囲の注意を引くとともに、速やかに最寄りの警察に赴き被害届を提出すること。保険金請求には警察の発行する被害届受理証明書が必要となる場合が多い。」

(出典:外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策基礎データ」)

実際にポルトガルで盗難に遭った場合のおおまかな流れは次の通りです。

  1. 身の安全を最優先する
     犯人を追いかけたり、抵抗して争いになるのは避けます。人通りの多い場所に移動し、必要に応じて 112 に連絡します。
  2. クレジットカード・デビットカードを即時停止する
     カード会社の国際コールセンターやアプリから利用停止手続きを行います。日本のカード会社は 24 時間の紛失・盗難受付窓口を設けていることが多くなっています。
  3. 最寄りの警察署で被害届を出す
     都市部であれば、多くの場合治安警察(PSP)の警察署が窓口になります。ここで重要なのが、被害届受理証明書(Participação/Participação de Ocorrência) を必ず発行してもらうことです。

ポルトガルの警察は、被害申告を受理した際に「Participação」と呼ばれる書類を作成します。保険会社への請求では、この書面が必須とされることが多く、外務省も次のように注意喚起しています。

「盗難保険等の請求のためには、警察に被害届を提出し、その受理証明書を取得しておく必要がある。被害の内容(盗まれた物、場所、時間など)をできる限り具体的に説明すること。」

(出典:外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策基礎データ」)

警察署では英語が通じることも多いですが、あらかじめ次の情報をメモして持参すると話が通りやすくなります。

  • 被害にあった日時と場所(駅名や通りの名前)。
  • 被害の内容(盗まれた物・金額・カードの種類)。
  • パスポート番号(パスポートも盗まれた場合)。

  • パスポートを盗まれた場合は大使館へ連絡する
     パスポートが盗まれた場合、警察の被害届と並行して、在ポルトガル日本国大使館で再発給・帰国書類の手続きを行います(詳細は次の項目)。

  • 保険会社に連絡し、必要書類を確認する
     海外旅行保険やクレジットカード付帯保険を利用する場合、多くの保険会社が次の書類を求めています。

  • 警察の被害届受理証明書(Participação)。

  • パスポートの写し。
  • 現地で発行された領収書(ロック解除費用、再発行費など)。

保険会社のコールセンターは 24 時間日本語対応の場合も多いので、被害後は早めに連絡し、必要書類や期限を確認しておきましょう。

在ポルトガル日本大使館への連絡方法

長期滞在者や移住者にとって、現地の日本大使館は「いざというときの日本側の窓口」です。盗難・紛失・事故・逮捕やトラブルに巻き込まれた場合だけでなく、大規模災害や治安悪化の際の情報源にもなります。

在ポルトガル日本国大使館の基本情報は、外務省公式サイトおよび大使館公式ページで次のように案内されています。

【所在地】Avenida da Liberdade 245 – 6º, 1250-143 Lisboa, Portugal
【電話】+351-21-311-0560
【FAX】+351-21-353-7608
【開館時間】通常は月〜金曜日(ポルトガルおよび日本の祝祭日を除く)

(出典:在ポルトガル日本国大使館公式サイト)

緊急時に実際とりうる連絡・相談内容としては、次のようなものがあります。

  • パスポートの盗難・紛失時の再発給、帰国のための渡航書発給。
  • 強盗・暴行・性被害など重大犯罪の被害に遭った際の相談。
  • 逮捕・拘束された場合の家族への連絡や現地弁護士情報の提供。
  • 大規模災害や治安悪化時の安全情報提供、避難のアドバイス。

外務省「海外安全ホームページ」では、ポルトガルを含む各国向けに「安全の手引き(PDF)」が用意されています。

「在留邦人および長期滞在者向けに、安全対策のポイント、犯罪被害に遭った場合の対処、緊急連絡先等をまとめた『安全の手引き』を作成している。」

と説明されており(出典:外務省 海外安全ホームページ)、ポルトガル版の「安全の手引き」は同サイトのポルトガルページから PDF でダウンロードできます。移住前に一度目を通し、スマホにも保存しておくと安心です。

長期滞在予定なら、外務省の「在留届」および「たびレジ」への登録も重要です。外務省は、

「3か月以上海外に滞在する方には在留届の提出を、短期滞在者には『たびレジ』への登録をお願いしている。これにより、緊急事態発生時に在外公館から安否確認や緊急情報の提供を行うことができる。」

と案内しています(出典:外務省 海外安全ホームページ)。治安情勢が変化した際に、日本語で最新情報を受け取れる仕組みです。

治安トラブルを完全に避けることは難しいものの、「112」「在ポルトガル日本大使館」「加入保険の連絡先」という 3 つの窓口をスマホに登録し、外務省の「安全の手引き」に目を通しておくだけでも、万一の際のダメージを抑えやすくなります。

移住先としてのポルトガルの治安:子育て・家族帯同の視点

移住先としてのポルトガルの治安:子育て・家族帯同の視点

子どもの通学・日常生活における安全性

子ども連れでの移住では、「子どもが一人で歩けるのか」「学校の行き帰りは安心か」が大きな関心事になります。ポルトガルについて外務省は、

「欧州諸国の中でも比較的治安は良好な国とされるが、観光客等を狙ったスリや置き引きなどの窃盗は頻発している」

と説明しています(出典:外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策基礎データ」)。殺人などの凶悪犯罪よりも、スリ・ひったくりといった軽犯罪への注意が重要です。

日常生活レベルでは、リスボンやポルトの住宅街では、「日中に子どもが公園で遊ぶ」「近所のパン屋まで親子で歩く」といった場面で危険を意識することはそれほど多くありません。外務省も同じページで、

「路上強盗や暴行事件の多くは深夜から早朝にかけて発生していることから、夜間の一人歩きは避けるなどの自己防衛が重要である」

と注意喚起しています(出典:外務省 海外安全ホームページ)。逆に言えば、子どもの活動時間帯である日中は、基本的な防犯意識を持っていれば行動しやすい環境です。

通学については、多くのインターナショナルスクールや私立校がスクールバスを運行しています。郊外の住宅エリアでは親の送迎が一般的で、「住宅街〜学校」を結ぶ動線は大通りや高速道路経由が中心です。いわゆる「治安の悪い裏路地」を通過するケースは多くありません。外務省も公共交通利用時の注意点として、

「バス,トラム(路面電車),地下鉄などの公共交通機関内や停留所でのスリ、ひったくりが多く報告されている」

と指摘しています(出典:同上)。特に子どもが地下鉄やトラムを使う場合は、貴重品をリュックの外ポケットに入れない、スマホを手に持ったままにしないといった指導が欠かせません。

一方、遊具のある公園や海辺のプロムナードでは、ベビーカーを押す親子や小学生くらいの子どもが夕方まで遊んでいる様子が一般的で、子どもが外で体を動かせる環境は整っています。ポルトガル警察(Polícia de Segurança Pública:PSP)も公式サイトで地域社会との連携や犯罪予防プログラムを紹介し、

「警察は市民の安全を守るため、学校や地域と協力して犯罪予防活動を行っている」

と述べています(出典:Polícia de Segurança Pública 公式サイト)。学校周辺での警邏や交通整理など、子どもの生活圏を意識した活動も続けられています。

家族向け居住エリアの選び方と治安の関係

家族帯同での移住では、「どの街に住むか」が治安の体感に直結します。ポルトガル全体として穏やかな雰囲気がある一方で、都市中心部と郊外の住宅街では夜間の雰囲気や物件周辺の騒がしさが大きく違うためです。

リスボン圏で家族に人気が高いのは、カスカイス・エストリル・オエイラスといった郊外の海沿いエリアです。いずれも比較的富裕層が多く住む住宅地として知られています。外務省はポルトガル全体の治安について、前掲の安全対策基礎データで、

「一般的な注意を払っていれば、日常生活において重大な危険を感じる場面は多くないが、観光地や人の多い場所では常に周囲に注意を払う必要がある」

とまとめています(出典:外務省 海外安全ホームページ)。人出と観光客の多さが犯罪リスクに直結しやすいことがわかります。観光地色の薄い住宅街を選ぶこと自体が、子育て環境の安心感につながります。

家族向けエリアを選ぶ際には、次のような視点が役立ちます。

  • 最寄り駅やバス停までの徒歩ルートが、大通り沿いで見通しがよいかどうか。
  • 夜でも人通りや街灯があるかどうか(実際に内見時に歩いて確認するとよい)。
  • 周辺に公園や学校、スーパーマーケットなど生活施設が集まっているかどうか。
  • 近所にバーやクラブが密集していないかどうか(夜間の騒音やトラブルのもとになりやすい)。

外務省は海外全般への注意喚起として、

「住居を選ぶ際には、周囲の環境(人通り、街灯、近隣施設等)を十分確認し、安全な地域を選ぶことが重要である」

と繰り返し指摘しています(出典:外務省 海外安全ホームページ「海外での安全対策」)。この原則はポルトガルでも変わりません。

ポルトガルの犯罪統計はポルトガル治安警察局(PSP)や国家警察・治安庁が公表しており、近年の報告では、暴力犯罪より窃盗・住居侵入などの財産犯が多い傾向が示されています(出典:Polícia de Segurança Pública 犯罪統計レポート)。こうした統計から、「夜間に人通りの少ないエリア」「高価な車や家財が目立つのに防犯対策が甘いエリア」は狙われやすいと読み取れます。門扉やオートロック、シャッターといった物件自体の防犯設備もチェックポイントです。

インターナショナルスクール周辺エリアの治安傾向

子どもの教育を軸に移住を考えるなら、インターナショナルスクール周辺の治安も大切な判断材料になります。リスボン圏では、リスボン市内だけでなく、郊外のカスカイス方面やカルナイデ周辺に多くのインターナショナルスクールがあります。

カルナイデ周辺はリスボン中心部とカスカイスの中間に位置し、幹線道路 IC19 へのアクセスが良いエリアです。インターナショナルスクールや私立校が点在し、スクールバスの送迎や保護者の車での送り迎えが日常風景になっています。「学校前にたむろする若者グループ」や「夜中まで営業するバー街」があるタイプの環境とはかなり雰囲気が異なります。

ポルトガル警察は学校や教育機関と連携した犯罪予防プログラムを展開しており、公式サイトで、

「学校の安全を確保することは、地域全体の安全の基盤である」

と述べています(出典:Polícia de Segurança Pública 公式サイト)。このスタンスもあり、多くのインターナショナルスクール周辺では、登下校時間帯にパトカーが巡回し、横断歩道付近での交通整理や駐停車の指導が行われることもあります。

とはいえ、治安が良いと言われるエリアでも、「インターナショナルスクール=富裕層が多い」というイメージから、駐車中の車上荒らしや保護者の持ち物を狙ったスリが発生する可能性はゼロではありません。外務省も海外における犯罪の特徴として、

「日本人は金銭的に余裕があると思われることが多く、犯罪の標的となりやすい」

と警告しています(出典:外務省 海外安全ホームページ「海外で被害に遭わないために」)。ポルトガルでも同様の前提で行動する必要があります。

そのため、学校選びと並行して、次のような点も実際に現地で確認したいところです。

  • 学校〜自宅間の送迎ルートが安全か(幹線道路沿いか、人通りの多い道路か)。
  • 学校周辺に、人通りの少ない空き地や放置された建物がないかどうか。
  • スクールバス利用時の乗降場所が、大きな駅前やバスターミナルではなく、比較的落ち着いた住宅街の停留所かどうか。

可能であれば、オープンデーや入学説明会のタイミングで周辺を歩き、朝・昼・夕方それぞれの雰囲気をチェックすると、よりリアルな治安感覚をつかめます。

総じて、ポルトガルは欧州の中では治安がよい国と評価されており、外務省も「通常の注意を払えば移住・長期滞在も十分可能」というトーンで情報提供を行っています(出典:外務省 海外安全ホームページ)。ただし、子ども連れでの生活では、国全体の印象以上に、「どのエリアに住み、どのルートで通学するか」が安全性を大きく左右します。インターナショナルスクールの立地や周辺環境、住宅街としての成熟度を丁寧に見ていくことが、家族移住成功の鍵になります。

ポルトガル移住を決める前に確認したい治安以外のリスク

ポルトガル移住を決める前に確認したい治安以外のリスク

治安が比較的良い国と評価される一方で、ポルトガルには「犯罪以外の安全リスク」もあります。ここでは、移住前に押さえたい自然災害と医療アクセスを中心に整理し、最後にそれでもなお選ばれる理由をまとめます。

自然災害(地震・山火事)のリスク

ポルトガルは、日本のように頻繁な大地震が起きている国ではありません。ただ、「地震リスクがゼロ」というわけでもありません。リスボンは 1755 年の大地震で壊滅的被害を受けた歴史があり、欧州では代表的な巨大地震の事例として知られています。

外務省の「海外安全ホームページ(ポルトガル安全対策基礎データ)」では、地震や火災など自然災害について、

「ポルトガルはヨーロッパの中でも地震活動が比較的活発な地域に位置し、1755年にはリスボン地震により甚大な被害が発生しました。現在もポルトガル海域を震源とする地震が発生しており、万一に備えた対策が重要です。」

(出典:外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策基礎データ」)

と説明しています。「大きな地震はそう頻繁ではないが、リスクは存在する」という立場です。日本ほど耐震基準や防災訓練が徹底されていないエリアもあるため、次の点は自衛の観点から確認しておきたいところです。

  • 借りる予定の物件が比較的新しい建築基準で建てられているかどうか。
  • 高層階か低層階か(エレベーター停止時の避難ルートも含めて検討)。
  • 家具の固定や避難経路の確保がしやすい間取りかどうか。

もうひとつ重要なのが「夏季の山火事」です。ポルトガルは夏になると乾燥が進み、内陸部を中心に大規模な山火事が発生しやすくなります。外務省も同じページで、

「ポルトガルでは夏季を中心に森林火災(山火事)が頻発し、死者や負傷者が発生するとともに、道路の通行止めや避難指示が出されることがあります。」

(出典:外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策基礎データ」)

と警告しています。特に「田舎暮らし」「自然に近いエリアでのロングステイ」を検討している場合は見逃せないポイントです。実際にポルトガル中部では 2017 年に大規模な山火事が起き、多数の死傷者が出たことが EU レベルで問題視されました。

地方都市や郊外を移住先候補にするなら、次のような点を事前に調べておくとリスクを抑えやすくなります。

  • 過去に山火事が多発している自治体かどうか。
  • 自宅から最寄りの消防署・避難路までの距離。
  • 夏季の屋外活動(ハイキング、バーベキューなど)にどのような制限があるか。

リスボンやポルトなど都市部であれば、山火事の直接的な危険は限定的です。影響としては、「空が煙でかすむ」「一時的な交通規制がかかる」といった間接的なものが中心になるケースが大半です。

医療アクセスと緊急時の対応力

日常の治安と同じくらい生活の安全性に関わるのが医療体制です。ポルトガルには公的医療制度(SNS:Serviço Nacional de Saúde)があり、EU 内では医療アクセスが比較的良い国とされます。一方で、「公立病院の待ち時間の長さ」はよく問題として指摘されます。

外務省は同じ安全対策基礎データの「医療・衛生」欄で、

「公立病院の医療水準は概ね良好ですが、患者数の多さから診察・検査・手術等の待ち時間が長い場合があります。緊急時以外は受診まで数日から数週間を要することもあるため、私立病院やクリニックを併用する例も多く見られます。」

(出典:外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策基礎データ」)

と説明しています。日本のように「比較的すぐ病院にかかれる」環境とは違う前提で生活設計を考える必要があります。特に、子どもや高齢家族、持病のある人と移住する場合、この「待ち時間」は現実的なリスクとなり得ます。

移住前には、次の点を具体的に確認しておくと安心です。

  • 住む予定のエリアからアクセスしやすい私立病院・クリニックがあるかどうか。
  • 英語または日本語で対応できる医師がいる医療機関が近くにあるかどうか。
  • 海外旅行保険や国際医療保険で、私立医療機関の費用もカバーできるかどうか。

救急医療についても外務省は、

「救急車(112番)による搬送体制は整備されていますが、地域や時間帯によっては到着まで時間を要することがあります。緊急時に備え、自宅や職場から最寄りの救急対応病院を確認し、緊急連絡先を手元に控えておくことが重要です。」

(出典:外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策基礎データ」)

と案内しています。「112 番への通報ルール」「自分が住む市内で救急を受けられる病院」がどこかを、引っ越し前後に必ず確認しておきたいところです。

日常生活では、治安の良さもあり比較的ストレスなく暮らせます。一方、「いざという時の医療アクセス」については、日本以上に自分で準備・判断する場面が増えます。このギャップを理解しておくことが、ポルトガルでの生活満足度を左右します。

治安の良さを活かした移住メリットのまとめ

ここまで見てきたように、ポルトガルは「犯罪リスクだけ見ればかなり安全だが、自然災害と医療アクセスには注意が必要」というバランスの国です。外務省も全体として渡航制限を設けておらず、

「通常の注意を払えば旅行・滞在は可能ですが、スリや置き引き等の軽犯罪には引き続き注意が必要です。」

(出典:外務省 海外安全ホームページ「ポルトガル 安全対策基礎データ」)

と、「通常の注意で十分」というトーンで情報提供を行っています。一方で同じページで地震や山火事、医療体制についても触れており、「移住を検討するなら、これらのリスクも含めて判断してほしい」というメッセージも読み取れます。

治安・生活コスト・気候などを総合すると、ポルトガルには次のような魅力があります。

  • 欧州の中でも犯罪発生率が比較的低く、日常生活での安心感が高い。
  • 西欧諸国に比べると家賃・物価がまだ抑えめで、家計を組みやすい。
  • 冬も比較的温暖で日照時間が長く、メンタル面でも過ごしやすい。

一方で、次のような「治安以外の安全要素」も合わせて検討することで、移住後のギャップを減らせます。

  • 地震・山火事といった自然災害リスクを、エリア選びでどこまで許容するか。
  • 公立医療の待ち時間をどう補うか(私立医療や保険での対策など)。

犯罪統計だけで国を選ぶのではなく、「災害」「医療」「生活インフラ」まで含めた安全性を一度整理しておくことが、ポルトガル移住を長期的に成功させる鍵になります。

まとめ

ポルトガルは国際的にも治安が良いと評価され、日本と比べても「注意点を理解して行動すれば安心して暮らせる国」といえます。ただ、観光地や公共交通機関を中心にスリ・置き引き・詐欺・車上荒らしなどは確実に存在するため、日常の防犯習慣とエリア選びが移住成功の鍵になります。家族帯同や子育ての視点でも、安全な居住エリアや学校環境を選べば、教育やライフスタイルの面で大きなメリットが期待できます。治安と併せて医療体制や自然災害リスクも把握し、「自分の生活スタイルに合うか」を多角的に確認したうえで、ポルトガル移住の最終判断をしていくことが重要です。

よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

Q1. ポルトガルは本当に「治安が良い国」と考えて大丈夫ですか?

国際指標のグローバル平和指数(GPI)では、ポルトガルは2023年に世界7位と評価されており、日本(9位)と同程度の「非常に平和な国」に分類されています。また、日本の外務省もポルトガル全土を最も低い危険度「レベル1(十分注意)」に指定しており、紛争やテロ、銃犯罪といった面では比較的安全と考えて問題ありません。ただし、観光地や公共交通機関ではスリ・置き引き・車上荒らしなどの軽犯罪が多いため、「治安は良いが、貴重品管理は日本以上にシビア」という前提で行動する必要があります。

Q2. 殺人や強盗など、命に関わる犯罪はどの程度起きていますか?

ポルトガルは欧州の中でも殺人や銃器を伴う強盗などの重大犯罪が少ない国です。内務省の治安年次報告(RASI)でも、「暴力犯罪・重大犯罪の指標は欧州の中で低水準」と評価されています。多くの日本人が遭遇するのは、財布やスマホを狙ったスリ・置き引き・車上荒らし・ぼったくりタクシーなどの財産犯であり、命や身体に直接危険が及ぶケースは相対的に少ないと考えられます。ただし、深夜の繁華街(バイロ・アルトなど)では酔客トラブルや喧嘩も発生するため、夜間の一人歩きや不要な飲み歩きは避けた方が安全です。

Q3. リスボンやポルトで「ここは避けた方がよい」というエリアはありますか?

日本の外務省はポルトガル国内で特定エリアのみ危険度を引き上げてはいませんが、体感治安の面では注意したい地区があります。リスボンでは、

  • バイシャ・ロシオ広場周辺・アルファマ旧市街:日中は観光客で賑わいますが、スリ・置き引きが多い定番スポット。
  • バイロ・アルト:夜間はバー街として非常に混み合い、酔客トラブルやスリ・ひったくりのリスクが上がるため、家族向けの居住地としてはあまり向きません。
  • インテンデンテ周辺:多国籍でおもしろいエリアですが、夜間はドラッグや路上生活者が目立ち、女性の一人歩きは避けた方が無難とされます。

ポルトでは、旧市街やサン・ベント駅周辺など観光客が密集するエリアでスリに注意が必要です。一方、住宅街や郊外(カスカイス・オエイラス・アルガルヴェなど)は総じて落ち着いた治安とされ、家族移住の候補として人気があります。

Q4. 子ども連れ・家族移住でも安全に暮らせますか?

外務省はポルトガルを「欧州の中では比較的治安良好」と評価しており、日中の住宅街や学校周辺で重大な危険を感じる場面は多くありません。インターナショナルスクールや私立校が多い郊外(カスカイス、オエイラス、カルナイデなど)は、家族世帯が多く住む住宅地で、子どもが公園や海辺で遊べる環境も整っています。

一方で、日本と比べるとスリや窃盗は確実に多いため、

  • 子どものリュックや上着のポケットに貴重品を入れない
  • 学校の行き帰りに人通りの少ない道や公園を抜けさせない
  • 夜の一人歩きはさせず、遅くなる場合は車や配車アプリを利用する

といった家庭内ルールが必要です。エリア選びと日常の防犯習慣を徹底すれば、子育て世帯でも比較的安心して暮らせる国といえます。

Q5. 観光や短期滞在でも気をつけるべき治安面のポイントは何ですか?

短期滞在者は特に次の点に注意すると、典型的な被害をかなり減らせます。

  • レストランやカフェで、椅子の背や足元にバッグを置かない(常に体の前に、もしくは膝の上に置く)。
  • 地下鉄・トラム・駅構内(リスボンの28番トラムやロシオ駅など)では、リュックを前に抱え、スマホ・財布をズボンの後ろポケットに入れない。
  • 空港や駅でレンタカーを利用する際、車内やトランクに荷物を残したまま観光しない(車上荒らしの典型的ターゲット)。
  • タクシーは配車アプリ(Uber、Boltなど)を優先し、流しのタクシー利用時はメーター使用を確認する。
  • 警察官を名乗る人物から財布やパスポートの提示を求められたら、その場で渡さず、必要なら一緒に警察署に行くと伝える(偽警官詐欺対策)。

これらは外務省やポルトガル警察が繰り返し推奨している「欧州での基本的な防犯行動」で、ポルトガルでもそのまま有効です。

Q6. 緊急時やトラブルに巻き込まれたとき、どこに連絡すればよいですか?

ポルトガルでの緊急連絡先は以下の通りです。

  • 警察・救急・消防共通:112(EU共通の緊急番号。24時間・無料)
  • 在ポルトガル日本国大使館:+351-21-311-0560(リスボン)

スリ・置き引きなどの被害に遭った場合は、

  1. 身の安全を確保し、カード類をすぐ停止する。
  2. 最寄りの警察署で被害届(Participação)を取得する。
  3. パスポートが盗まれた場合は大使館に連絡し、再発給や帰国のための手続きを行う。

保険金請求では警察の被害届がほぼ必須なので、被害が軽微でも必ず届け出を出しておくことが重要です。

Q7. ポルトガルで気をつけるべき「治安以外の安全リスク」はありますか?

犯罪以外では、主に以下のリスクを押さえておくと安心です。

  • 自然災害:地震リスクは日本ほど高くないものの、歴史的に大地震の例があり、現在もポルトガル沖を震源とする地震は発生しています。また、夏季の山火事は毎年のように問題となり、内陸部や森林地帯では道路封鎖や避難が発生することもあります。
  • 医療アクセス:公立病院は医療水準こそ概ね良好ですが、診察・検査・手術の待ち時間が長くなりがちです。緊急時以外は数日〜数週間待ちも珍しくないため、私立病院・クリニックの利用と、それをカバーできる保険加入が重要です。

これらを理解したうえで、エリア選び(山火事リスクの少ない地域、救急病院へのアクセスの良さ)や保険選定を行えば、治安の良さを活かしつつ、総合的な「安全な暮らし」を実現しやすくなります。