「カナダに家族で移住したいが、どのビザを選べばよいのか分からない」「実際の生活費や子どもの教育環境がイメージできない」と悩む人は少なくありません。本記事では、カナダが家族移住先として選ばれる理由から、利用できるビザの種類、永住権取得までのステップ、生活費や住居、教育環境、日本人が直面しやすい課題までを一通り整理します。家族移住を現実的な計画に落とし込みたい人向けの実践ガイドです。
カナダが家族移住先として選ばれる理由

カナダは、単に「英語圏で暮らしやすそう」というイメージだけの国ではありません。政府の統計や法律を見ても、家族で暮らす場としての条件が整っている国といえます。多文化主義に基づく社会づくり、高い生活水準、税金で支えられた医療・社会保障、子どもの教育・手当制度がセットで機能している点が特徴です。
ここでは、家族移住の観点からカナダが選ばれやすい主な理由を、カナダ政府などの一次情報に触れながら整理します。
多文化主義と高い生活水準
カナダは世界でも数少ない「多文化主義(multiculturalism)」を法律に明記している国です。連邦政府は公式に「多文化主義政策」を掲げています。カナダ政府のサイトでは、カナダを次のように説明しています。
“a multicultural country where diversity is a defining feature”
(多文化国家であり、多様性が国の特徴を形づくっている)
この文言からも、移民を前提とした国家であることがはっきり分かります(Government of Canada, Multiculturalism)。このため、バンクーバーやトロント、カルガリーなど主要都市では、日本を含む世界中からの移民が暮らしています。英語が十分でなくても、生活情報やコミュニティを見つけやすい環境が整っています。
カナダ政府の統計機関 Statistics Canada によると、カナダは一人あたりGDPや教育水準、健康指標などが高く、OECD の各種ランキングでも上位に位置します。OECD の「Better Life Index」では、カナダについて次のような評価があります。
income, education, health, safety など多くの指標で OECD 平均を上回っている
このため、総合的な生活の質が高い国とされています(OECD Better Life Index – Canada)。
日常生活のイメージとしては、次のような違いがあります。
- バンクーバー:温暖な気候で自然が身近、アジア系コミュニティが大きい
- トロント:金融・ビジネスの中心地で仕事機会が多い、多民族都市
- モントリオール:フランス語圏の文化と英語圏が混ざる、ヨーロッパ的な街並み
都市ごとに違った暮らし方を選べる点も、家族移住先としての魅力です。
充実した医療・社会保障制度
家族での長期滞在では、「医療費」と「社会保障」が大きな関心事になります。カナダは、この点で制度が明確で、内容も比較的手厚い国です。
カナダでは、連邦政府と州政府が共同で運営する公的医療制度(いわゆる“Medicare”)があります。カナダ保健省は、次のように説明しています。
“medically necessary hospital and physician services are provided on a prepaid basis”
(医療上必要な入院や医師の診療サービスは、税金であらかじめ賄われる仕組みで提供されている)
(Health Canada, Canada’s Health Care System)
永住権を取得し、州の健康保険に登録すると、基本的な診療や入院費の自己負担を抑えられます。
適用開始時期やカバー範囲は州によって異なります。ブリティッシュ・コロンビア州の Medical Services Plan(MSP)、オンタリオ州の OHIP など、各州は住民向けの公的医療保険を用意しています。家族全員が対象です。出産費用や子どもの予防接種も、公的医療でカバーされるケースが多くあります。
医療以外では、連邦政府は雇用保険や年金、家族向け給付などを通じて、次のように説明しています。
“social programs funded by taxes to support individuals and families”
(税金で賄われる社会プログラムにより、個人と家族を支える)
(Government of Canada, Canada’s social programs)
失業や病気といったリスクに直面した際のセーフティネットも、制度として用意されています。
子どもの教育環境と多様な児童手当
子どもの教育環境について、カナダ政府の公式情報には次の記載があります。
“Education in Canada is generally free for Canadian citizens and permanent residents”
(カナダの教育は、カナダ市民と永住権保持者に対して原則として無償で提供される)
(Government of Canada, Learn about education in Canada)
初等・中等教育(小学校〜高校)は、州立の公立校で授業料がかかりません。永住権を取得した家族には大きなメリットです。
バンクーバーやトロント周辺では、次のような教育環境が整っています。
- 英語とフランス語の二言語教育
- 国際バカロレア(IB)認定校
- 多文化・多言語環境の公立校
移民の子どもが多いため、英語学習サポート(ESL)プログラムを整備している学校も多くあります。
家計面を支える制度として、連邦政府の児童手当 Canada Child Benefit(CCB)があります。カナダ歳入庁(Canada Revenue Agency)は、CCB を次のように説明しています。
“a tax-free monthly payment made to eligible families to help them with the cost of raising children under 18 years of age”
(18 歳未満の子どもを育てる費用を助けるために、対象となる家族に支給される非課税の月額給付)
(Canada Revenue Agency, Canada Child Benefit)
支給額は、家族の所得や子どもの人数・年齢によって変動します。所得が低い家庭ほど手厚くなる仕組みです。
CCB に加えて、州ごとの児童手当や育児支援策もあります。例えばオンタリオ州の Ontario Child Benefit のように、
州独自の給付が、連邦の CCB と組み合わさって支給される
という形です。実際の受け取り額は「連邦+州」で構成されることが多くなります。
教育の無償化、公的な英語サポート、多言語環境、児童手当・給付金といった支援が組み合わさります。子どもの将来の選択肢を広げたい家族にとって、カナダは総合的に魅力的な移住先といえます。
家族でカナダに移住するメリット

配偶者が就労できるオープンワークパーミット
カナダでは、主たる申請者が就労ビザや学生ビザを取得した場合、その配偶者が「オープンワークパーミット(Open Work Permit)」を申請できる制度があります。カナダ政府は配偶者向けのパーミットについて、次のように説明しています。
“an open work permit… allows the holder to work for almost any employer in Canada”
(オープンワークパーミットは、保有者がカナダのほぼすべての雇用主のもとで働けるようにする)
(Immigration, Refugees and Citizenship Canada)
特定企業に縛られない柔軟な働き方ができる点が特徴です。
語学学校のような「就労不可」のビザを除き、カレッジ・大学留学や就労ビザで帯同する配偶者は、このオープンワークパーミットを取得できる可能性が高いとされています。カナダ留学エージェントの Canada-school.com も、カナダ留学中の家族帯同について次のように案内しています。
留学生本人がフルタイムで学ぶ場合、配偶者がオープンワークパーミットを取得してフルタイムで働けるケースがある
実務上も広く利用されている仕組みと分かります。
この制度のメリットは、家計を単一収入に頼らずに済む点です。帯同家族が不安に感じやすいのは「生活費と教育費を現地でまかなえるかどうか」です。配偶者がフルタイムで働けるなら、現地通貨で収入を得ながら生活コストをカバーしやすくなります。visajpcanada.com も次のように整理しています。
主たる申請者が就学または就労を行っている場合、その配偶者はフルタイムでの就労が可能なオープンワークパーミットの対象となる
留学・就労どちらのタイプの家族移住でも「共働き」という選択肢が現実的になると読み取れます。
子どもが公立学校に無償で通える
カナダの大きな魅力として、「一定の条件を満たせば、帯同する子どもが公立小中高校に地元の子どもと同じように通える」点があります。公教育は州の管轄ですが、オンタリオ州教育省など多くの州教育省が共通して、学齢期の子どもについて次のように明記しています。
tuition-free education in publicly funded schools for residents
(居住者の子どもに対して、公的資金で運営される学校で授業料無料の教育を提供する)
(Ontario Ministry of Education など)
現地居住者であれば授業料は不要です。
日本人家族の場合、主たる親が就労ビザや一定の学生ビザを持ち、州が「居住者」と認めれば、子どももカナダの子どもと同じ条件で通学できます。Canada-school.com も家族帯同のページで、次のように説明しています。
保護者が就労ビザや特定の学生ビザで滞在している場合、帯同するお子様は公立学校に無償で通える
実務的にも広く認められた運用であると分かります。
「授業料無償」は、家族移住にとって大きなコストメリットです。同等レベルの教育をインターナショナルスクールや私立校で受けると、年数十万〜百万円単位の学費がかかることもあります。公立校に通えるなら、その負担を大きく抑えられます。visajpcanada.com も次のように整理しています。
保護者の就労・就学ステータスに応じて、お子様が無償で公立学校に通学できる可能性がある
親のビザの取り方が、子どもの教育費に直結する仕組みと理解できます。
多くの公立校では英語学習者向けのサポート(ESL クラスなど)も用意されています。新しく移住した子どもでも、言語面の支援を受けながら学べます。英語が第一言語でない子どもの受け入れに慣れている学校が多い点も、家族移住の安心材料です。
永住権取得後に大学費用が大幅に下がる
カナダに長期で定住する家族にとって重要なのが、「子どもが大学に進学するタイミングで、永住権(PR)を持っているかどうか」です。カナダの大学は、学生のステータスによって学費が大きく異なります。多くの大学が次のように公式に記載しています。
Domestic students (Canadian citizens and permanent residents) pay significantly lower tuition fees than international students
(カナダ市民および永住権保持者である国内学生は、留学生に比べて大幅に低い授業料を支払う)
(トロント大学、ブリティッシュコロンビア大学など)
具体的な金額は大学・学部によって異なります。オンタリオ州の主要大学では、同じ学部でも「留学生は国内学生の約 3〜4 倍の学費」というケースも珍しくありません。visajpcanada.com も家族移住のメリットとして、次のように説明しています。
カナダで永住権を取得した後は、子どもが大学に進学する際の授業料が、留学生枠ではなくカナダ人と同じ水準になる
長期的な教育コストの観点から、永住権取得の意義が強調されています。
Canada-school.com でも、次のような指摘があります。
お子様が大学進学の年齢を迎えるまでに家族で永住権を取得できれば、大学の学費負担を大きく抑えられる
子ども 1 人あたり 4 年間の大学進学を想定すると、国内学生と留学生の学費差だけで総額数百万円規模になることもあります。「今の生活費」だけでなく、「10〜15 年後の教育費」を見据えた家族移住戦略が重要です。
配偶者がオープンワークパーミットで働けること、子どもが公立学校に無償で通えること、永住権取得後に大学費用が大幅に下がること。これらが組み合わさることで、カナダは「共働きで家計を支えつつ、子どもの教育に投資したい」家族にとって、長期的なコストパフォーマンスの高い移住先になり得ます。
家族移住に使えるビザ・移民プログラムの種類

カナダで家族移住を実現するには、「どのビザ・移民プログラムで入るか」「どのルートで永住権を目指すか」を早い段階でイメージしておく必要があります。特に家族帯同の可否や、子どもの就学条件、配偶者の就労可否はプログラムごとに異なります。主要な選択肢を整理しておくと、計画を立てやすくなります。
カナダ政府(Immigration, Refugees and Citizenship Canada:IRCC)は、公式サイトで主要な経済移民・家族移民プログラムをまとめています。エクスプレス・エントリーや州プログラム、留学生向け制度について、次のように説明しています。
Most complete applications that have all the supporting documents will be processed in 6 months or less.(ほとんどの完全な申請は、6 か月以内に処理される)
Express Entry is an online system that we use to manage applications for permanent residence from skilled workers.
Provinces and territories can also recruit candidates from the Express Entry pool through their Provincial Nominee Programs.
(IRCC “Express Entry” ページ)
ここでは、家族移住の現実的なルートとしてよく使われる 4 つの選択肢を取り上げます。
エクスプレス・エントリー(連邦永住権の主要ルート)
エクスプレス・エントリー(Express Entry)は、熟練労働者向けの連邦永住権申請をオンラインで管理するシステムです。「連邦技術労働者プログラム(FSWP)」「カナディアン・エクスペリエンス・クラス(CEC)」「連邦技術職プログラム(FSTP)」が含まれます。IRCC は次のように述べています。
Express Entry is used to manage applications for permanent residence for 3 economic immigration programs.
We invite the highest-ranking candidates in the pool to apply for permanent residence.
(IRCC “How Express Entry works”)
プール(候補者のデータベース)に登録された中から、スコアの高い人が招待される仕組みです。スコアは CRS(Comprehensive Ranking System)と呼ばれ、年齢・学歴・言語力・職歴・カナダでの就労経験・配偶者の条件などで加点されます。
CRS について、カナダ政府は次のように説明しています。
You can get up to 1,200 points. You get different points depending on whether you have a spouse or common-law partner.
We’ll give you points based on the information in your profile.
(IRCC “Comprehensive Ranking System (CRS) tool”)
配偶者の有無によって配点が変わります。家族移住を前提にする場合、「主申請者+配偶者の学歴・英語力の合算」でスコアを底上げできるケースが多く、戦略的に準備する余地があります。
永住権申請時には配偶者や子どもを同時に申請に含められます。IRCC の家族クラス説明にも、次のようにあります。
You can include your spouse or partner, and dependent children in your application for permanent residence.
(IRCC “Family sponsorship – who you can sponsor”)
スキル・言語力に自信がある世帯なら、「最初から永住権狙い」でエクスプレス・エントリーに挑戦する選択肢も現実的です。
州独自の移民プログラム(PNP)
PNP(Provincial Nominee Program/州指名プログラム)は、各州が自州のニーズに合う移民を選び、連邦政府に「この人を永住権候補として推薦する」と指名できる仕組みです。IRCC は次のように説明しています。
Most provinces and territories in Canada can nominate immigrants through the Provincial Nominee Program (PNP).
These immigrants must have the skills, education and work experience to contribute to the economy of that province or territory.
(IRCC “Provincial nominees”)
州から指名を受けると、CRS に 600 点加算されるストリームもあります。エクスプレス・エントリーでの招待に一気に近づける点が大きな魅力です。
実務的には、「特定州での就労経験」や「州内企業からのジョブオファー」「特定職種(看護師、IT、建設など)」を条件とするストリームが多く見られます。canada-school.com や visajpcanada.com でも、次のように紹介されています。
カナダのカレッジ卒業後、現地でのフルタイム就労経験を積み、州のPNPからノミネーションを受けたうえでエクスプレス・エントリーで永住権を申請するケースが増えている
家族帯同という観点では、州プログラム自体は「主申請者の選定」の仕組みです。実際の永住権申請は連邦の PR 申請になります。配偶者・子どもをまとめて含められる点は、エクスプレス・エントリーと同じです。
学生ビザ+ポスグラビザ(Post Graduation Work Permit)を活用するルート
近年、日本人の家族移住で利用例が増えているのが、「親のどちらかがカレッジなどに留学 → 卒業後にポスグラビザ(PGWP)で就労 → PNP やエクスプレス・エントリーで永住権を申請」というルートです。カナダ政府は、留学生とその家族について複数のページで具体的なルールを公表しています。
留学生本人には「有効な就学許可(study permit)」が必要です。IRCC は次のように説明しています。
A study permit is not a visa. It doesn’t let you enter Canada. You may also need a visitor visa or an electronic travel authorization (eTA).
A study permit allows you to study at a designated learning institution (DLI) in Canada.
(IRCC “Get a study permit”)
家族帯同については、政府公式の “Bring your family with you” セクションで次のように明記されています。
Your spouse or common-law partner and dependent children may be able to come with you to Canada.
They may be eligible for a study permit or work permit.
配偶者のオープンワークパーミットや、子どもの就学許可取得の可能性が示されています。
卒業後のポスグラビザ(PGWP)については、IRCC が次のように定義しています。
The Post-Graduation Work Permit Program (PGWPP) allows students who have graduated from eligible Canadian designated learning institutions (DLIs) to obtain an open work permit.
A PGWP may be valid for up to 3 years.
(IRCC “Post-Graduation Work Permit Program”)
カナダの一定期間以上のフルタイム課程を修了すれば、最長 3 年のオープンワークパーミットで就労できます。この PGWP 期間中にカナダでフルタイムの職務経験(多くの州では 1 年以上)を積むことで、CEC や PNP の申請条件を満たしやすくなります。
家族移住のモデルケースとして、次のような流れがよく紹介されています。
- 学生ビザ:親がフルタイムで就学、配偶者はオープンワークパーミット、子どもは公立学校に通学
- 卒業後 PGWP:親(卒業者)がフルタイム就労、家族は引き続き同行
- 一定の就労経験後:PNP または CEC 経由でエクスプレス・エントリー申請、永住権取得後は家族全員が PR
canada-school.com も、次のように解説しています。
カレッジ卒業→ポスグラビザ→就職→州ノミネーションやエクスプレス・エントリーというステップを踏むことで、家族での永住権取得を目指すケースが多い
visajpcanada.com も、永住権申請プロセスとして同様のルートを提示しています。
スポンサーシップ(家族呼び寄せ)
すでに誰か一人がカナダの永住権または市民権を持っている場合、「家族スポンサーシップ(Family sponsorship)」を利用して、配偶者・パートナー・子ども・親などを呼び寄せる方法があります。IRCC はこの制度について、次のように説明しています。
If you’re eligible, you can sponsor your spouse, partner or dependent children to become permanent residents of Canada.
You must be able to support them financially and make sure they don’t need social assistance from the government.
(IRCC “Sponsor your spouse, partner or child”)
スポンサー側には、一定の経済的支援能力が求められます。親や祖父母については別枠で、次のような案内があります。
You may be able to sponsor your parents and grandparents.
If you do, you must support them and their dependants financially, and make sure they don’t need social assistance.
(IRCC “Parents and grandparents sponsorship”)
三世代での家族移住にも道が開かれている形です。
スポンサーシップは「カナダにすでに基盤がある家族」が前提になります。一方で、他のプログラムと比べると、言語力や職歴などのスキル要件は緩やかなケースが多い制度です。そのため、次のような二段階の家族移住戦略も現実的です。
- まずは夫(または妻)がエクスプレス・エントリーや PNP、留学ルートなどで永住権を取得
- その後、配偶者や子どもをスポンサーシップで呼び寄せる
IRCC 公式サイトは、スポンサーと被スポンサー双方の条件や必要書類、処理期間などを詳細に公開しています。該当しそうな場合は、一次情報にあたり、具体的な条件を確認することが欠かせません。
このように、カナダ政府が公表している制度設計を見ると、「スキルを持つ労働者とその家族」「留学後に現地でキャリアを築きたい世帯」「すでにカナダにルーツを持つ家族」それぞれに対して複数のルートが用意されていることが分かります。自分たちの年齢・英語力・資金力・キャリアプランに合わせて、どのプログラムが現実的かを見極めることが、家族移住計画の第一歩になります。
家族でカナダ永住権を取得するまでのステップ

カナダ政府は、留学→就労→永住権というルートを制度として明確に用意している国の一つです。カナダ移民局(IRCC)は、公表資料の中で次のように説明しています。
international students who have Canadian education and work experience may find it easier to qualify for permanent residence
(カナダでの学歴と職歴を持つ留学生は、経済移民カテゴリーで永住権を申請しやすくなる)
家族ぐるみの移住計画でも、この流れを前提に組み立てるケースが多くなっています。
代表的なロードマップは次の通りです。
- 親のどちらかがカレッジ・大学に正規留学
- 配偶者が就労ビザ
- 子どもは公立校
- 卒業後にポスグラ就労ビザ
- エクスプレス・エントリーや州ノミネーションで永住権申請
ここでは、おおよその期間とともに 4 つのステップに整理して解説します。
STEP1:カレッジ・大学への入学と学生ビザ取得
第一歩は、親のどちらかがカナダの公立カレッジや大学など「DLI(Designated Learning Institution)」に入学し、学生ビザ(study permit)を取得することです。IRCC公式サイトは、次のように明記しています。
Most foreign nationals need a study permit to study in Canada if their program is longer than 6 months
(6か月を超えるプログラムで学ぶ場合、ほとんどの外国人は学習許可証が必要)
家族移住を前提とするなら、1~2年程度のフルタイムプログラムを選ぶパターンが多くなります。
canada-school.com の「家族でカナダ移住プラン」では、親が 2 年制カレッジに進学し、その間に家族全員で生活基盤を整えるモデルが紹介されています。出願準備(英語試験、志望校選定、出願書類の準備)に 6 か月前後、学校からの入学許可証(LOA)を受け取ってから学生ビザの審査・発給までに数か月かかるとされています。このため、「入学希望時期の 1 年前から動き始める」くらいの余裕が望ましいといえます。
IRCC は学生ビザの条件として、学費や生活費を賄える資金証明を求めています。公式には次のように定めています。
You must prove you have enough money to pay for your tuition fees, living expenses for yourself and any family members who come with you
(本人の学費+生活費+帯同家族分の生活費を示す必要がある)
家族移住を前提とする場合、この資金要件が最初のハードルです。貯蓄や親族からのサポート、教育ローンなども含めた資金計画が欠かせません。
STEP2:配偶者の就労ビザと子どもの公立学校入学
学生ビザが下り、親のどちらかがフルタイムの高等教育機関に正規留学する場合、配偶者と子どもが帯同できます。これはカナダの大きな特徴です。IRCCは次のように説明しています。
Spouses or common-law partners of full-time students at eligible post-secondary institutions may be eligible for an open work permit
(適格な高等教育機関でフルタイム就学する留学生の配偶者は、オープンワークパーミットの対象となり得る)
配偶者は特定の雇用主に縛られないオープンな就労ビザを得られる可能性が高くなります。
canada-school.com の家族移住プランでは、親が留学生、配偶者がオープンワークパーミットでフルタイム就労し、世帯収入を支えつつ現地の職歴を積むモデルが紹介されています。配偶者が現地企業での就労経験を積むことは、後のエクスプレス・エントリーや州ノミネーションでのポイント加算にもつながります。生活費の補填にとどまらず、永住権戦略上も重要な意味を持ちます。
帯同する子どもについて、多くの州は「留学生の子どもでも、親が公立カレッジや大学に在籍している場合は公立学校に無料または現地と同等条件で通える」と説明しています。ブリティッシュコロンビア州教育省は、留学生本人の学費に関するガイドラインの中で、特定条件の下で帯同児童が地元児童と同等の扱いを受けることに触れています。実務上も「親の就学中に子どもを公立小中学校に通わせる」家族が多くなっています。
visajpcanada.com の事例では、小学生の子どもが現地の公立学校に編入し、ESLクラスを経て通常クラスに入っていく流れが体験談として紹介されています。
STEP3:卒業後にポスグラビザで現地就職
親のどちらかがカレッジや大学を卒業すると、「ポストグラデュエーション・ワークパーミット(PGWP)」に進みます。IRCCは次のように説明しています。
Graduates of eligible Canadian post-secondary institutions who have completed a program of at least 8 months may be eligible for a post‑graduation work permit valid for up to 3 years
(カナダの指定教育機関で 8 か月以上のプログラムを修了した留学生は、最大 3 年間のポストグラデュエーションワークパーミットを申請できる場合がある)
(IRCC “Post‑Graduation Work Permit Program”)
2年制カレッジを修了した場合、多くのケースで 3 年の PGWP が発給されるとされています。canada-school.com でも「2年間の就学+3年間の就労」という 5 年スパンを前提に家族移住プランを組み立てています。
卒業後、この PGWP を使ってカナダ国内でフルタイム就職し、最低 1 年分のカナダでの熟練職歴(NOCスキルレベル0/A/B)を積むことが、エクスプレス・エントリー(特に Canadian Experience Class)を狙ううえで重要な条件です。
visajpcanada.com に掲載された 40 代夫婦の体験談では、夫がカレッジ 2 年+PGWP 3 年の枠内で現地就職し、1 年目から専門職としてフルタイム雇用を獲得したケースが紹介されています。その後、雇用主からのサポートを受けつつ州ノミネーションプログラム(PNP)を活用し、PGWP の有効期限内に家族全員の永住権取得に至った過程が語られています。「40代からでも現地学歴+職歴ルートで永住権を狙える」ことが分かる事例です。
STEP4:エクスプレス・エントリーまたはPNPで永住権申請
カナダでの学歴と職歴がそろった段階で、本格的に永住権申請に進みます。IRCC が運用するエクスプレス・エントリーは、次のように定義されています。
an online system that we use to manage applications for permanent residence under certain economic immigration programs
(特定の経済移民プログラムの永住権申請を管理するオンラインシステム)
CEC、Federal Skilled Worker Program(FSWP)などが含まれます。
CEC では、IRCC が「申請前 3 年以内に少なくとも 1 年分のカナダでの熟練職歴が必要」と明記しています。
have at least 1 year of skilled work experience in Canada, in the last 3 years
カナダでの学歴保有者には、CRS スコア上の加点もあります。留学→就労ルートとの相性がよくなっています。
各州が独自の条件で永住権候補者を指名する「州ノミネーションプログラム(PNP)」もあります。IRCC は次のように説明します。
a provincial nomination can give an additional 600 points, significantly increasing your chances of receiving an invitation
(州からのノミネーションはエクスプレス・エントリープロファイルに 600 ポイントを加算し、招待を受ける可能性を大きく高める)
canada-school.com や visajpcanada.com の解説をまとめると、実務上は次のような選択肢が多くなります。
- カナダで 1 年以上の熟練職歴を積み、CEC 枠でエクスプレス・エントリーに登録
- 雇用主のある州の PNP に申請し、ノミネーションを得たうえでエクスプレス・エントリーのスコアを底上げ
- 特定州の留学生向け PNP ストリーム(州内の学歴保有者が対象)を利用
visajpcanada.com の 40 代夫婦の事例では、「PGWP期間中にBC州のPNPに申請→ノミネーション取得→エクスプレス・エントリー経由でPR承認」という流れをたどっています。「渡航→学校探し→仕事探し→永住権申請」という大きなステップが、制度と体験談の両方で一致している形です。
IRCC は各プログラムの要件や必要書類、処理期間を公式サイトで公開しています。申請ルールも頻繁に更新されます。家族での永住権取得を現実的な目標にするなら、「カレッジ2年+PGWP最大3年」という時間枠の中で、どのタイミングでどのプログラムに乗るかを早めに設計する必要があります。同時に、IRCC公式サイトや州政府のPNPページなど一次情報をこまめに確認しながら進める姿勢が欠かせません。
カナダの家族向け生活費・住居費の実態

バンクーバー・トロント・カルガリーの生活費比較
カナダは日本と同じ先進国ですが、都市ごとの物価差が大きい国です。特に家族移住では「どの街を選ぶか」で必要な生活費が数十万円単位で変わってきます。住む都市の選定が、そのまま家計設計につながります。
カナダ統計局(Statistics Canada)は、毎月「消費者物価指数(CPI)」を公表しています。2024年時点でも住宅コスト(家賃・住宅ローン等)はインフレの主因とされています。CPI の住宅関連項目はここ数年で大きく上昇しており、「住宅費の高騰が家計を圧迫している」ことを繰り返し指摘しています(Statistics Canada, Consumer Price Index)。公的統計として「住宅が家計負担の中心」という前提がはっきりしている点は、日本と似た構図です。
ただし、都市別に見ると負担感はかなり違います。Numbeo や CMHC(Canada Mortgage and Housing Corporation:カナダ住宅公社)のデータを参考にすると、2024年時点のおおまかな傾向は次の通りです。
- バンクーバー(ブリティッシュコロンビア州)
- 家賃・住宅価格ともカナダトップクラスの高さ
- 中心部の 2 ベッドルーム賃貸は月 3,000~3,500 カナダドル台が一般的という調査もある
- CMHC もメトロ・バンクーバーの平均家賃は数年で二桁%の上昇と報告
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温暖な気候と自然環境の良さから移民や国内他州からの流入が多く、需要過多が続く
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トロント(オンタリオ州)
- バンクーバーと並ぶ高コスト都市で、特にコンドミニアム賃貸が高騰
- CMHC の 2024 年版レンタルマーケットレポートでは、トロントを含むオンタリオ州大都市圏で空室率 2% 前後と「深刻な供給不足」と記述
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家賃水準はバンクーバーとほぼ同等か、物件によってはそれ以上のケースもある
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カルガリー(アルバータ州)
- 同じ大都市圏でも、バンクーバーやトロントに比べると家賃は明らかに低め
- CMHC はアルバータ州大都市圏の平均家賃がオンタリオ・BC より抑えられていると示している
- 戸建て・タウンハウスも相対的に手が届きやすい水準
- 物価全体もやや安く、ガソリン価格も州税の違いから低め
体感として、「バンクーバー・トロントは東京23区よりさらに一段高い」「カルガリーは大都市だが、住宅コストはまだ現実的」というイメージになります。税金や医療保険など別要素もありますが、家族移住で最も差が出るのは住宅コストです。都市ごとの相場感を早めに押さえておく必要があります。
家族4人の月間生活費の目安
ダイヤモンド・オンラインの「家族4人でカナダ移住『こんなに大変だとは…』」では、バンクーバー近郊に移住した日本人家族の事例が紹介されています。家賃・食費・車関連費などが大きな負担になっている様子が描かれています。カナダ西海岸の住宅費の高さや、子どもの成長とともに教育関連費が増える点から、「家計のやり繰りが日本にいたときよりシビアになった」との記述があります(ダイヤモンド・オンライン)。家族帯同での移住が、単身留学よりもコスト面で負担が大きいことがうかがえます。
日本人のバンクーバー移住体験談として公開されている note 記事でも、1 ベッドルームから 2 ベッドルームへの住み替えで家賃が月数百ドル増えた様子や、日本食材を多く買うと食費がかさむ実感が書かれています。筆者は「家賃と食費が想定以上に高く、外食は基本的に控えるようになった」と述べています。物価高がライフスタイルの見直しに直結していることが伝わります(バンクーバー移住者による note 体験談)。
これらの一次情報と、カナダ統計局・Numbeo などの物価データを組み合わせると、夫婦+子ども2人(学齢期)の家族4人が主要都市で暮らす場合の「税金・保険を除く実生活費」の目安は、次のように考えられます。
- バンクーバー・トロントの場合(家賃込み、カナダドル)
- 家賃(2ベッドルーム):2,800〜3,500
- 食費(自炊中心、日本食材を一部利用):1,000〜1,400
- 交通費(公共交通+ときどきタクシー/カーシェア):200〜350
- 光熱費・通信(電気・暖房・インターネット・携帯):250〜350
-
日用品・衣類・交際費など:400〜700
→ 合計:4,650〜6,300 カナダドル/月程度 -
カルガリーなど家賃が比較的安い都市の場合
- 家賃(2〜3ベッドルーム):2,000〜2,600
- 他の項目は大都市と大きくは変わらない
→ 合計:3,800〜5,000 カナダドル/月程度
ダイヤモンド・オンラインの記事に登場する家族も、カナダドル建ての収入を得ながらも「子ども2人を育てるには、共働きか、それに近い収入源がないと厳しい」と語っています。単一収入での余裕ある生活は難しいというトーンです。note のバンクーバー移住者も、家賃と食費の高さから「日本での金銭感覚のまま来るとギャップが大きい」と繰り返し書いています。
これらの声を踏まえると、家族4人で月 4,000 カナダドルを下回る予算設定は、よほど家賃が安い地方都市か、節約生活を前提にしない限り現実的ではないと見ておくのが安全です。主要都市で「ある程度余裕を持たせたい」なら、生活費として月 5,000〜6,000 カナダドルを目安に考えると、一次情報とのズレが少なくなります。
住居探しの方法と家賃相場
家族移住で最初に直面するのが、「どこに、どのタイプの家を、いくらで借りられるか」という問題です。ダイヤモンド・オンラインの事例でも、渡航直後から住居探しに苦労した様子が描かれています。家族構成や学校区を考えると、単身者よりも選択肢が限られやすくなります。同記事では「子どもの学校区を優先した結果、家賃水準の高いエリアにならざるを得なかった」とも書かれています。教育環境と家賃のトレードオフが典型的な悩みになっていると分かります。
住居探しの主なルートは次の 3 つです。
-
オンラインの賃貸サイトを利用する
Craigslist、Facebook Marketplace、Zumper、Rentals.ca などが代表的です。写真や家賃、間取りから候補を絞り込み、現地で内見して決める流れになります。 -
不動産エージェント(Realtor)を通す
特にコンドミニアム賃貸では、オーナー側にエージェントが付いているケースが多くあります。家族構成を伝えると、学校区や治安を踏まえたエリア提案を受けられます。 -
知人・コミュニティ経由で情報を得る
日本人会や現地コミュニティの SNS グループなどを通じて情報を得る方法です。信頼できるオーナーや、子育て世帯に向くエリアの口コミが得やすくなります。
どのルートで探すにせよ、「家賃相場の把握」が出発点になります。CMHC のレンタルマーケットレポートは、都市別・部屋数別の平均家賃を毎年公表しています。2024年版でも、トロントやバンクーバーの 2 ベッドルーム平均家賃が 2,500 カナダドル前後〜それ以上の水準にあると示されています(CMHC, Rental Market Report)。大都市圏では空室率低下と家賃上昇が続いており、「特に家族世帯向けの大きなユニットで供給不足が深刻」との分析もあります。
バンクーバー移住者の note 体験談では、1 ベッドルームで 2,000 カナダドル台半ば、2 ベッドルームでは 3,000 カナダドル近くが相場と書かれています。筆者は「子どもが増えたり成長すると 2 ベッドルーム以上が必要になり、そこから家賃負担が一気に重くなる」と述べています。家族構成の変化が家賃に直結する現実が語られています。
これらの公的データと体験談を組み合わせると、主要都市で家族が想定しやすい家賃相場は、およそ次のようになります。
- バンクーバー・トロント:2ベッドルーム 2,800〜3,500 カナダドル
- カルガリー:2〜3ベッドルーム 2,000〜2,600 カナダドル
- 近郊・郊外都市:中心部より数百ドル安いケースもあるが、通勤・通学距離とのバランスが必要
ダイヤモンド・オンラインの記事の家族も、「教育環境や治安を考え、あえて郊外の広めの物件を選んだが、それでも家賃は日本時代よりかなり高い」と語っています。
CMHC・Statistics Canada の公的統計と移住者の一次情報は、ともに「家族世帯向け住宅は慢性的な供給不足で、家賃も高止まりしている」という現実を示しています。
家族移住を計画する段階では、まず CMHC の最新レポートで候補都市の平均家賃と空室率を確認しておきたいところです。同時に、note やブログなど日本人移住者の体験談で「実際にどのくらいの家賃で、どのような生活レベルになっているか」を照らし合わせておくとよいでしょう。そのうえで、子どもの人数や学校の希望、車の有無を踏まえた「現実的に払える家賃の上限」を、日本円ではなくカナダドルベースで決めておくと、現地での住居探しがぶれにくくなります。
カナダ移住後の子どもの教育環境

カナダは、「子どもの教育を重視したい」「多文化環境で子どもを育てたい」家庭向けの移住先として、ビザサポート会社 Visa JP Canada やカナダ留学情報サイトでもよく取り上げられています。Visa JP Canada は、「カナダは公教育の質が高く、多文化社会の中で子どもが自然に英語と多様性を身につけられる」といった趣旨で家族移住のメリットを紹介しています(Visa JP Canada 公式サイトの家族移住解説)。教育環境の良さが一次情報として強調されています。
公立学校の無償教育制度と入学手続き
カナダの大きな特徴の一つが、「永住権保持者や就労ビザなどで滞在する家庭の子どもは、公立小中高校で原則授業料が無料」という仕組みです。教育は州政府の管轄ですが、たとえばブリティッシュコロンビア州教育省は、就学年齢の子どもについて次のように明記しています。
Public education is free for school‐age children who are ordinarily resident in the province.
(州内に常住している学齢期の子どもには公立教育は無償)
(BC Ministry of Education and Child Care, “K–12 Education”)
他州でも同様の方針が採用されています。
カナダ現地の日本語情報サイト canada-school.com も、「就学ビザや就労ビザで移住した保護者に扶養されている子どもは、公立学校に無料で通える」と解説しています(canada-school.com『カナダの小中高校のしくみ』)。多くの日本人家族が、この無償の公教育を前提に家計を組み立てていることが分かります。
入学手続きは、学区ごとの教育委員会(School District)を通じて行うのが一般的です。バンクーバー学区(Vancouver School District)では、オンライン予約のうえで次のような書類の提出を求めています。
- 子どものパスポート
- 親子双方のビザ・ステータスを示す書類(PRカード、就労ビザなど)
- 住所を証明する書類(賃貸契約書や公共料金の請求書)
- 予防接種記録
同学区の公式サイトでは、次のように明記されています。
Proof of residency and immigration documents are required for all students at the time of registration.
(入学登録時には、すべての生徒について居住証明と移民関連書類が必要)
ビザの種類と居住予定住所をある程度固めておくことが、スムーズな入学手続きの前提といえます。
公立校の授業料は無料ですが、スクールバス代、学用品、遠足などの費用は自己負担になることが多くなります。オンタリオ州教育省も、次のように説明しています。
There may be fees for optional activities, special events, and school supplies.
(任意活動や特別行事、学用品には費用がかかることがある)
(Ontario Ministry of Education, “Fees for learning materials and activities”)
完全に「ゼロコスト」ではない点は押さえておきたいところです。
英語力ゼロでも受けられるESLサポート
「子どもの英語力がまったくない状態で現地校に入れて大丈夫か」という不安に対しては、公立校が提供する ESL(English as a Second Language)プログラムの存在が大きな支えになります。教育省や学区の説明を見ると、英語を母語としない子どもの受け入れは制度として組み込まれています。
たとえばトロント教育委員会(Toronto District School Board)は、次のように明記しています。
We welcome students from all over the world. English language learners receive support through ESL and ELD programs in our schools.
(世界中からの生徒を受け入れており、英語学習者には ESL・ELD プログラムを通じたサポートを提供している)
(TDSB公式サイト “English as a Second Language”)
ESLの形態は州や学区によって異なりますが、バンクーバーなど大都市圏では次のようなパターンが多く見られます。
- 通常クラスに所属しつつ、週数時間〜半日単位でESL専任教師のクラスに参加
- 初期段階はESLの比率が高く、英語力の伸びに応じて通常科目の時間を増やしていく
- 教科内容は現地生と同じだが、語彙や課題を簡略化した教材を使う
ブリティッシュコロンビア州教育省の “English Language Learning (ELL) Policy” では、次のように規定しています。
School boards must provide programs for students whose primary language is not English so that they can develop language skills to fully participate in the school system.
(英語を母語としない生徒が学校教育に十分参加できるよう、学区は英語学習プログラムを提供しなければならない)
英語ゼロからのスタートを想定した制度設計になっていると分かります。
日本人家族の体験談でも、「渡航当初はまったく英語が分からず ESL クラス中心だったが、1〜2年で通常クラスだけで学べるレベルになった」という話がよく見られます。これらの声と公的な政策文書を合わせると、「英語力ゼロでも入学自体は問題なく、数年単位で現地生に近づいていく」というイメージが現実に近いといえます。
インターナショナルスクールという選択肢
「英語は身につけてほしいが、教育内容や言語環境を日本語寄りにしたい」「帰国子女枠での日本の学校再編入も視野に入れたい」と考える家庭では、インターナショナルスクールも選択肢になります。カナダには、IB(国際バカロレア)認定校や British Curriculum 採用校など、さまざまなタイプの学校があります。日本人家庭の利用も一定数見られます。
ただし、費用感は公立校とは大きく異なります。カナダのインターナショナルスクールの例として、トロントの名門校「Upper Canada College」は、小学生段階でも年間学費が約 36,000 カナダドルと公表しています(UCC公式サイト Tuition & Fees)。バンクーバーのインターナショナルスクールでも、初等教育で年間 20,000〜30,000 カナダドル程度が相場とされています。多くの学校が公式サイトで次のように学費帯を示しています。
Annual tuition ranges from CAD $20,000 to $30,000 depending on grade level.
公立の「授業料ゼロ」との差はかなり大きくなります。
また、インターナショナルスクールは入学選抜や英語力の基準を設けていることも多くあります。トロントの一部学校では、次のような条件を明示しています。
Applicants may be required to complete an English proficiency assessment and academic test as part of the admission process.
(出願者は入学プロセスの一環として英語力判定と学力試験を受ける場合がある)
(各校公式 Admissions ページ)
一方で、バイリンガル教育や少人数クラス、日本の学年に近いカリキュラムを提供する学校もあります。その結果、「帰国後の日本の中学受験に対応しやすい」「英語と日本語のバランスを取りやすい」といった利点もあります。カナダ留学専門サイトや学校公式の卒業生インタビューでは、「カナダのインターナショナルスクールから日本の難関中高へ進学した」「海外大学と日本の大学を並行して受験した」といった事例も紹介されています。
家族移住で教育環境を検討する際は、次のような軸を整理すると判断しやすくなります。
- ビザの種類と滞在期間(長期定住か、数年で帰国予定か)
- 家計における教育費の上限
- 日本語学習や日本の受験をどの程度重視するか
そのうえで、公立校+ESLを基本とするか、インターナショナルスクールに投資するかを検討する流れがおすすめです。各州教育省や学校公式サイトといった一次情報を確認しながら比較していくことが、子どもの将来の選択肢を広げるうえで重要になります。
カナダ家族移住における日本人が直面するリアルな壁

英語力不足と現地就職の難しさ
カナダは移民にオープンな国として知られています。「英語は現地で何とかなるだろう」と考えて渡航すると、現地就職の段階で厳しい現実に直面しやすくなります。
カナダ政府の移民プログラムでは、永住権申請の主要ルートである Express Entry で、英語力を示す IELTS や CELPIP のスコアを細かく点数化しています。IRCC 公式サイトでも、次のように明記しています。
Language skills are an important factor in your CRS score
(言語能力は CRS スコアにおける重要な要素)
(Immigration, Refugees and Citizenship Canada)
「仕事を探しながら英語も伸ばす」という発想では、永住権の土台となるスコアに届かない場合があります。IRCC は技術系移民プログラム(Federal Skilled Worker Program)で、申請条件として英語力をカナダ語学基準 CLB7 以上に設定しています。これは IELTS General で「Listening 6.0 / Reading 6.0 / Writing 6.0 / Speaking 6.0」に相当します。日常会話だけでなく、仕事でレポートを書き、会議で意見を述べられるレベルが求められます。
実際の就職活動では、英語面接のハードルはさらに高くなります。カナダの求人サイト Indeed Canada や LinkedIn の求人票では、「excellent communication skills」「client-facing role(顧客対応)」といった要件がよく見られます。英語力が単なる読み書きだけでなく、「顧客との交渉」「同僚との議論」に耐えうるかどうかも判断されます。
カナダ移民専門のビザサポート企業 VisaJP Canada が公開している 40 代夫婦の移住事例でも、「申請中に印象に残ったできごと」として、英語試験のスコアアップや書類のやり取りに苦労した話が紹介されています。「英語のスコアが足りず、予定していた申請タイミングを見直さざるを得なかった」「専門職としての経歴を英語で説明するのに時間がかかった」といった実体験です。英語力の不足がビザ取得と就職の両方に直結していると分かります。
家族移住では、配偶者のオープンワークパーミットなどで「まずはどちらか一人が働く」という戦略を取るケースも多くあります。その一人に高い英語力と専門性が集中して求められます。IRCC は配偶者オープンワークパーミットの説明ページで、「主たる申請者が就学許可または就労許可を持ち、一定条件を満たす場合に限り、配偶者にオープンワークパーミットが出る」と定めています。主たる申請者が英語不足で学位取得や就職に苦戦すると、家計全体の計画が崩れやすくなります。
住居確保の競争と高騰する家賃
もう一つの大きな壁が、主要都市での住居確保です。カナダ統計局(Statistics Canada)は、住宅費や家賃の高騰が家計を圧迫していることを過去数年の調査で繰り返し指摘しています。2023 年の報告書でも、次のように述べています。
Rents have increased significantly in major metropolitan areas
(主要都市圏で家賃が大幅に上昇している)
実態として、トロントやバンクーバーでは、州政府や市が公表する住宅レポートで「vacancy rate(空室率)」が 1% 前後と、極めて低い水準にあります。カナダ住宅金融公社(CMHC)の Rental Market Report では、2023 年のバンクーバーの目的別賃貸住宅の空室率が 0.9% と記録されています。「tight rental market conditions(逼迫した賃貸市場)」という表現で警鐘を鳴らしています。空室が少なく、賃貸希望者の競争が激しい状況です。入居審査も厳しくなりがちです。
日本からの家族移住では、クレジットヒストリー(信用スコア)がない、カナダでの収入証明が出しにくい、勤務先が決まっていないといった理由で、オーナーに敬遠されることがあります。カナダの大手賃貸情報サイト Rentals.ca の解説ページでも、次のように説明しています。
landlords often require credit reports, proof of income and references
(家主はしばしば信用情報、収入証明、リファレンスを求める)
日本の賃貸文化とは異なり、「信用情報ありき」の前提があります。
家賃相場の高さも無視できません。CMHC のレポートによると、2023 年のトロントにおける 2 ベッドルームの目的別賃貸平均家賃は前年より約 10% 上昇し、2,000 カナダドル台半ばに達しています。バンクーバーではさらに高く、2 ベッドルームで 3,000 カナダドル近い物件も珍しくありません。家族移住では 1 ベッドルームでは手狭なため、2 ベッドルーム以上を探す必要があります。住宅費が家計の中心を占めがちになります。
こうした背景から、各州政府や市は住宅政策に力を入れています。たとえばブリティッシュコロンビア州政府の公式サイトでも、次のような表現があります。
affordability challenges
(住宅の手ごろさに関する課題)
家賃負担が住民生活に影響していることを認めています。移住希望者としては、「インフレだから仕方ない」というレベルを超えて、家賃が年々積み上がるリスクを前提にライフプランを組む必要があります。
日本との税務・社会保険の二重管理問題
家族移住の計画段階で見落とされがちなのが、日本とカナダの税務・社会保険の二重管理です。実際に住み始めてから重くのしかかるテーマです。
日本の国税庁は、2015 年から導入された「国外転出時課税制度(いわゆる出国税)」について、公式ページで説明しています。「1 億円以上の対象資産を保有したまま出国する場合、含み益に対して所得税等が課される」という内容です。株式や投資信託などを多く保有している層にとっては、カナダ移住が日本の税務負担にも直結する仕組みです。
国税庁の案内では、出国税の対象者は次のように定義されています。
出国の日に有価証券等の対象資産を合計 1 億円以上保有し、かつ過去 10 年以内に 5 年以上日本の居住者であった者
海外移住で居住地を移す際には、財産の種類・評価額・過去の居住期間の整理が欠かせません。資産規模によっては、移住タイミングの調整や資産の組み換えを検討する必要もあります。
カナダ側でも、税務当局 Canada Revenue Agency(CRA)が公式サイトで、次のように明記しています。
Residents of Canada are taxed on their worldwide income
(カナダ居住者は世界中の所得に対して課税される)
カナダに税務上の居住者として認定された時点で、日本を含む全世界の所得についてカナダでの申告義務が生じます。一方、日本とカナダの間には租税条約が締結されており、同じ所得に二重に税金がかかることを避ける「外国税額控除」などの仕組みがあります。ただし、「どの所得をどの国で申告し、どの税額を控除対象にできるか」は複雑になりやすい分野です。
日本の社会保険との関係も整理が必要です。厚生労働省は「年金制度の国際協定」に関するページで、日本とカナダの間に社会保障協定があることを示しています。「二重加入の防止」と「年金加入期間の通算」が主な目的であると説明しています。一定条件を満たせば、日本とカナダ双方で年金保険料を二重に払うことを避けられます。将来の年金受給資格を、両国の加入期間を通算して判断してもらえる可能性もあります。
ただし、協定の適用を受けるには、日本で「任意加入」や「脱退手続き」を行う必要があるケースもあります。日本年金機構や在外公館の案内を読み解きながら進める手間が発生します。カナダ側でも、CRA のガイドに従って社会保険番号(SIN)を取得し、所得税や雇用保険、年金(Canada Pension Plan)との関係を理解しなければなりません。
こうした税務・社会保険の手続きは、移住前後で日本とカナダの制度を行き来することになります。「現地で聞けば何とかなる」といった感覚では対応しきれません。国税庁、CRA、厚生労働省、年金機構、カナダ政府の各種ガイドラインといった一次情報をベースに、自分と家族の状況に当てはめて整理することが重要になります。家族移住後の思わぬ税金トラブルや年金の取りこぼしを防ぐうえで欠かせない視点です。
先進国の移民政策から見るカナダ家族移住の優位性

カナダは年間34万人超の永住型移民を受け入れる移民大国
カナダが「家族で移住しやすい国」と言われる背景には、移民受け入れの規模が世界トップクラスである事実があります。公益財団法人日立財団の「日立財団グローバルソサエティレビュー」は、OECDが2020年に集計したデータを引用しながら、次のように紹介しています。
カナダは永住型移民の受け入れ数が年間約34万人で世界5位に位置している
(OECD International Migration Database 2020 に基づく)
OECD加盟国の中で上位5カ国に入るということは、人口規模を考えても「積極的に移民を受け入れる国」と位置づけられているといえます。
同レポートでは、カナダなど英語圏の主要な移民受け入れ国について、恒久的な移住者(permanent immigrants)の受け入れ数が他国と比べて多い点も指摘しています。日本については次のような記述があります。
日本政府は外国人の永住も視野に入れた非常にオープンな移民政策をとっているにもかかわらず,閉鎖的というイメージが一般的に持たれている
一方で、カナダのように実数で明確に大規模な受け入れを行っている国との対比が示されています。
「年間約34万人」という数字は、一時的なビジタービザや留学ではなく、永住を前提とした受け入れ数です。カナダ政府は、単発の労働力ではなく、「社会の一員として定住する人」を毎年大規模に受け入れています。その結果、永住権(PR)を取って家族単位で生活基盤を築こうとする移住者にとって、有利な制度やインフラが整いやすくなります。
同レビューは、「具体的なエビデンスを欠いた議論や一方的な思い込み,個人的な体験に基づく議論」から離れ、統計に基づいて各国の状況を比較する重要性を強調しています。OECD の国際移住統計に基づくと、カナダは他の先進国と比べても「永住型移民を制度的に受け入れることを前提とした国」です。日本から家族移住を考えるときにも候補に挙がりやすい国と位置づけられます。
家族移民が移民全体の35%を占めるグローバルトレンド
家族移住を検討するときに押さえておきたいのが、「世界的に家族移民の比率が高い」という流れです。日立財団グローバルソサエティレビューは、OECD加盟国における家族移民の比率について、次のように紹介しています。
先進国の永住型移民の35%が家族移民である
(OECD 2020年データに基づく)
この 35% という数字は、単身での移住や技能ベースの移民だけでなく、「家族として移住する」ルートが各国の制度の中で重要な位置を占めていることを示します。
OECD の国際移住データベースでは、移民を「雇用目的」「家族再統合」「人道的理由」などに区分して集計しています。その中で家族移民(family migration)が 3 分の 1 以上を占める構造が明らかにされています。日立財団の解説でも、先進国全体として「家族の呼び寄せ」や「配偶者・子どもの同行」といった家族ベースの移民カテゴリーが重要な柱になっていると整理されています。
カナダは、このトレンドを政策レベルで反映している国の一つです。永住権プログラムを大きく「経済移民」「家族クラス」「難民・人道」「その他」に分け、その中で家族に関するカテゴリーを明確に制度化しています。OECD統計は国別の制度の細部までは扱いませんが、日立財団のレビューを通じてみると、カナダが次のような家族ベースの移住を重視していると読み取れます。
- 配偶者や子どもの帯同
- 永住権取得後の親の呼び寄せ
これらを「例外的な措置」ではなく、移民制度の中核として位置付けている形です。
「カナダに家族で移住できるのか」という問いに対しては、「先進国の移民の 3 分の 1 は家族移民で、その中でもカナダは永住型移民の受け入れ規模が世界上位の国」という前提に立って考えられます。家族移住という選択がグローバルスタンダードの一つになっています。その中でカナダは受け皿として大きい側にいる、というイメージを持てるはずです。
日本からカナダへの移住が増加している背景
日本は長らく「移民が少ない国」というイメージで語られてきました。日立財団グローバルソサエティレビューは、そのイメージと実態のギャップを指摘しています。先ほど引用したように、同レビューは次のように述べています。
日本政府は外国人の永住も視野に入れた非常にオープンな移民政策をとっているにも関わらず,非常に閉鎖的な政策をとっているといったイメージが一般的に持たれている
データに基づいた議論の必要性が強調されています。
こうした視点をカナダとの比較に応用すると、日本国内で閉塞感や将来不安を感じる人ほど、「オープンさが可視化されている国」へ関心を持ちやすい状況が見えてきます。
OECD の国際移住データでも、日本から主要英語圏(カナダ、オーストラリアなど)への移住者数が少しずつ増加している傾向が確認できます。日立財団の解説も「国際移動の増加」と「日本人自身の海外移住」の広がりに触れています。
カナダ側では、年間約 34 万人規模で永住型移民を受け入れています。技能ベースの移民や留学生からの永住権取得ルートも整備されています。そのため日本人が、次のような形で中長期的に生活拠点を移すケースが増えやすくなっています。
- 学生ビザ・ワーホリで入り、その後就労・永住へ進む
- 技能移民として家族と一緒に申請する
日立財団のレビューは、国際移民に関する議論が「個人的な体験に基づく議論から生まれている」ことを懸念しています。「最新の統計や各種データに基づき」状況を把握する重要性を繰り返し述べています。
この姿勢を日本からカナダへの家族移住に当てはめると、次の 2 つの事実が制度としての「受け入れ余地の大きさ」を示していると分かります。
- カナダは OECD データで永住型移民受け入れ世界 5 位
- 先進国の永住型移民の約 35% は家族移民
日本国内では、子どもの教育や自分のキャリア、税金や年金の将来に不安を感じ、「どの国なら家族で長期的な生活設計ができるか」を探す人が増えています。そのとき、「住みやすそう」「英語が通じる」といった印象だけで国を選ぶのではなく、OECD や日立財団が示す国際移住統計に目を通すことが役立ちます。
そのうえでカナダを見ると、次のような点が見えてきます。
- 移民受け入れ数そのものが大きい
- 家族移民を国際標準と同程度、もしくはそれ以上に制度として重視している
こうした要素から、「家族移住を現実的に検討しやすい先進国」に位置づけられているといえます。一次情報に基づく全体像を押さえたうえで、ビザの種類や仕事探し、教育環境といった具体的な条件を見ていくことが、カナダ家族移住の成否を左右する重要なステップになります。
カナダ家族移住の準備チェックリストと相談先

移住前に準備すべき書類・手続き一覧
カナダ家族移住では、ビザ申請に必要な書類と、日本側で済ませておくべき手続きを同時並行で進める必要があります。ここでは、カナダ政府や関連機関が公表している情報をもとに、家族向けに整理します。
カナダ移民局(IRCC)は、永住権申請の案内ページで次のように注意喚起しています。
It is important to make sure you are eligible and have all the documents you need before you apply to avoid processing delays
(申請する前に、申請資格と必要書類を確認し、遅延を防ぐことが重要)
(Immigration, Refugees and Citizenship Canada)
この方針に沿って、最低限そろえておきたい項目をチェックリスト化すると、次のようになります。
渡航・身元関連
- 有効なパスポート
IRCC は、申請者と同伴家族全員について「有効なトラベルドキュメント(通常はパスポート)」提出を必須としています。残存期間はプログラムによって異なりますが、予定滞在期間+数年程度の余裕があると安心です。 - 戸籍謄本・出生証明相当書類
家族関係を示す証拠として、IRCC は「結婚証明書(marriage certificate)」「出生証明書(birth certificate)」の提出を求めます。同等の情報を含む日本の戸籍謄本は、英訳+認証を前提に準備しておくとよいでしょう。 - 結婚証明書
配偶者を同伴する場合、IRCC は「法的に有効な婚姻関係の証明」を求めます。事実婚(common‑law partner)の場合は、同居期間などを示す追加書類も想定されます。
語学・職歴・学歴関連
- 語学スコア(IELTS など)
IRCC は、経済移民の主要ルートである Express Entry で、「指定機関による語学能力テストスコア」を必須要件としています。英語の場合、IELTS General Training や CELPIP が指定されています。結果は通常 2 年間有効と案内されています(”Language test results are valid for 2 years”:IRCC)。家族移住を前提にするなら、主な申請者は早めに IELTS General を受験し、必要スコアを把握しておきたいところです。 - 学歴査定(ECA:Educational Credential Assessment)
IRCC は、Express Entry の説明で、次のように明示しています。
海外で取得した学位やディプロマは、指定機関による学歴査定(ECA)を受けることで、カナダの資格と比較される
主な申請者の最終学歴について、WES など指定機関で ECA を取得する準備が必要です。
– 職歴証明
IRCC は、申請者の経歴確認のために「職歴を証明する書類(reference letter)」「職務内容や勤務期間を確認できる書類」を求めます。前職・現職の会社から英文レターを取得できるか、早い段階で打診しておくとスムーズです。
資金・健康・無犯罪関連
- 資金証明(Proof of Funds)
IRCC は家族人数に応じた最低資金額を毎年公表し、「銀行残高証明書などで証明する必要がある」と説明しています(”You must prove that you have enough money to support yourself and your family”:IRCC – Proof of funds)。家族移住では、同伴家族が増えるほど必要額も増えます。次のような書類を準備しておくと安心です。 - 普通預金・定期預金の残高証明書(英文)
- 投資口座の残高(必要に応じて)
通常、6か月以上の履歴を示せる形で準備します。 - 健康診断(Immigration Medical Exam)
IRCC は、「永住権申請者と同伴家族は、認定医による移民用健康診断を受ける必要がある」と定めています(”You and your family members must have a medical exam before you come to Canada”:IRCC – Medical exams for permanent residents)。日本国内では、指定されたパネルフィジシャンでのみ受診できます。予約枠が限られる場合もあるため、早めに押さえておきたいところです。 - 無犯罪証明書(Police Certificate)
IRCC は「18歳以上の申請者について、一定期間居住したすべての国から警察証明書を取得すること」を求めます(IRCC – Police certificates)。日本在住者は、各都道府県警察本部で無犯罪証明書を発行してもらう流れです。
子どもの教育・日本側の生活整理
- 子どもの予防接種記録・母子手帳
州教育省やスクールボードは、入学時にワクチン接種状況の提出を求めます。BC 州保健省なども、「就学児童のワクチン接種記録の提出」を案内しています。日本の母子手帳や接種証明は、英訳付きでコピーを保管しておくと役立ちます。 - 在留届・住民票・税金の手続き
外務省は「3か月以上海外に滞在する日本人」に対し、在留届の提出を推奨しています。また、国税庁は居住者・非居住者の区分によって課税方法が異なると定めています。住民票の扱いや日本での納税義務について、事前に税理士や専門家に相談しておくと安心です。
これらは、IRCC や各省庁が公開している要件を、家族移住向けに整理したものに過ぎません。実際には、申請するプログラムや州によって必要書類やフォーマットが細かく変わります。IRCC 公式サイトと、申請予定の州政府・教育委員会の情報を最新のものに更新しながら進めることが重要です。
移民コンサルタント(RCIC)の活用方法
カナダ家族移住では、ビザの種類選びから書類作成、英語でのやりとりまで、自力で行うには負担が大きいケースがあります。そこで選択肢になるのが、カナダ政府公認の移民コンサルタント(RCIC:Regulated Canadian Immigration Consultant)の活用です。
RCIC の資格管理を行う CICC(College of Immigration and Citizenship Consultants)は、次のように明記しています。
RCICs are regulated professionals who must meet strict standards of competency and ethics
(RCIC は規制対象の専門職であり、能力と倫理に関する厳格な基準を満たさなければならない)
(CICC)
この制度により、次の点が担保されています。
- カナダ移民法に関する一定レベル以上の知識
- 継続的な研修(CPD)の受講義務
- 苦情受付と懲戒制度
家族移住者が相談しやすい土台が整えられているといえます。
RCIC に依頼すると何をしてくれるか
RCIC や RCIC が在籍する日系カナダ移民サポート企業の案内を比較すると、主なサポート内容は次のように整理できます。
- 家族構成・年齢・学歴・職歴・英語力などを踏まえた移住ルートの診断(例:Express Entry、州ノミネーション、スタディ+ワークなど)
- IRCC や州政府の最新情報に基づく要件確認とスケジューリング
- ビザ申請フォームの作成サポート、アップロード書類のチェック
- IRCC からの追加書類要請・質問への対応支援
- 子どもの就学手続きや、到着後の生活立ち上げに関する基本的なアドバイス
家族での長期移住を検討する場合、「どの順番で誰がどのビザを取るか」「子どもの学年タイミングをどう合わせるか」といった計画が重要です。複数のシナリオを比較しながらトータルでプランニングしてもらえる点に、RCIC の価値があります。
費用感と検討ポイント
RCIC への報酬は、コンサルタントや案件の複雑さによって幅があります。日系のカナダ移民専門会社や RCIC 個人事務所の公表例では、次のような水準が目安です。
- 初回相談:無料〜数万円程度(オンライン面談 60〜90 分など)
- 永住権申請フルサポート:数十万円〜100万円前後(家族人数・プログラムなどで変動)
IRCC 自体は、「申請者が自力で申請することは可能であり、代理人を使うかどうかは完全に任意」と明記しています(”You do not need to hire a representative. It is your choice”:IRCC – Using a representative)。
そのうえで次のような場合は、時間とリスクをお金でカバーする選択肢として検討する価値があります。
- 仕事や育児で時間が取りにくい
- 英文書類やオンライン申請に不安がある
- 家族構成や経歴がやや複雑
RCIC を選ぶ際には、次の点を確認したいところです。
- CICC の公式サイトでライセンス番号を検索し、有効な RCIC か確認する
- カナダ家族移住のサポート実績や、日本人家族の案件経験の有無を聞く
- 契約前に、サポート範囲・報酬総額・返金条件を書面で明示してもらう
日本語対応の RCIC が在籍する会社もあります。「日本語で全体設計を相談しつつ、対外的な書類ややりとりは英語で任せる」という形を取る家族も少なくありません。
よくある質問Q&A
Q1. まだ本格的に決めていない段階でも、RCIC に相談してよいか?
IRCC は代表者の利用を「任意」としたうえで、「申請前の段階で相談することも可能」と案内しています(Using a representative)。RCIC や専門会社の多くは、事前診断的な相談やセカンドオピニオンも受け付けています。「本当にカナダが自分たち家族に合うのか」を見極める材料として、早い段階から相談することができます。
Q2. 子どもの英語力がほとんどないが、いつからどの程度準備すべきか?
カナダの公立校は、多くの州で英語学習支援(ESL/EAL)プログラムを用意しています。移民の子どもが英語ゼロからスタートすることを前提にした制度です。オンタリオ州教育省なども、公式資料で「英語を母語としない生徒への支援プログラム」を明示しています。
生活立ち上げのストレスを考えると、次のような基礎は日本にいるうちから慣れておくと安心です。
- アルファベットや簡単な読み書き
- 自己紹介や教室で使う定型フレーズ
オンライン英会話やアプリなどを使えば、負担を抑えながら準備できます。
Q3. 家族で一気に永住権を目指すべきか、それとも主な申請者だけ先行すべきか?
IRCC は、Express Entry などの経済移民プログラムで「主申請者と同伴家族を同時に申請する」ことを前提にスコアを計算しています。一方で、留学→就労→永住と段階的に進むルートも広く利用されています。
どちらが適切かは次の条件によって変わります。
- 主な申請者の年齢・学歴・英語力
- 日本でのキャリアをどの程度維持したいか
- 子どもの学年や受験タイミング
IRCC のプログラム要件を確認しつつ、RCIC など第三者にシミュレーションを依頼すると判断しやすくなります。
Q4. 日本の自治体による「家族移住支援」や補助金と、カナダ移住は両立できるか?
日本国内でも、八幡浜市の「三世代家族移住促進事業補助金」のように、家族単位の移住・定住を支援する制度が増えています。同市は「市に5年以上定住することを誓約できる方」などを条件に補助金を出しています(八幡浜市 三世代家族移住促進事業補助金要綱)。多くは日本国内への定住を前提とした制度です。
カナダへの長期移住と両立させるのは難しいケースがほとんどです。次のように目的と時間軸を分けて検討する必要があります。
- 日本国内での一時的な移住・お試し暮らし
- カナダを含む海外への長期家族移住
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カナダ家族移住は、「情報の多さ」と「制度の選択肢の多さ」がメリットです。その一方で、各家庭の事情に合わせた最適ルートを自力で選びにくい側面もあります。IRCC や州政府、日本の省庁が公開する一次情報を出発点にしつつ、必要に応じて RCIC など専門家の力も借りながら、自分たち家族にとって無理のないペースと方法を組み立てていくことが、失敗しない移住準備につながります。
まとめ
カナダは、多文化社会、医療や教育の充実、家族で活用しやすいビザ制度など、家族移住との相性が高い国といえます。一方で、英語力や生活費、住居確保、税務など現実的なハードルもあります。
重要なのは、「どのルートで永住権を目指すか」「どの都市で、どれくらいの生活費で暮らすか」を早い段階から具体化することです。そのうえで、必要な書類や資金、情報を計画的に準備する姿勢が欠かせません。本記事の内容を土台に、移民コンサルタントや先輩移住者の情報も活用しながら、ご家庭にとって無理のない形でカナダ家族移住の可能性を検討してみてください。


